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「俺の服を着ている香澄を見られる日がくるなんてね」
さっきから副社長は私のことを"香澄"と呼んでくれている。
なんだかくすぐったい気持ちになった。
遠かった存在の副社長と気持ちが通じ合う日が来るなんて信じられない。
自分の置かれている状況がうまくのみ込めず、ソワソワしてしまう。
それに、今日は副社長の家に泊まるんだよ……ね。
変に意識してしまい、それを誤魔化そうと口を開いた。
「あの、リビングのゴミは副社長が片付けられたんですか?」
「あー、そうだね。さすがにゴミが散らかり過ぎてたから、ちょっと頑張ってみた」
照れくさそうに言う副社長にキュンとする。
こんな可愛い一面も持っているなんて反則だよなとニヤついていた私の口は滑らかになっていた。
「私、人の家に泊まるのが初めてなんです」
集団の宿泊学習はあるけど、友達の家に泊まりに行ったことがない。
親戚の家とかは別だけど。
「へぇ、そうなんだ。付き合うのも初めて、キスも初めて、泊まりも初めてか。これからも香澄のいろんな初体験を俺がいろいろもらえそうだな」
副社長は意味深に笑う。
言葉の意味を理解し、顔がボッと赤くなる。
それってつまり……そういうことだよね。
ソファから立ち上がった副社長はカチコチに固まった私を見て楽しそうに笑う。
「大丈夫。今日は何もしないよ。おいで」
手を私の方に差し伸べてくるので、私はおずおずとその手を握った。
「もしかして、男と手をつなぐのも初めて?」
「はい」
「そうか。じゃあ、これから手取り足取りいろんなことを教えてあげるよ。その代わり、香澄には俺の面倒をしっかりみてもらわないとね」
いたずらっ子のように笑い、私の手を握ったまま寝室の方へ向かう。
そうだ、私は社長に副社長の身の回りのお世話を頼まれていたんだと本来の役割を思い出す。
副社長が寝室のドアを開けた瞬間に私は口を開いた。
「はい、社長に頼まれた料理、洗濯、掃除など頑張ります」
副社長は足を止め、複雑そうな表情で苦笑いし「そういう意味で言ったんじゃないけど」と聞こえないぐらいの小さな声で呟く。
そして、気を取り直すように咳払いし、私の顔を覗き込みながら口を開いた。
「頑張るのはいいけど、俺の彼女だってことも忘れないでね」
「彼女……」
「違うの?」
「いえ、違いません」
顔を赤らめながら言えば、副社長は穏やかに微笑んだ。
自分の気持ちを抑え込まず、一歩踏み出す勇気を出してよかったと心の底から思う。
こんな幸せな未来が待っているんだから……。
そう思ったら、もう一度自分の口からハッキリと気持ちを伝えたくなった。
「副社長、大好きです」
副社長は一瞬目を見張った後、嬉しそうに顔を綻ばせた。
さっきから副社長は私のことを"香澄"と呼んでくれている。
なんだかくすぐったい気持ちになった。
遠かった存在の副社長と気持ちが通じ合う日が来るなんて信じられない。
自分の置かれている状況がうまくのみ込めず、ソワソワしてしまう。
それに、今日は副社長の家に泊まるんだよ……ね。
変に意識してしまい、それを誤魔化そうと口を開いた。
「あの、リビングのゴミは副社長が片付けられたんですか?」
「あー、そうだね。さすがにゴミが散らかり過ぎてたから、ちょっと頑張ってみた」
照れくさそうに言う副社長にキュンとする。
こんな可愛い一面も持っているなんて反則だよなとニヤついていた私の口は滑らかになっていた。
「私、人の家に泊まるのが初めてなんです」
集団の宿泊学習はあるけど、友達の家に泊まりに行ったことがない。
親戚の家とかは別だけど。
「へぇ、そうなんだ。付き合うのも初めて、キスも初めて、泊まりも初めてか。これからも香澄のいろんな初体験を俺がいろいろもらえそうだな」
副社長は意味深に笑う。
言葉の意味を理解し、顔がボッと赤くなる。
それってつまり……そういうことだよね。
ソファから立ち上がった副社長はカチコチに固まった私を見て楽しそうに笑う。
「大丈夫。今日は何もしないよ。おいで」
手を私の方に差し伸べてくるので、私はおずおずとその手を握った。
「もしかして、男と手をつなぐのも初めて?」
「はい」
「そうか。じゃあ、これから手取り足取りいろんなことを教えてあげるよ。その代わり、香澄には俺の面倒をしっかりみてもらわないとね」
いたずらっ子のように笑い、私の手を握ったまま寝室の方へ向かう。
そうだ、私は社長に副社長の身の回りのお世話を頼まれていたんだと本来の役割を思い出す。
副社長が寝室のドアを開けた瞬間に私は口を開いた。
「はい、社長に頼まれた料理、洗濯、掃除など頑張ります」
副社長は足を止め、複雑そうな表情で苦笑いし「そういう意味で言ったんじゃないけど」と聞こえないぐらいの小さな声で呟く。
そして、気を取り直すように咳払いし、私の顔を覗き込みながら口を開いた。
「頑張るのはいいけど、俺の彼女だってことも忘れないでね」
「彼女……」
「違うの?」
「いえ、違いません」
顔を赤らめながら言えば、副社長は穏やかに微笑んだ。
自分の気持ちを抑え込まず、一歩踏み出す勇気を出してよかったと心の底から思う。
こんな幸せな未来が待っているんだから……。
そう思ったら、もう一度自分の口からハッキリと気持ちを伝えたくなった。
「副社長、大好きです」
副社長は一瞬目を見張った後、嬉しそうに顔を綻ばせた。
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