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過去を乗り越えて
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「何か飲む?」
「いえ、大丈夫です」
さっきまでお酒を飲んでいたし、わざわざ立花さんの手を煩わせるのも申し訳ないなと思った。
あの後、立ち話もあれだからと立花さんの部屋に行くことになった。
リビングに通され、私はソファに座りソワソワしていた。
部屋の家具はモノトーンで揃えられており、余計な物は置かれていない。
私と同じマンションだけど、この部屋は間取りも違うしなにより広い。
「隣、座ってもいい?」
「どうぞ」
って、自分の部屋じゃないのに何言ってるんだか。
立花さんは一人分の空間を空けて座った。
私に話って何だろう。
緊張感が走っていたら、立花さんはおもむろに口を開く。
「あのさ、さっきまでマキたちと会ってたんだよな」
マキ?
さっきまでってどういう事?
マキって立花さんの想い人なんじゃないの?
突然言われた言葉に頭の中が混乱している。
私は舞と昴くんと朔ちゃんしか会っていない。
立花さんは誰のことを言っているんだろう。
いくら考えても分からないので、勇気を出して聞いてみることにした。
「あの、マキって誰のことですか?」
「あぁ、ごめん。マキっていうのは槙田昴のことだよ」
「えっ?」
まさかの人物の名前に私は絶句してしまった。
"マキ"が昴くん?
てっきり女の人だと思っていた。
ということは、私は思い切り勘違いをしていたことになる。
「どうかした?」
驚きのあまり、何も言えなくなってしまっている私を見て立花さんは心配そうに聞いてくる。
「いえ、あの、マキって昴くんのことだったんですね。私はてっきり……」
そこまで言って、慌てて口を手で押えた。
危ない、余計なことまで言ってしまうところだった。
「てっきり、何?」
セーフだと思っていたけど、立花さんは見逃してくれなかった。
追及され、私はどうしていいか戸惑う。
実は、マキって人は立花さんの気になっている人だと思っていた。
それで私は偽装恋愛解消を切り出した……なんて言える訳がない。
「河野さん、もしかしてマキのことを何か勘違いしてたんじゃない?」
図星をつかれてしまい、不自然に目を逸らしてしまった。
私の態度は肯定しているのと同じだった。
「やっぱり。あの居酒屋での出来事があった時、俺に電話がかかってきた後から河野さんの様子がおかしくなった。確か、話の内容は他愛もないことだったと思う。だけど、君は俺の会話を聞いてから明らかに顔色が悪くなり逃げるようにその場を後にした」
あの日のことを語られ、私は何も言い返すことが出来ない。
「俺はその時の会話を思い出すと、唯一思い当たるのは"マキ"という名前を出したことだけだ。そして、そのあとに河野さんはいきなり偽装恋愛をやめようと言い出した。俺の中である一つの仮説が生まれた」
立花さんは小さく息を吐いた。
「いえ、大丈夫です」
さっきまでお酒を飲んでいたし、わざわざ立花さんの手を煩わせるのも申し訳ないなと思った。
あの後、立ち話もあれだからと立花さんの部屋に行くことになった。
リビングに通され、私はソファに座りソワソワしていた。
部屋の家具はモノトーンで揃えられており、余計な物は置かれていない。
私と同じマンションだけど、この部屋は間取りも違うしなにより広い。
「隣、座ってもいい?」
「どうぞ」
って、自分の部屋じゃないのに何言ってるんだか。
立花さんは一人分の空間を空けて座った。
私に話って何だろう。
緊張感が走っていたら、立花さんはおもむろに口を開く。
「あのさ、さっきまでマキたちと会ってたんだよな」
マキ?
さっきまでってどういう事?
マキって立花さんの想い人なんじゃないの?
突然言われた言葉に頭の中が混乱している。
私は舞と昴くんと朔ちゃんしか会っていない。
立花さんは誰のことを言っているんだろう。
いくら考えても分からないので、勇気を出して聞いてみることにした。
「あの、マキって誰のことですか?」
「あぁ、ごめん。マキっていうのは槙田昴のことだよ」
「えっ?」
まさかの人物の名前に私は絶句してしまった。
"マキ"が昴くん?
てっきり女の人だと思っていた。
ということは、私は思い切り勘違いをしていたことになる。
「どうかした?」
驚きのあまり、何も言えなくなってしまっている私を見て立花さんは心配そうに聞いてくる。
「いえ、あの、マキって昴くんのことだったんですね。私はてっきり……」
そこまで言って、慌てて口を手で押えた。
危ない、余計なことまで言ってしまうところだった。
「てっきり、何?」
セーフだと思っていたけど、立花さんは見逃してくれなかった。
追及され、私はどうしていいか戸惑う。
実は、マキって人は立花さんの気になっている人だと思っていた。
それで私は偽装恋愛解消を切り出した……なんて言える訳がない。
「河野さん、もしかしてマキのことを何か勘違いしてたんじゃない?」
図星をつかれてしまい、不自然に目を逸らしてしまった。
私の態度は肯定しているのと同じだった。
「やっぱり。あの居酒屋での出来事があった時、俺に電話がかかってきた後から河野さんの様子がおかしくなった。確か、話の内容は他愛もないことだったと思う。だけど、君は俺の会話を聞いてから明らかに顔色が悪くなり逃げるようにその場を後にした」
あの日のことを語られ、私は何も言い返すことが出来ない。
「俺はその時の会話を思い出すと、唯一思い当たるのは"マキ"という名前を出したことだけだ。そして、そのあとに河野さんはいきなり偽装恋愛をやめようと言い出した。俺の中である一つの仮説が生まれた」
立花さんは小さく息を吐いた。
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