君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~

松本ユミ

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昼休憩が終わり、郵便物の処理をしていた。
席を外している時に届いた郵便物を郵便受信簿に入力していく。
日付、送り主、内容物、宛先、担当者など必要事項を入力し終わると、郵便物を部署ごとに仕分けして届ける。

ちなみに郵便物の発送の準備は十六時頃始めている。
発信名簿に日付、宛先、内容物、差出人、切手代などを入力する。
月末などは郵便物の発送の量が多いので、時間配分を間違えると残業することもあるから気を付けないといけない。

私の部署は総務で、割りと毎月同じルーティンだからある程度予定を立てて仕事が出来る。
イレギュラーなことがない限り、私や美桜さんは定時で帰ることが多い。

入力が終わり、郵便物を仕分けていたら話し声が聞こえた。

「美桜ちゃん、来週月曜の打ち合わせ後に食べる弁当をお願いしたいんだけど、いつものところで注文してもらってもいい?」

「はい、大丈夫ですよ。お弁当の種類はどうします?」

「あー、幕の内的な弁当で六個お願いできるかな。時間は十二時半ぐらいまでに届けてもらうようにしてもらえたら助かる」

「承知しました。そのように注文しておきます」

会話していたのは副社長と美桜さんだ。
前に美桜さんが働いていた職場が惣菜屋さんでお弁当も取り扱っているということで、お弁当類の注文の窓口になっている。

「いつまで美桜のそばにいるんだ。もう用が済んだら自分の席に戻れば?」

そんな二人の会話に割り込む人がいた。
その人物とは鳴海哲平。
ちなみに鳴海さんは副社長のいとこだ。

「テっ、鳴海くん!副社長に向かってそんなこと言わなくてもいいでしょ」

美桜さんが小声で注意すると、鳴海さんはフンと鼻を鳴らした。

「海里だから別にいいんだよ。それより、今日の晩飯どうする?今日は金曜だから食べて帰ってもいいけど」

「ちょっと!今、そんな話をしないでよ。仕事中なのに」

美桜さんは焦りながら鳴海さんの言葉を遮った。
二人の会話から分かるように、美桜さんと鳴海さんは付き合っている。

「哲平は独占欲の塊だな」

「うるさいな。おれは美桜にちょっかいかけるヤツはとことん排除してるだけ」

鳴海さんは面白くなさそうに言い、副社長はやれやれといった表情で肩をすくめた。

二人は社内公認の付き合いだ。
鳴海さんは常に男性社員に牽制をかけ、美桜さんを守っている。
そこまでガードしなくても、誰も美桜さんに声をかけるチャレンジャーはいないと思う。
さっきの発言からも、鳴海さんのベタ惚れで付け入る隙もない。

それを面白がって副社長が鳴海さんにちょっかいをかけている姿をよく目にしていた。
これもまたうちの会社の名物みたいなものだ。

「美桜ちゃんも厄介な男に捕まったね」

「大きなお世話だよ。俺より海里の方が厄介だと思うけど」

「俺は至って普通だよ。じゃ、仕事に戻ろうかな。美桜ちゃん、弁当の件よろしく」

鳴海さんの意味深な言葉に副社長は笑い、二人に背を向けた。

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