残響鎮魂歌(レクイエム)

葉羽

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14章

残響の果て

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意識を取り戻した葉羽は、すぐさま彩由美と共に豪邸へと向かった。朔也は、まだ研究室に閉じこもっているはずだ。そして、彼は、おそらく次のターゲットを探しているだろう。

「葉羽くん、無理しないで。まだ体が…」彩由美は心配そうに葉羽に言った。

「大丈夫だ。やらなければならないことがある」葉羽は決然とした表情で答えた。彼は、50年前の事件の真相を明らかにし、朔也の復讐を終わらせなければならない。そして、祖父の汚名を晴らさなければならない。

豪邸に到着した二人は、慎重に研究室へと向かった。研究室のドアは開いており、中には誰もいなかった。音響発生装置は停止しており、不気味な静寂が漂っていた。

「朔也先生は…?」彩由美が不安そうに尋ねた。

その時、葉羽は窓の外に目をやった。庭の奥にある古井戸の周りに、人影が見えた。それは、朔也だった。

「あそこだ!」葉羽は叫び、彩由美と共に庭へと駆け出した。

朔也は、井戸の縁に立ち、何かを呟いていた。彼の様子は、明らかに異常だった。

「朔也先生!」葉羽は朔也に近づきながら叫んだ。

朔也はゆっくりと振り返り、葉羽を見つめた。彼の目は虚ろで、焦点が定まっていない。

「お前か…ついに来たか…」朔也は呟いた。「お前も…私の姉と同じように…犠牲になるのだ…」

朔也は、井戸の中に何かを落とそうとしていた。それは、50年前の事件の証拠品、そして朔也の姉の形見であるネックレスだった。彼は、証拠を隠滅し、姉と共にこの世を去ろうとしていたのだ。

「朔也先生!やめてください!」葉羽は叫んだ。「あなたの姉は、そんなことを望んでいません!」

葉羽は、13章で得た記憶の断片を朔也に語り始めた。祖父が警察に通報しようとしていたこと、証拠品を井戸に隠したこと、そして、朔也の姉が儀式から逃れようとしていたこと。

朔也は、葉羽の言葉に耳を傾け、徐々に正気を取り戻していく。彼の目は、狂気的光芒から、悲しみと後悔の色へと変わっていった。

「…そんな…はずは…」朔也は呟きながら、手にしていたネックレスを握りしめた。

その時、朔也の足元が崩れ、彼は井戸の中に落ちてしまった。葉羽と彩由美は、驚きのあまり声を失った。

葉羽はすぐに井戸の縁に駆け寄り、中を覗き込んだ。しかし、中は暗闇に包まれており、何も見えなかった。

「朔也先生!」葉羽は叫んだが、返事はなかった。

残響の果て、朔也の復讐劇は終わりを告げた。しかし、彼の心に刻まれた傷跡は、永遠に消えることはないだろう. 葉羽は、井戸の底から聞こえてくる風の音に耳を澄ませながら、静かに目を閉じた。
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