時を喰らう館：天才高校生探偵、神藤葉羽の難解推理

14章

血染めの決闘

朽木蒼司の居場所を突き止めた葉羽は、彩由美と共に、天堂家洋館の地下深くへと降りていった。地下には、広大な空間が広がっており、複雑に入り組んだ迷路のような通路が続いていた。空気は冷たく湿っぽく、カビ臭い匂いが鼻をついた。まるで、この地下空間自体が、天堂家の隠された罪と、蒼司の復讐心を閉じ込めるための牢獄のようだった。

「気を付けて、彩由美。ここは、蒼司が仕掛けた罠だらけだ」

葉羽は、懐中電灯で周囲を照らしながら、慎重に歩を進めた。通路の壁には、不気味な模様が刻まれており、まるで古代の呪文のようだった。彩由美は、葉羽の腕にしっかりと掴まり、緊張した面持ちで周囲を見回していた。

葉羽は、過去の事件の調査で得た情報をもとに、蒼司の思考を読み解こうとしていた。蒼司は、緻密な計画を立てることに長けており、常に一手先を読んでいた。この地下迷路にも、様々な罠が仕掛けられているはずだった。

最初の罠は、落とし穴だった。葉羽は、床のわずかな隙間を見つけ、間一髪で回避することに成功した。次の罠は、毒針だった。壁に仕掛けられた小さな穴から、毒針が飛び出してくる仕掛けだったが、葉羽は、事前にその存在に気づき、彩由美を庇って難を逃れた。

蒼司の罠は、どれも巧妙で、死に至る危険なものが多かった。しかし、葉羽は、持ち前の推理力と冷静な判断力で、罠を一つ一つ突破していった。彩由美も、葉羽をサポートし、共に危険を乗り越えていった。

「蒼司は、一体何を考えているんだ？　こんなにも危険な罠を仕掛けて、僕らを殺そうとしているのか？」

彩由美は、恐怖に震えながら、葉羽に問いかけた。

「おそらく、蒼司は、僕を試しているんだ。僕の推理力、そして覚悟を試しているんだ」

葉羽は、静かに答えた。彼は、蒼司が、ただの復讐鬼ではないことを感じていた。蒼司は、葉羽に何かを伝えようとしている、そんな気がしていた。

長い通路を抜け、ついに彼らは、地下迷路の中心部へとたどり着いた。そこには、広間のような空間が広がっており、中央には、蒼司が立っていた。彼は、黒いコートを身にまとい、まるで闇の支配者のような威圧感を放っていた。

「よくここまで辿り着いたな、神藤葉羽」

蒼司は、冷たく言い放った。彼の声は、地下空間に響き渡り、不気味なエコーを生み出した。

「朽木蒼司、貴様の目的は何だ？　なぜ、こんなことをする？」

葉羽は、蒼司に問いかけた。彼は、蒼司の真意を知りたがっていた。

「僕の目的は、復讐だ。天堂家一族に、復讐をする」

蒼司は、静かに答えた。彼の瞳には、深い憎しみと、拭いきれない悲しみが宿っていた。

「復讐だけでは済まないだろう。貴様は、何かを隠している」

葉羽は、蒼司の言葉の裏に隠された、真の目的を感じ取っていた。

「フフフ…鋭いね、神藤葉羽。だが、もう遅い。全ては、僕の計画通りに進んでいる」

蒼司は、不気味な笑みを浮かべた。そして、懐からナイフを取り出し、葉羽に襲いかかった。血染めの決闘が始まった。