影蝕の虚塔 - かげむしばみのきょとう -

葉羽

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5章

深淵の囁き - 真実への道標 -

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「永遠に…閉じ込められる…?」

葉羽は綺羅星の言葉を反芻し、戦慄した。時間の牢獄。それは、死よりも恐ろしい罰だった。彩由美もまた、恐怖に震え、葉羽の腕にしがみついた。

「…そんな…嘘よ…ここから出られるはず…」

彩由美は涙を流しながら呟いた。彼女の言葉は、祈りのようにも聞こえた。

綺羅星は冷淡な視線で二人を見つめていた。

「…諦めるのはまだ早い。この装置の仕組みを解明できれば、脱出する方法も見つかるかもしれん。」

そう言うと、綺羅星は部屋の奥へと消えていった。葉羽と彩由美は、呆然と彼の後姿を見送った。

二人はしばらくの間、沈黙を守っていた。絶望的な状況の中で、希望を見出すのは困難だった。

「…葉羽君…どうする…?」

彩由美が不安げに尋ねた。彼女の言葉に、葉羽は決意を新たにした。

「…諦めるわけにはいかない。必ず、ここから脱出する方法を見つける。」

葉羽は部屋の中を調べ始めた。壁には、複雑な図形や記号が刻まれていた。そして、床には、奇妙な形の石板が埋め込まれていた。

「…これは…?」

葉羽は石板に刻まれた文字に気づいた。それは、古代文字のようだった。葉羽は手帳を取り出し、手帳に書かれていた文字と比較してみた。

「…同じだ!この石板にも、同じ文字が刻まれている!」

葉羽は興奮気味に叫んだ。手帳は、以前の犠牲者が残したものだった。つまり、この石板は、脱出の手がかりになるかもしれない。

葉羽は石板の文字を解読しようと試みた。しかし、古代文字は複雑で、意味を理解するのは困難だった。

その時、彩由美が部屋の隅に置かれた古い箱に気づいた。

「葉羽君、見て!あれ…」

彩由美が指差す方を見ると、木箱には鍵穴がついていた。葉羽はポケットを探り、小さな鍵を取り出した。それは、彼が屋敷で偶然見つけたものだった。

「…もしかしたら…」

葉羽は鍵を鍵穴に差し込み、回した。カチッという音と共に、木箱の蓋が開いた。

木箱の中には、一枚の羊皮紙が入っていた。羊皮紙には、虚塔の設計図と、装置の操作方法が記されていた。

「…これだ!」

葉羽は叫んだ。ついに、脱出の手がかりを見つけたのだ。

羊皮紙によると、この装置は、特定の周波数の音と光を発生させることで、時間と空間を歪ませることができるという。そして、装置を停止させるためには、特定の順番で石板を操作する必要があるらしい。

葉羽は彩由美と共に、石板を操作し始めた。石板は複雑なパズルになっており、正しい順番で操作しなければ、装置は停止しない。

二人は試行錯誤を繰り返しながら、石板を操作していった。時折、壁から不気味な音が聞こえてきて、二人の緊張感を高めた。

そして、ついに、最後の石板がはまった。

その瞬間、部屋全体が光に包まれた。オブジェの回転が止まり、壁の鏡は元の状態に戻った。窓の外の景色も、元の景色に戻っていた。

「…やった…!」

葉羽は安堵のため息をついた。彼らは、ついに時間の牢獄から脱出できたのだ。

その時、部屋の奥から、綺羅星の声が聞こえてきた。

「…よくやった…君たちは、この塔の秘密を解き明かした…」

綺羅星は部屋の奥からゆっくりと姿を現した。彼の顔には、以前とは異なる、優しい笑みが浮かんでいた。

「…綺羅星さん…あなたは…一体…?」

葉羽は混乱しながら尋ねた。綺羅星は静かに答えた。

「…わしは、この塔を作った古代文明の末裔じゃ。そして、この装置は、わしらの祖先が作り出したものなんじゃ…」

綺羅星の言葉に、葉羽は驚愕した。古代文明…それは、想像を絶する真実だった。

「…では、なぜ…あなたは…僕たちにこんなことを…?」

葉羽は再び尋ねた。綺羅星は静かに目を閉じた。

「…それは…君たちに試練を与えるためじゃった…。この塔の秘密を解き明かせる者だけが、真実に辿り着ける…」

綺羅星の言葉に、葉羽は深い意味を感じた。虚塔は、単なる迷宮ではなかった。それは、真実に辿り着くための試練の場だったのだ。

そして、葉羽は一つの真実に辿り着いた。この事件は、単なる事故ではなかった。それは、誰かが仕組んだ陰謀だった。

葉羽は決意を新たにした。真犯人を探し出し、事件の真相を暴くまでは、諦めるわけにはいかない。
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