おじ専が異世界転生したらイケおじ達に囲まれて心臓が持ちません

一条弥生

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92.紫々井明の覚悟

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楓さんが魔素起因性のインフルエンザで倒れたと聞いて、直ぐに飛行機のチケットを取った。
施設に着いて病室に駆け込むと、酸素チューブを着け、弱々しい息をする楓さんと目が合った。
聞いていたよりも状態は悪く、今から治療をしても。

「あきら・・・さん・・・」
「こんなに・・・遅なってごめん・・・」
「治療、法・・・探して・・・」

治癒魔法を掛けても症状が和らいだ様子は無かった。

「俺が遠出なんてしたからっ・・・」
「しかた・・・ない・・・です・・・」

楓さんは何でも仕方ないから言うて諦める。
こっちの世界に来た事も、この施設から出られへんことも。
俺に力が足りひんから出られへんのに。
そのせいでこの状態じゃ、いくら俺でももう。
それを分かっていながら処置をした。楓さんに悟られないように感情を押し殺して。
安心しきった顔で、楓さんが目を閉じた。途端に心電計が危険を知らせた。

「楓さん・・・」

医者としての経験と勘が無駄だと言うてでも、尽くせる限りの手を尽くした。
心臓が止まって素早く馬乗りになり、胸骨を圧迫した。

「もう無駄だ。」

背後から声がして、我に返った時には、俺は泣いていて、手元には涙の跡がいくつも付いていた。
俺の醜い泣き顔が、後ろから首に宛てがわれた刃に映る。

「楓様のご慈悲に感謝しろ。」

覚悟して目を閉じた。

「先生!大丈夫ですか!?」

揺すり起こされて俺は最悪の悪夢から目が覚めた。
スマホで弟の定期連絡を確認して、体の力が抜けた。
楓さんはまだ危ない状況やない。
この状況なら十分間に合う。
異常な量の汗と滲んだ涙をタオルで拭いた。

「先生、水をお持ちします。」
「ああ・・・頼む。」

もし状況が変わったら、悪夢は現実になるかもしれへん。
俺が決断できずに他の方法を探し回ってたからや。

「覚悟を・・・決めるしかないな・・・」
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