影蝕の虚塔 - かげむしばみのきょとう -

葉羽

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7章

虚構の崩壊 - 真相の顕現 -

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巨大な黒い影は、まるで生き物のように蠢きながら葉羽に迫ってきた。その圧倒的な存在感に、葉羽は身動き一つ出来ずに立ち尽くす。逃げようにも、足が根が生えたように動かない。恐怖が全身を駆け巡り、息をするのも苦しかった。

その時、葉羽の脳裏に、過去の記憶がフラッシュバックした。両親との楽しかった思い出、彩由美との穏やかな日々…それらが走馬灯のように駆け巡り、彼の心を温かく包み込んだ。そして、大切な人々を守るため、彼は恐怖に打ち克つ力を得た。

「…僕は…負けない…!」

葉羽は叫び、影に立ち向かった。彼はポケットから、いつも持ち歩いている推理小説を取り出した。それは、彼が最も愛する作家の作品だった。

「…この本には…論理と真実が詰まっている…!」

葉羽は本を高く掲げ、影に投げつけた。本は影に命中し、そのまま吸い込まれていった。

すると、驚くべきことが起こった。影は激しく震え始めたかと思うと、みるみる小さくなっていった。まるで、光に当たった闇のように、消え去っていく。

「…何が…起こっているんだ…?」

葉羽は呆然としながら、影が消えていく様を見つめていた。その時、部屋の奥から、綺羅星が現れた。彼の顔には、もはや鬼のような形相はなく、深い悲しみが刻まれていた。

「…全て…終わった…」

綺羅星は呟いた。彼の言葉に、葉羽は疑問を投げかけた。

「…一体、何が終わったというんです?あの影は…何だったんですか?」

綺羅星の口から、驚くべき真実が語られた。

「…あの影は…この塔に囚われた…人々の恐怖の集合体…そして…わしの…心の闇…だった…」

綺羅星は、かつてこの塔で行われた実験の犠牲者たちの末裔だった。彼は、祖先たちが受けた苦しみを償うため、そして、この塔に囚われた人々の魂を解放するために、自ら装置を起動させ、影を生み出したのだ。

「…しかし…装置を起動させたことで…わし自身の心も…闇に囚われてしまった…」

綺羅星は苦しそうに胸を押さえた。彼の体は、まるで影に蝕まれたように、徐々に消え始めていた。

「…あなたは…犠牲者たちを…救おうとしていた…?」

葉羽は理解した。綺羅星は、悪人ではなかった。彼は、ただ過去の過ちを償おうとしていたのだ。

「…もう…遅い…わしの…時間は…尽きた…」

綺羅星の体は、完全に消え去ろうとしていた。彼は最後の力を振り絞り、葉羽に語りかけた。

「…この塔の…秘密は…永遠に…封印するのだ…そして…彩由美さんを…頼む…」

綺羅星の言葉と共に、彼の体は完全に消滅した。部屋には、葉羽一人だけが残された。

その時、葉羽は彩由美のことを思い出した。彼女は、どこにいるのだろうか?無事なのだろうか?

葉羽は部屋を飛び出し、彩由美を探し始めた。そして、ついに、塔の最上階で彼女を発見した。彼女は、床に倒れ込んでいた。

「…彩由美!」

葉羽は駆け寄り、彩由美を抱き起こした。彼女は意識を失っていたが、怪我はなさそうだった。

葉羽は安堵のため息をついた。そして、彼は彩由美を抱きかかえ、塔の外へと出た。

外は既に夜だった。満天の星空の下、葉羽は彩由美を抱きしめ、静かに涙を流した。

全ての謎が解け、事件は解決した。しかし、葉羽の心には、深い悲しみと、そして、新たな決意が芽生えていた。

彼は、この事件を風化させてはならない。そして、綺羅星の願いを叶えるため、この塔の秘密を永遠に封印しなければならない。

葉羽は彩由美を抱きかかえ、島を離れる船に乗り込んだ。朝日が昇り始める中、虚塔は徐々に小さくなっていき、やがて水平線の彼方へと消えていった。

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