おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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10.力技

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「神凪さん...」

「この世界は、魔法に依存しているから技術の進歩が遅い。私がいた世界よりもずっと。そうですよね?」

「...その通りです。」

「未来の知識を持った技術者。それだけで計り知れない価値があります。この記憶がある限り、私はいつまでも出られないんじゃないかって思いました。」

「そんなことはありません。」

「私は技術者です。未来の技術を持っている人間の存在がどんなことを巻き起こすか、想像は容易いです。だから、強引に出るしかないと思いました。」

「神凪さん、落ち着いてください。」

失礼します、と声がして、雪野さんが病室に入って来た。

護衛の人達はスーツなのにみんな侍のように刀を帯びている。

雪野さんの左手の親指が刀のつばに掛かった。

「この2週間、私のおもちゃは1つでした。」

雪野さんは眉をしかめた。

「...魔法...」

「だって、この部屋の中に一番多いのは魔法だし、私は技術者ですから。」

私は窓に手を当てた。ここにも魔力が張られている。

この2週間で試行錯誤して魔法を感じられるようになった。私に沢山の魔力があることもぼんやりわかった。

「3日前、そこの機械、壊れましたよね。」

「まさか...」

「魔力をコントロールする練習をしました。」

「神凪さん、窓を壊しても、外には出られませんよ。」

「私、そんなに馬鹿じゃないです。」

「交渉なら、すぐに室長を呼びます。少し時間をください。」

「物事が動かない時はもっと上から変えるんです。上が私を大人しいと思っているから、室長が敵でも味方でも、今後も物事を変えることは難しい。だから。」

私は跪いて床に両手を付いた。

「やめろ!!」

練習で少しだけできた魔力の流し込み。上手くできないけど、力を流し込んだ。

外からけたたましい警告音が響く。

勢い良くドアが開き、護衛チームの5人全員が入って来た。

「神凪さん!!」

何かが砕ける大きな音がした。

「部屋の結界が...!!」

「結界術第一節縛杭ばっくい!!!」

雪野さん達は私を囲んで、抜刀し、刀を床に刺した。

私を中心に薄い青の球体が出来た。そこには文字の帯がぐるぐると巻き付いていた。

無重力になったかのように体が上に引っ張られるのを感じて、私はもっと魔力を込めた。

「神凪さんやめてください!!」

不思議な高揚感があった。

ずっと押し込めていたものを解放したような快感。ゆっくりとそれが抜けていく心地良さ。

じわじわと球体が広がり、体が重力を取り戻した。

「これ以上やっても貴女に不利益なだけです!!」

ぞろぞろとスーツの男性達が入って来て、私に銃を向けた。
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