運命のパズル

6章

彩由美の協力と意外な才能

第6章: 彩由美の協力と意外な才能

体育館は騒然としていた。全校生徒が集まり、不安と興奮が入り混じった空気が漂っている。葉羽と彩由美は、人混みをかき分けて前の方へと進んでいった。
校長が壇上に立ち、マイクを手に取った。その表情は普段にも増して厳しく、生徒たちを静かにさせるのに一苦労していた。
「静粛に」校長の声が響き渡る。「重大な発表がある」
体育館が静まり返る中、校長は深刻な表情で続けた。
「昨日から行方不明になっていた山田さんの携帯電話から、メッセージが届きました」
葉羽の目が鋭く光った。彩由美は思わず彼の腕を掴んだ。
「そのメッセージには...」校長は一瞬言葉を詰まらせた。「学園祭中止を要求する脅迫文が含まれていました」
会場がざわめく。葉羽は眉をひそめ、頭の中で様々な可能性を巡らせていた。
「しかし」校長は声を張り上げた。「我々は屈しない。学園祭は予定通り行います。そして、山田さんの無事な帰還のために、全力を尽くします」
拍手が沸き起こる。しかし、葉羽の表情は冴えない。
「葉羽くん...」彩由美が心配そうに声をかけた。
葉羽は彼女を見つめ返した。「彩由美、君に手伝ってもらいたいことがある」
二人は体育館を出て、誰もいない教室に入った。葉羽はポケットから例の紙切れを取り出した。
「この暗号、解読できないだろうか」
彩由美は紙切れを受け取り、じっと見つめた。「7-15-9-14...これって...」
彼女の目が突然輝いた。「あ！これ、アルファベットの順番を数字に置き換えたものじゃない？」
葉羽は驚いた表情を浮かべた。「どういうことだ？」
彩由美は興奮気味に説明を始めた。「ほら、Aが1、Bが2って数えていくでしょ？だからこれは...J-O-I-N！」
「JOIN...」葉羽は呟いた。「『参加しろ』か『加われ』という意味か...」
彩由美は嬉しそうに微笑んだ。「当たってる？」
葉羽は彼女をまっすぐ見つめた。「ああ、素晴らしい洞察力だ。彩由美、君には隠れた才能があるな」
彩由美は頬を赤らめた。「そ、そんな...ただの偶然よ」
「偶然じゃない」葉羽は真剣な表情で言った。「君の直感と観察力が、この事件の解決に大きな役割を果たすかもしれない」
彩由美は照れくさそうに髪をかきあげた。「じゃあ、私にできることがあったら何でも言って」
葉羽はうなずいた。「ああ、これからも協力してくれ」
その時、教室のドアが開いた。佐々木が息を切らせて飛び込んできた。
「大変だ！山田から新たなメッセージが...」
葉羽と彩由美は顔を見合わせた。事態は新たな展開を迎えようとしていた。
「内容は？」葉羽が冷静に尋ねた。
佐々木は震える手でスマートフォンを差し出した。画面には短いメッセージが表示されていた。
「真実は闇の中に。光を恐れるものたちの祭りが始まる」
葉羽の目が鋭く光った。「これは...」
彩由美が小さく息を呑んだ。「まるで、誰かが私たちを試しているみたい...」
葉羽は腕を組んで考え込んだ。「ああ、そうかもしれない。そして、その試練はまだ始まったばかりだ」
教室の窓から差し込む陽光が、三人の緊張した表情を照らしていた。葉羽は静かに呟いた。
「闇の中の真実か...必ず見つけ出してみせる」