時を喰らう館:天才高校生探偵、神藤葉羽の難解推理

葉羽

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16章

解き放たれた真実

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爆弾のタイマーが、無情にも時を刻んでいた。残り時間は、あとわずか。葉羽は、冷や汗を流しながら、設計図に書かれた複雑な暗号を解読しようと試みていた。暗号は、数字、記号、そして古代文字が組み合わされた、非常に難解なものだった。

「落ち着け…落ち着くんだ、葉羽」

葉羽は、自分に言い聞かせた。焦りは禁物だ。彼は、深呼吸をし、冷静に暗号を見つめた。そして、あることに気づいた。暗号の一部に、クロノスの花の模様が隠されていたのだ。

「クロノスの花……まさか、これが鍵なのか?」

葉羽は、閃いた。彼は、クロノスの花について書かれた古書を思い出した。クロノスの花は、特定の波長の光を照射することで、隠されたメッセージを浮かび上がらせることができるという記述があった。

葉羽は、懐中電灯を取り出し、クロノスの花の模様に光を当てた。すると、模様が輝き出し、新たな暗号が現れた。それは、爆弾の解除コードだった。

葉羽は、急いで解除コードを入力した。タイマーは、残り数秒で停止した。爆弾は、間一髪で解除された。

「やった…!」

彩由美は、安堵のあまり、葉羽に抱きついた。葉羽も、彩由美の温もりに、緊張が解けていくのを感じた。

しかし、事件はまだ終わっていなかった。葉羽は、蒼司の真の目的が、単なる復讐ではないことを確信していた。

葉羽は、蒼司に問いかけた。

「蒼司、貴様の真の目的は何だ? なぜ、こんなにも複雑な計画を立てた?」

蒼司は、沈黙を破り、語り始めた。

「私の目的は、天堂家への復讐だけではない。私は、この世界に絶望した人間たちに、仮想現実という新たな楽園を提供したかったのだ」

蒼司は、VR技術を駆使し、現実世界とは異なる、理想的な仮想世界を作り出していた。彼は、その仮想世界に、現実世界に絶望した人々を招待し、永遠の幸福を提供しようとしていたのだ。

「しかし、その楽園は、偽りの幸福でしかない。人々は、仮想世界に依存し、現実世界を見失ってしまう」

葉羽は、蒼司の計画の危険性を指摘した。

「それでもいい。現実世界は、苦しみと絶望に満ちている。仮想世界こそが、真の楽園なのだ」

蒼司は、自分の信念を曲げなかった。彼は、現実世界を否定し、仮想世界に逃避しようとしていたのだ。

葉羽は、蒼司の言葉を聞き、深い悲しみを感じた。彼は、蒼司の心の傷を理解し、同情していた。しかし、同時に、蒼司のやり方は間違っていると確信していた。

「蒼司、貴様は間違っている。真の幸福は、現実世界でしか見つけることはできない」

葉羽は、蒼司に語りかけた。彼は、蒼司に、現実世界と向き合い、真の幸福を見つけてほしいと願っていた。

蒼司は、葉羽の言葉に、静かに耳を傾けた。そして、ついに、彼は自分の過ちを認めた。

「… perhaps, you are right. I was wrong…」

蒼司は、静かに呟いた。彼の目から、一粒の涙がこぼれ落ちた。

事件は、解決した。蒼司は、警察に逮捕され、裁きを受けることになる。葉羽は、全ての真実を解き放ち、事件に終止符を打った。
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