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あと一歩が届かない
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「これは、我が社の玩具を購入した方がSNSで発信してくださっているものです。熱心なファンの方々が、我が社の玩具を愛して積極的にSNSでその魅力を発信してくださっている生の声です。 ハッシュタグも『ジョイントイぬい』で検索すれば様々なコメントや画像が出てきます」
情報収集のためにSNSを眺めていたら、偶然見つけたものだ。
まさか、自社の商品についてのハッシュタグが存在しているとは思ってもいなかった。
これを見た瞬間、驚きとともに感動したのを覚えている。
だから、プレゼンする時にこの話をしたいなと思っていたので前々から資料は揃えていた。
スクリーンに映し出された投稿やコメントに何人かが小さく頷くのが見える。
その反応を確認して、私は最後の力を振り絞って口を開く。
「このようにSNSでの投稿から、我が社の玩具がユーザーの皆様の日々の日常に浸透して愛されていることが伝わってきます。この熱量に注目し、もう一つ提案したいことがあります」
一度、言葉を切り深呼吸する。
「カプセルトイの醍醐味でもあるシークレットアイテムの導入です。これまでのアニマルキーホルダーにはなかった、通常カラーとは異なるレアな色のキーホルダーを加えることで、ユーザーの収集欲を刺激できると考えています」
価格帯やターゲット層、その他の細かい点も丁寧に説明した。
最後の質疑応答でいくつか質問を答え、プレゼンを終えると会議室に拍手が響き、私は深々とお辞儀する。
顔を上げた瞬間、肩の力が抜けてほっと息を吐いた。
会議室を出て、企画部の自席に戻るとデスクに突っ伏す。
胸の奥には、やり切ったという達成感と安堵が広がっていた。
プレゼンでは、いつも似たような質問が来るので前もって回答を用意していた。
そのおかげで、多少の言い間違いなどのミスがあったけど、無事に言いたいことはすべて伝えられたと思う。
本田くんにプレゼンが終わったと報告をしようと思っていたが、彼は席を外していた。
ふと、さっきの出来事を思い出す。
会議が終わった帰り際、営業部長から『ガチャ活とかハッシュタグの着眼点はすごくよかった』と声をかけられたのだ。
営業部長が話しかけてくれたことにも驚いたけど、まさかあんな風に褒められるとは思わず、嬉しさがこみ上げる。
「お疲れ、どうだった?」
不意に声をかけられて顔を上げると、本田くんが笑顔を浮かべていた。
「うーん、どうだろう。営業部長には少しはいい評価をもらえたと思うし、自分の意見は全部伝えたつもり。あとはどう判断されるか結果を待つしかないわ」
肩をすくめながら言う。
「そっか。とりあえずお疲れさんてことで、今日飲みに行かない?」
「いいね! あの懇親会からずっと禁酒してプレゼンに取り組んでいたから、ちょうど飲みたい気分だったの」
本田くんの提案に笑顔で答える。
「オッケー!じゃあ、適当に店を探して予約しとくわ」
「ありがとう」
プレゼンの緊張から解放され、本田くんとの飲み会という楽しい時間が待っていると思うと、心が浮き立った。
情報収集のためにSNSを眺めていたら、偶然見つけたものだ。
まさか、自社の商品についてのハッシュタグが存在しているとは思ってもいなかった。
これを見た瞬間、驚きとともに感動したのを覚えている。
だから、プレゼンする時にこの話をしたいなと思っていたので前々から資料は揃えていた。
スクリーンに映し出された投稿やコメントに何人かが小さく頷くのが見える。
その反応を確認して、私は最後の力を振り絞って口を開く。
「このようにSNSでの投稿から、我が社の玩具がユーザーの皆様の日々の日常に浸透して愛されていることが伝わってきます。この熱量に注目し、もう一つ提案したいことがあります」
一度、言葉を切り深呼吸する。
「カプセルトイの醍醐味でもあるシークレットアイテムの導入です。これまでのアニマルキーホルダーにはなかった、通常カラーとは異なるレアな色のキーホルダーを加えることで、ユーザーの収集欲を刺激できると考えています」
価格帯やターゲット層、その他の細かい点も丁寧に説明した。
最後の質疑応答でいくつか質問を答え、プレゼンを終えると会議室に拍手が響き、私は深々とお辞儀する。
顔を上げた瞬間、肩の力が抜けてほっと息を吐いた。
会議室を出て、企画部の自席に戻るとデスクに突っ伏す。
胸の奥には、やり切ったという達成感と安堵が広がっていた。
プレゼンでは、いつも似たような質問が来るので前もって回答を用意していた。
そのおかげで、多少の言い間違いなどのミスがあったけど、無事に言いたいことはすべて伝えられたと思う。
本田くんにプレゼンが終わったと報告をしようと思っていたが、彼は席を外していた。
ふと、さっきの出来事を思い出す。
会議が終わった帰り際、営業部長から『ガチャ活とかハッシュタグの着眼点はすごくよかった』と声をかけられたのだ。
営業部長が話しかけてくれたことにも驚いたけど、まさかあんな風に褒められるとは思わず、嬉しさがこみ上げる。
「お疲れ、どうだった?」
不意に声をかけられて顔を上げると、本田くんが笑顔を浮かべていた。
「うーん、どうだろう。営業部長には少しはいい評価をもらえたと思うし、自分の意見は全部伝えたつもり。あとはどう判断されるか結果を待つしかないわ」
肩をすくめながら言う。
「そっか。とりあえずお疲れさんてことで、今日飲みに行かない?」
「いいね! あの懇親会からずっと禁酒してプレゼンに取り組んでいたから、ちょうど飲みたい気分だったの」
本田くんの提案に笑顔で答える。
「オッケー!じゃあ、適当に店を探して予約しとくわ」
「ありがとう」
プレゼンの緊張から解放され、本田くんとの飲み会という楽しい時間が待っていると思うと、心が浮き立った。
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