おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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45.綺麗事

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膠着状態であると判断して、雪野は瑠璃川に説明を求めた。

「雅楽代くんが楓ちゃんに無理矢理殻を破る方法があるって言っちゃったの。楓ちゃんは二時間気絶して全身麻痺の状態だったのに。それで、ここに雅楽代くんが戻って来た途端にコレ。」

「紫々井先生、短刀持って武士みたいに佇んでたから何かと思ったら。」

「声を掛けなかったんですか!?」

「考え事の邪魔しちゃ悪いと思って。」

「短刀持って佇んでる人が考え中な訳ないでしょう!」

「僕は先生が戻って来た時に聞いただけ。思い詰めてるみたいで怖いからそっとしておいた。」

「思い詰めてる人何で放っておいたんですか!?」

「怖いんだもん。それに、何にしろ僕には解決できないし。」

高辻は二人に呆れたが、雪野の一言で緊張に引き戻された。

「構えろ。」

「はい!」

「じゃあ僕達、シェルターに避難してるね!後頑張って!」

「興味無いだろうけど他のスタッフは全員シェルターに避難済だから安心して頑張ってね!」

瑠璃川と伊海はそそくさとその場を後にした。

「全員、刀を納めて下さい。」

「政府の人間が口出すな。」

紫々井の強い口調が、譲る気はないと示していた。

 「これは守り手の問題だ。政府の犬が邪魔をするな。」

雅楽代が本気であることを悟り、雪野は痺れるような緊張感で生唾を飲んだ。

「これ以上続けるのなら」

「続けるのなら斬るって?そんな部下一人足したくらいで、俺を止められると思っては無いだろう?」

「ここで死人を出す気はないでしょう。」

「俺は頭にキてる。どいつもこいつも綺麗事ばかりだ。巫女の手前黙っていたが、挙句契の依代を持ち出されたんだ。もう我慢ならない。」

契の依代は過去の巫女が紫々井家当主に信頼を置き託した短刀だ。

巫女と守り手は特殊な契約を交わしている。

神の権能を与える契約もその一つだ。

契の依代はその契約を断ち切る事ができる刀で、契約に介入できる唯一の道具だ。

紫々井が契の依代の鯉口を切るという行為は最終警告を意味していた。

「本当にこのままで良いと思ってるのか?」

「楓さんが死ぬリスクは見過ごせへん。死ぬリスクを負わせようなんて、守り手として有るまじきや。」

「仕方ない事だ。このままでは巫女は一生殻を破れない。」

「破れなくても巫女様は巫女様や。守り手の仕事は変わらへん。」

雪野には雅楽代のほんの僅かな顔の歪みで、奥歯を噛んだことがわかった。
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