おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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63.神凪楓の大立ち回り

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会場内の全員が驚いている間に私は壇上に上がり、講壇に設置されたマイク二本の内一本を掴み取った。

「理の巫女の神凪楓と申します。政府が公表した情報に異議があり参りました。加々宮総理、御無沙汰しております。」

大量のフラッシュが焚かれて目を細めた。

表情から察するに、用意周到で策士と聞いていたけど、流石にこれは予想できなかったらしい。

「本日は皆様にお伝えしたい事があり、参りました。この様な強引な方法を取ったのは、私が政府に保護という名で軟禁されているからです。」

「神凪さん、話は執務室で」

近付いた総理と私の間に素早く雅楽代さんが入った。

「皆様、水無瀬さんは無実です。他の関係者が情報漏洩を行った証拠があります。警護がしにくい帝国ホテルを選んだのは総理です。水無瀬さんも警備責任者も反対していました。総理の強い意向で逆らえず決まったんです。」

「神凪さん、その様なデタラメはやめて頂きたい!」

「証拠があります。」

私は声の震えを抑えようと深呼吸をした。

「水無瀬さんは過剰な攻撃で石萩修羅を傷付けてはいません。私が水無瀬さんを治癒しようとした時」

「止めなさい!!」

「頭に浮かんだ言葉を口にしました。それが、巫女の奇跡と呼ばれている魔法です。石萩はその影響で受けたダメージが水無瀬さんが私を守るた為に負わせたダメージに重なって、結果的に体に障害が残りました。水無瀬さんは・・・」

「警備!早く止めろ!」

雅楽代さんと雪野さんの殺気を感じた。動ける人は誰も居なかった。

「水無瀬さんは犯罪を犯した固有能力者を逮捕できるよう固有能力者法の改正案を通したくて、総理始め政治家の無理な要求に従ってきました。私が政府の要求を全て受け入れて来たのは、水無瀬さんのその想いに共感し、水無瀬さんの力になりたかったからです。あんなに・・・あんなに理性的な人は居ません。」

込み上げた涙を私は素直に流した。

「水無瀬さんは石萩に大切な家族を殺されたんです。それでも水無瀬さんは、あの時狙えた心臓を撃ちはしなかった。石萩は私に攻撃しようとしてなかったからです。水無瀬さんはその上で、攻撃して来た石萩から命と引き換えに私を守ってくれました。石萩を殺していたら自分だって助かっていたのに。そして水無瀬さんは最後まで・・・法案の成立を望んでました・・・」

ぼたぼたと流れる涙は、人々に伝わってるだろうか。

「こんなのあんまりです。法案をダシに使われて、亡くなったら死人に口なしでスケープゴートにされて、こんなのあんまりです・・・!!水無瀬さんは家族を殺した犯人を正しく裁いて欲しかっただけなのに・・・!!水無瀬さんは命が消えかけていても、法で裁かれる事を望んでいました・・・!!こんなのおかしいです!水無瀬さんが死んでも利用される政府も!沢山の被害者と遺族を生んでいるのに犯人が捕まらない法律も!!」

私が話しきっても、会見場は静まり返っていた。

気付けば汗が滲んでいて、私は目眩がした。

「楓様!」

「楓さん!」

雅楽代さんが抱き留めてくれて、私は倒れずに済んだ。

「もう十分です。帰りましょう。」

「はい・・・」

「証拠はどこにもない!!」

「あります。」

振り向くと、その声の主は高辻さんだった。

「対策室の公式HPに集めた証拠をアップロードしました。ついさっき官邸で役人が話していた音声もあります。」

「なっ・・・!!」

「楓様、歩けますか。」

ふらついた私を雅楽代さんは抱き抱えてくれた。

「私はもう傀儡にはなりません。政府の要請は同意できる時のみ受けます。」

「楓様、お疲れ様でした。帰りましょう。」

「はい。」

それからは熱でぼんやりしていて、いつの間にか意識を失っていた。
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