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優しさに触れて
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「ちょっと触るね」
そう言うと、私の額に掌をあてる。
「あー、熱いね。しんどくない?」
「今は大丈夫です」
立花さんは手に持っていた買い物袋の中を漁り、冷えピタを出して額に貼ってくれた。
買い物袋の中にはプリンやゼリー、スポーツ飲料などたくさんの物が入っていた。
「キッチンを使わしてもらうから河野さんは寝ていていいよ」
そう言ってベッドを置いている部屋を指差すので、おとなしくベッドに寝転んだ。
立花さんはキッチンを使うって言った?
料理は全然しないと言ってた気がするんだけど。
そんなことを考えていたら、キッチンからガチャガチャ音がしてきた。
(気になりすぎる)
グッと覗くのを我慢して、ボーッと天井を見つめていたらドアをノックする音が聞こえた。
「河野さん、寝てる?」
立花さんがお盆を手に部屋に入ってきた。
ベッドのサイドテーブルの上にお盆を置いた。
私が起き上がろうとしたら身体を支えるように手を添えてくれた。
立花さんが持ってきてくれたお盆には、お粥の入ったお椀、小皿の上に二粒の梅干しがあった。
「お粥、作ってくれたんですか?」
「あぁ。普段料理をしないし、お粥の作り方もよく分からなくてネットを見ながら作ったから自信はあまりないけど」
頬をポリポリとかく。
「ありがとうございます」
料理をしない立花さんが私のためにお粥を作ってくれたことがすごく嬉しかった。
立花さんは茶碗からレンゲですくったお粥を冷ますために息をふうふうと吹き掛けた。
「はい、どうぞ」
レンゲを私の口許にもってくる。
これは、もしかして……。
「どうした?口を開けないと食べれないだろ」
そう言って私の唇によく冷ましたレンゲをピタッとつける。
(いやいや、さすがにこれは恥ずかしい)
目で訴えかけたけど、立花さんは気付かない振りをする。
「はい、あーんして」
何だろう、この羞恥プレイは。
鼻通りもよくなり、お粥の美味しそうな匂いに負け、小さく口を開けるとお粥の優しい味が口の中にじわりと広がった。
やや薄味だったのでもう少し塩気があってもよかったけど、今まで食べたどのお粥よりも立花さんが作ってくれたものが一番美味しく感じた。
目の前の立花さんは少し不安げに口を開いた。
「どう?」
「美味しいです」
「ホントに?少し味が薄いかなと思ったんだけど」
立花さんは「よかった」と言ってホッとした表情を浮かべると、再びレンゲでお粥をすくおうとしていた。
これって、エンドレスで食べさせてもらう感じになるんだろうか。
さすがに恥ずかしすぎる。
「あの、自分で食べれますから」
「そう?遠慮しなくてもいいのに」
残念そうに言う立花さんからレンゲと茶碗を受け取った。
朝からまともにご飯を食べていなかった私は、茶碗に入っていたお粥を全部平らげた。
熱があるのに、こんなに食べれてしまう自分にビックリしたけど。
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