視界迷宮の村 絶望の連鎖と歪む残像

葉羽

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6章

共犯者の影

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葉羽と灯矢は、メモに記された座標を頼りに、白髯村の北側にある崖へと向かった。山道は険しく、足元は不安定だった。彩由美も同行を申し出たが、葉羽は危険すぎるからと諭し、白銀館で待機してもらうことにした。

「錬司刑事は、一体なぜ、こんな場所へ…」

灯矢は、険しい山道を歩きながら、呟いた。彼は、叔父の死の真相をどうしても知りたいと思っていた。

「きっと、何か重要な手がかりを探していたのでしょう。」

葉羽は、冷静に答えた。彼は、錬司が命をかけてまで守ろうとした真実が、この崖の先に隠されていると信じていた。

二人は、数時間かけて山道を登り、ついに座標の場所に辿り着いた。そこは、崖の突端にある小さな洞窟だった。洞窟の入り口は狭く、身を屈めなければ入ることができなかった。

葉羽と灯矢は、懐中電灯を手に、洞窟の中へと入って行った。洞窟の中はひんやりとしていて、湿った空気が漂っていた。洞窟の壁には、奇妙な模様が刻まれていた。それは、まるで何かの暗号のようだった。

「これは…」

葉羽は、壁の模様に目を凝らした。模様は、一見すると無意味な落書きのように見えたが、葉羽は、何か意味があるのではないかと感じていた。

葉羽は、模様を注意深く観察し、分析した。そして、ついに、模様に隠されたメッセージを発見した。模様は、ある人物の名前を示していたのだ。

「日光寺晴玄(にっこうじ せいげん)…!」

葉羽は、驚きを隠せない様子で、その名前を口にした。日光寺晴玄、それは、白髯村の村長の名前だった。

「村長…?」

灯矢も、葉羽の言葉に驚き、壁の模様を見つめた。彼は、村長が事件に関わっているとは、想像もしていなかった.

「はい. 間違いありません. この模様は、村長の名前を示しています。」

葉羽は、確信に満ちた声で言った。「錬司刑事は、村長が事件に関わっていることを知り、この洞窟で彼と接触しようとしていたのでしょう。」

「しかし、なぜ、村長は、事件に関わっているのでしょうか?」

灯矢は、疑問を投げかけた。彼は、村長が事件に関わっている理由が理解できなかった.

「それは、まだ分かりません。しかし、村長に話を聞けば、事件の真相が分かるはずです。」

葉羽は、真剣な表情で言った。「灯火刑事、一緒に、村長に会いに行きましょう。」

二人は、洞窟を出て、村役場へと向かった。村役場は、静まり返っていた. 受付の女性は、葉羽と灯矢の姿を見るなり、驚いた表情を浮かべた.

「どうしましたか?こんな時間に…」

女性は、戸惑いながら尋ねた。

「村長に会いたい。」

葉羽は、単刀直入に言った.

「村長は、今、不在です。」

女性は、再び同じ言葉を繰り返した。

「不在…?」

葉羽は、女性の言葉に不信感を抱いた。彼は、女性が何かを隠していると感じていた.

「はい. 村長は、今朝早く、出張に出かけました。」

女性は、必死に説明しようとした。

「出張…?」

葉羽は、さらに疑念を深めた. 彼は、女性が嘘をついていると確信していた.

「はい. 急な出張で…申し訳ありませんが、また後日お越しください。」

女性は、葉羽たちを追い払おうとした。

「待ってください。」

葉羽は、女性の言葉を遮り、真剣な表情で言った。「私たちは、錬司刑事の死について、重要な情報を得ています. それは、村長に直接伝えなければならない情報です。」

葉羽の言葉に、女性の顔色が変わった. 彼女は、明らかに動揺していた.

「そ…それは…」

女性は、言葉に詰まった。

「私たちは、錬司刑事が、村長と接触しようとしていたことを知っています. そして、錬司刑事が発見した手がかりは、この洞窟の中に隠されていました。」

葉羽は、洞窟で見つけた模様のことを女性に話した.

「そんな…まさか…」

女性は、驚愕の表情を浮かべた。彼女は、葉羽たちが、洞窟の秘密を知っていることに驚きを隠せなかった.

「私たちは、事件の真相を知りたいと思っています。そして、錬司刑事が命をかけてまで守ろうとした真実を明らかにしたいと思っています. そのためには、村長の協力が必要です。」

葉羽は、真剣な眼差しで女性を見つめた。

女性の心は揺れていた。彼女は、葉羽たちの熱意に心を打たれ、真実を隠しきれなくなった.

「…分かりました. あなた方に、全てを話しましょう。」

女性は、ついに覚悟を決めたように言った。「実は…村長は、蒼也さんの事件に関わっています。」

女性の言葉に、葉羽と灯矢は衝撃を受けた。彼らは、村長が事件に関わっていることを薄々感づいていたが、実際にそれを聞くと、改めて衝撃の大きさを実感した。

「村長は、蒼也さんを殺害した真犯人ではありません. しかし、彼は、真犯人を隠蔽するために、共犯者として加担していました。」

女性は、涙ながらに告白した。「真犯人は…」

女性は、真犯人の名前を明かそうとした. その瞬間、女性の背後から、何者かの影が現れた. 影は、女性に襲いかかり、彼女の口を塞いだ.

「きゃあああああっ!」

女性は、悲鳴を上げた。葉羽と灯矢は、すぐに女性の助けに向かおうとしたが、影は素早く逃走した. 女性は、床に倒れ込み、意識を失っていた.

葉羽と灯矢は、すぐに女性の手当てをした。幸い、女性は命に別状はなかった。しかし、彼女は、恐怖のあまり、何も話すことができなくなっていた。

「くそっ…逃げられた!」

灯矢は、悔しそうに拳を握り締めた.

「大丈夫だ. 必ず犯人を捕まえる。」

葉羽は、力強い声で言った。彼は、事件の真相に、さらに近づいていることを感じていた。そして、彼は、真犯人と共犯者の正体を、必ず暴き出すことを心に誓った。共犯者の存在が、事件をさらに複雑なものにしていた.

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