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優しさに触れて
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目を覚まして何気なく横を見ると、そこには驚きの光景があった。
ラグに座ったままベッドに頭を預けて眠っている立花さんの姿があった。
(イケメンは寝ていても顔が整っているな……ってちがーう!)
これはどういうこと?
起き上がろうとモゾモゾ動いていたら、立花さんが身じろぎして目を開けた。
「ん……」
身体を起こした私と立花さんの目がバチッと合った。
「おはよう。熱は下がったかな」
立花さんは私の額に貼っていたカピカピになってしまっている冷えピタをゆっくりと剥がすと、額に手を当てる。
「まだ、少しあるかも」
立花さんはリビングのテーブルの上に置いていた体温計を取りに行った。
「はい、測ってみて」
差し出された体温計を受け取って脇に挟んだ。
ピピッと音がし、取り出してみたら37.2。
「37.2か。まだ熱があるから今日は休みだな」
当たり前のように私の世話をしてくれる立花さん。
今もスポーツ飲料のキャップを開けてくれる。
いやいや、そんなことより気になることがあった。
「あの、もしかして昨日の夜から帰ってないんですか?」
時計を確認したら朝の六時過ぎ。
立花さんが来てくれたのは夜、そこからずっとそばにいてくれたんだろうか。
「あぁ。河野さんが帰らないでって手を握ったまま離してくれないから」
「えっ……」
嘘でしょ。
熱でうなされてやらかしてしまったんだろうか。
どれだけ自分勝手なんだろう。
自己嫌悪に陥っていたら、クスクスと笑う声がした。
「冗談だよ。この部屋の鍵の場所が分からなくて、俺が帰っても鍵を閉めれないから不用心だと思って。それに病人の河野さんを一人にはさせられなかったからね」
冗談だったのか。
本気にしちゃったよ。
「それで申し訳ないんだけど、一度部屋に戻ってもいい?仕事に行く準備しないといけないから」
「あっ、どうぞどうぞ。むしろ、朝まで引き止めてしまって申し訳ないです」
「それは俺が君のそばにいたかっただけだから気にしなくていいよ」
ふわりと微笑みながら言われ、胸がキュンと高鳴った。
そんなことを言われてときめかないはずがない。
立花さんはナチュラルに甘い言葉を言える人なんだろうか。
言われ慣れていない私にとっては、ダイレクトに胸に響くんだ。
「朝飯はレトルトのご飯があるから雑炊でいい?雑炊のもとを買ってるから俺でも作れるから」
茶目っ気たっぷりに言う。
昨日もいろいろしてくれたのに、甘えっぱなしは落ち着かない。
「私が作りますよ」
「いや、俺が作るよ。河野さんはまだ熱があるんだから無理しないように。じゃあ、ちょっと戻るね」
そう言うと、立花さんは玄関から出て行った。
しばらくして立花さんはスーツ姿で戻ってきた。
宣言通り、雑炊を作ってくれた。
タマゴを割った時に失敗して殻が入ってしまい、それを必死に取ろうとして悪戦苦闘している立花さんを見て笑ってしまった。
笑うなよ、と言って拗ねている表情が年上の人に対して失礼かなとは思ったけど可愛かった。
そして出来上がった雑炊はすごく美味しかった。
ラグに座ったままベッドに頭を預けて眠っている立花さんの姿があった。
(イケメンは寝ていても顔が整っているな……ってちがーう!)
これはどういうこと?
起き上がろうとモゾモゾ動いていたら、立花さんが身じろぎして目を開けた。
「ん……」
身体を起こした私と立花さんの目がバチッと合った。
「おはよう。熱は下がったかな」
立花さんは私の額に貼っていたカピカピになってしまっている冷えピタをゆっくりと剥がすと、額に手を当てる。
「まだ、少しあるかも」
立花さんはリビングのテーブルの上に置いていた体温計を取りに行った。
「はい、測ってみて」
差し出された体温計を受け取って脇に挟んだ。
ピピッと音がし、取り出してみたら37.2。
「37.2か。まだ熱があるから今日は休みだな」
当たり前のように私の世話をしてくれる立花さん。
今もスポーツ飲料のキャップを開けてくれる。
いやいや、そんなことより気になることがあった。
「あの、もしかして昨日の夜から帰ってないんですか?」
時計を確認したら朝の六時過ぎ。
立花さんが来てくれたのは夜、そこからずっとそばにいてくれたんだろうか。
「あぁ。河野さんが帰らないでって手を握ったまま離してくれないから」
「えっ……」
嘘でしょ。
熱でうなされてやらかしてしまったんだろうか。
どれだけ自分勝手なんだろう。
自己嫌悪に陥っていたら、クスクスと笑う声がした。
「冗談だよ。この部屋の鍵の場所が分からなくて、俺が帰っても鍵を閉めれないから不用心だと思って。それに病人の河野さんを一人にはさせられなかったからね」
冗談だったのか。
本気にしちゃったよ。
「それで申し訳ないんだけど、一度部屋に戻ってもいい?仕事に行く準備しないといけないから」
「あっ、どうぞどうぞ。むしろ、朝まで引き止めてしまって申し訳ないです」
「それは俺が君のそばにいたかっただけだから気にしなくていいよ」
ふわりと微笑みながら言われ、胸がキュンと高鳴った。
そんなことを言われてときめかないはずがない。
立花さんはナチュラルに甘い言葉を言える人なんだろうか。
言われ慣れていない私にとっては、ダイレクトに胸に響くんだ。
「朝飯はレトルトのご飯があるから雑炊でいい?雑炊のもとを買ってるから俺でも作れるから」
茶目っ気たっぷりに言う。
昨日もいろいろしてくれたのに、甘えっぱなしは落ち着かない。
「私が作りますよ」
「いや、俺が作るよ。河野さんはまだ熱があるんだから無理しないように。じゃあ、ちょっと戻るね」
そう言うと、立花さんは玄関から出て行った。
しばらくして立花さんはスーツ姿で戻ってきた。
宣言通り、雑炊を作ってくれた。
タマゴを割った時に失敗して殻が入ってしまい、それを必死に取ろうとして悪戦苦闘している立花さんを見て笑ってしまった。
笑うなよ、と言って拗ねている表情が年上の人に対して失礼かなとは思ったけど可愛かった。
そして出来上がった雑炊はすごく美味しかった。
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