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「ホント、香澄は可愛いね」
艶っぽい微笑みを浮かべると、大きな掌で私の頬を撫でた。
副社長の手の心地よさに頬をすり寄せていたら、顔が近づいてきた。
反射的に目を閉じると副社長の手が後頭部に回り、あっという間に唇を塞がれた。
さっきの触れるだけのキスとは違い、深く重なった唇。
食べる様に唇を貪られ、わずかに開いた隙間から副社長の舌が口内に入り込み、歯の裏側をなぞられた。
人の舌がこんなに熱くて柔らかいものだなんて知らなかった。
奥に引っ込んでいた舌を絡めとられ吸い上げられると背筋がゾクリと粟立つ。
「んっ……」
濃厚なキスに唇から吐息が漏れた。
鼻にかかった声が耳に届き、恥ずかしくなる。
副社長の巧みなキスに翻弄され、何も考える余裕なんてない。
キスの気持ちよさにグズグズに蕩けてしまいそうになり、足にも力が入らなくなる。
思わず副社長の身体にしがみつくと、きつく抱きしめられた。
「ごめん、我慢するとか言ってたのにあまりの可愛さについ」
副社長は困ったように笑い、私の濡れた唇を親指で拭った。
キスの余韻で私の身体は熱を持ち、心臓がバクバクと早鐘を打っている。
「今日はもう遅いから寝ようか。本当にこれ以上は何もしないから」
副社長はベッドに寝る様に促してきた。
これ以上というのはキスのその先のこと……だよね。
いくらウブな私でもそれは分かる。
でも、副社長はキスで止まってくれた。
私のことを大切に想ってくれていることが伝わってきて、胸がキュッと締め付けられる。
そういえば、今日は副社長にお世話になりっぱなしだということを思い出し、私はベッドの上にあがると正座した。
「副社長、今日はいろいろとありがとうございました」
改めてお礼を言うと、副社長は眉間にしわを寄せて不貞腐れた表情になる。
「あのさ、恋人なのにベッドの上で副社長って役職で呼ぶのは止めてくれない?」
「す、すみません」
「謝罪はいいから、俺のこと海里って呼んで」
海里って!
副社長に名前で呼んでほしいと思ったけど、実際に自分が逆の立場になるとハードルが高いことに気づく。
彼はは期待を込めた目で見つめてくる。
「か、か、かかか……いり……さん」
「どんだけ連呼するの?"か"が多すぎるんだけど。まぁいいか。自然に呼んでもらうのを気長に待つよ」
副社長……海里さんが大きなあくびをしながらベッドに寝転がった。
「香澄も早く寝よう」
海里さんの隣に私も寝転がる。
緊張してどこを向くのが正解なのか分からず、とりあえず仰向けになっていたらクスッと笑う声がした。
その声に横を向くと、海里さんが私を見つめている。
「緊張しなくても今日は何もしないよ。お休み、いい夢を」
海里さんは微笑み、私の前髪を梳いて額にキスを落としてから目を閉じる。
私も幸せな気持ちで眠りについた。
end.
艶っぽい微笑みを浮かべると、大きな掌で私の頬を撫でた。
副社長の手の心地よさに頬をすり寄せていたら、顔が近づいてきた。
反射的に目を閉じると副社長の手が後頭部に回り、あっという間に唇を塞がれた。
さっきの触れるだけのキスとは違い、深く重なった唇。
食べる様に唇を貪られ、わずかに開いた隙間から副社長の舌が口内に入り込み、歯の裏側をなぞられた。
人の舌がこんなに熱くて柔らかいものだなんて知らなかった。
奥に引っ込んでいた舌を絡めとられ吸い上げられると背筋がゾクリと粟立つ。
「んっ……」
濃厚なキスに唇から吐息が漏れた。
鼻にかかった声が耳に届き、恥ずかしくなる。
副社長の巧みなキスに翻弄され、何も考える余裕なんてない。
キスの気持ちよさにグズグズに蕩けてしまいそうになり、足にも力が入らなくなる。
思わず副社長の身体にしがみつくと、きつく抱きしめられた。
「ごめん、我慢するとか言ってたのにあまりの可愛さについ」
副社長は困ったように笑い、私の濡れた唇を親指で拭った。
キスの余韻で私の身体は熱を持ち、心臓がバクバクと早鐘を打っている。
「今日はもう遅いから寝ようか。本当にこれ以上は何もしないから」
副社長はベッドに寝る様に促してきた。
これ以上というのはキスのその先のこと……だよね。
いくらウブな私でもそれは分かる。
でも、副社長はキスで止まってくれた。
私のことを大切に想ってくれていることが伝わってきて、胸がキュッと締め付けられる。
そういえば、今日は副社長にお世話になりっぱなしだということを思い出し、私はベッドの上にあがると正座した。
「副社長、今日はいろいろとありがとうございました」
改めてお礼を言うと、副社長は眉間にしわを寄せて不貞腐れた表情になる。
「あのさ、恋人なのにベッドの上で副社長って役職で呼ぶのは止めてくれない?」
「す、すみません」
「謝罪はいいから、俺のこと海里って呼んで」
海里って!
副社長に名前で呼んでほしいと思ったけど、実際に自分が逆の立場になるとハードルが高いことに気づく。
彼はは期待を込めた目で見つめてくる。
「か、か、かかか……いり……さん」
「どんだけ連呼するの?"か"が多すぎるんだけど。まぁいいか。自然に呼んでもらうのを気長に待つよ」
副社長……海里さんが大きなあくびをしながらベッドに寝転がった。
「香澄も早く寝よう」
海里さんの隣に私も寝転がる。
緊張してどこを向くのが正解なのか分からず、とりあえず仰向けになっていたらクスッと笑う声がした。
その声に横を向くと、海里さんが私を見つめている。
「緊張しなくても今日は何もしないよ。お休み、いい夢を」
海里さんは微笑み、私の前髪を梳いて額にキスを落としてから目を閉じる。
私も幸せな気持ちで眠りについた。
end.
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