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56.水無瀬京介の大博打
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水無瀬は銃撃で石萩を後退させた。
気が狂うほどに恨んだ相手を目の前にした水無瀬は、心の中のどす黒い憎悪を押さえ付けて冷静さを保ち、頭をフルに回転させる。
到底適う相手ではない。この状況では二人で逃げる事は疎か、楓を逃がす事さえ不可能だ。
水無瀬は傷付きながらも石萩を食い止め作った僅かな時間の中で、無詠唱の魔法を使って一つの作戦の準備をした。
最後の手段として用意していた作戦は、本来なら成功確率はゼロに等しかった。この国にとって、固有能力は人の命より重いのだから。
だが、今自分が守っている女性は、確率を100に限りなく近付ける力を持っている。
それは幸運だったが、喜ばしいことではなかった。
これ以上巻き込みまいとした楓を自分の代わりに当事者にするのだから。
最後に謝る時間はあるだろうか。
そう考えながら、水無瀬はわざと弾を外して、石萩の攻撃を全身で受けた。
「水無瀬さん!!!」
楓の悲鳴はあの時の自分のものの様だった。
利用される事がわかっていても、踏み込んだ場所が底なし沼だと知っていても、赤の他人の自分の為にと身を削って手を差し伸べた。その楓に願いを託すことに水無瀬は安心感と確信を抱いていた。
自分が見れない未来に、彼女は必ず、悲願を達成してくれる。
水無瀬は脇腹に刀を突き刺した石萩の首に腕を掛けて固定し、準備していたアイスピックの様な針を石萩の動脈に突き刺した。
突き立てられた針から糸が噴き出し、石萩に巻き付き拘束する。
水無瀬は激しく吐血しながらも、術を唱えた。
「縫針術忌縛、蠱毒解命・・・!!」
己の魔力を針を通す事で猛毒に変える禁術だった。毒の種類はコントロールできるが、強い相手には大量の魔力を使わなければならない。自分では適わない石萩相手であれば、それがどんな毒であっても致死量の魔力が必要だった。
故に、水無瀬の命と引き換えだった。
毒は一瞬で回り、石萩の目の焦点が合わなくなった。
針を抜いた水無瀬は最後の力を振り絞って石萩を突き飛ばした。
毒は長時間意識を混濁させ、四肢の自由が利かなくなり、魔力が使えなくなる毒だった。
石萩は抵抗したが数秒で動かなくなった。
それを見届けて、水無瀬は倒れた。
気が狂うほどに恨んだ相手を目の前にした水無瀬は、心の中のどす黒い憎悪を押さえ付けて冷静さを保ち、頭をフルに回転させる。
到底適う相手ではない。この状況では二人で逃げる事は疎か、楓を逃がす事さえ不可能だ。
水無瀬は傷付きながらも石萩を食い止め作った僅かな時間の中で、無詠唱の魔法を使って一つの作戦の準備をした。
最後の手段として用意していた作戦は、本来なら成功確率はゼロに等しかった。この国にとって、固有能力は人の命より重いのだから。
だが、今自分が守っている女性は、確率を100に限りなく近付ける力を持っている。
それは幸運だったが、喜ばしいことではなかった。
これ以上巻き込みまいとした楓を自分の代わりに当事者にするのだから。
最後に謝る時間はあるだろうか。
そう考えながら、水無瀬はわざと弾を外して、石萩の攻撃を全身で受けた。
「水無瀬さん!!!」
楓の悲鳴はあの時の自分のものの様だった。
利用される事がわかっていても、踏み込んだ場所が底なし沼だと知っていても、赤の他人の自分の為にと身を削って手を差し伸べた。その楓に願いを託すことに水無瀬は安心感と確信を抱いていた。
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