ドラゴンディセンダント

ドクターわたる

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結成!1年生だけのチーム⑬

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既に郷田のラージシールドは2つともバラバラに消し飛んでいる。魔装鎧も破損部位が多い。郷田は顔面から流血して命乞いしている。

「坊ちゃん。自分が得意なのは探知とトラップですよ。前からご説明していますがね。こんなバケモノのような武闘派とは戦えませんよぉ」
「な・・・な・・・な・・・」
2人を見ている神明帝は両膝をついており焦点が合わず呆けている。あら壊れちゃったかな。
「帝だっけ・・・まさか終わりじゃねえんだろ!・・おかわり・・・だ!てめえのせいで今日ランク戦行けなかったじゃねえか!あと5戦させろ!」まだまだ満足しない・・・。
「き、きき貴様。は。はは!母上の私設部隊はこんなものではないぞ!こんなものではな!わかったな!わかったら・・・」今度はママが出てきたな。
「おお!すげえのいるなら呼んでくれよ!何分で来れる?」
「な、ななにを言っておる!ぶ、無礼者」
「じゃあこっちから行ってもいいぜ。おまえの母ちゃんとやらはどこにいんだ?」
「・・・は・・・はあ?・・・」あ・・・本日2度目の失禁・・・。

でも助けが来たようだ。
「―――葵ちゃーん!」
「姐さ――――ん!!」
あたりを観察しつつ緑川尊が近づいてきて、はあはあ言っている未来も後ろを着いてきている。
「良かったっす。何か所か探したっすけどまだ大ごとになってないっすね。煙が出てて分かったす」
「はあはあ。十分大ごとな気がするのなの」

原っぱはかなり焼けただれ、どこそこ黒い煙が出ている。

完全に心が折れている帝を無視して3人は話している。
「んだよ。未来に緑川」
「如月の姐さん、弱いものイジメは良くないっすよ」
「弱いものイジメなんてしねーぜ。コイツが力を示してくれるって言うからよ、権力と金で強えー知り合いを紹介してもらってんだ、それだけだぜ」紹介するなんて言ってなかったけどねえ。

「なるほどっす。まあその派手な服の人・・・多分っすけど。俺の見立てだと飛竜使いでTMPA1万くらいっすよね。何年生なんすか?」帝は答えない。

お?ちゃんと見えてるね緑川君。

「3年生って言ってたのなの」かわりに未来が答える「3年生でTMPA1万だとまあ戦闘力の偏差値でいうと、降魔六学園3年では偏差値30くらいっすよね。激弱レベルっす。第3高校だと1年生召喚戦士の真ん中くらいっす。そりゃ権力や財力に偏りたくなるのもわかるっすけど・・・。とにかく相手が悪いっす。うちの姐さんは殴ってどっちが強いかしか興味ないんで・・・それと飛竜も火竜の一種すけど姐さんの竜は“紅蓮返し”なんすよ。最強の火竜っす。財力をどれだけつんでも姐さんより強力なポテンシャルの火竜は連れてこれないっすよ。関わらないのが一番っす」うん正論だね、帝にもご機嫌伺うイエスマンばっかじゃなくってこういう部下がいればね。無理か・・・自分で遠ざけるからな。

「なるほど防御結界が役に立たないのは結界破りの火竜というわけですか・・コワいコワい」もこもこのおじさんがブツブツ喋っている。帝は地面につっぷして顔が見えなくなってしまった。

「いやでもまだ途中なんだけどよ」まだ足りないんかい。
「あ・・・葵ちゃん・・・お腹すかない・・・なの?」

グゥ・・・。

「いやあ・・・」お腹が鳴って葵は軽く赤面している。
「姐さん、この緑川がおごるっす。もう午後6時半っすよ。今日イベント企画部で面白い話があったんすよ。聞いてくださいっす」
「そうか、まあ腹も空いたな・・・じゃあ今日はここまでにすっか・・・帝だっけ。残りは明日連れてこい・・・」まあまあ。
「まあまあ葵ちゃん・・・どうもみなさんご迷惑おかけしました・・・すこしですけど回復しますなの」・・・未来にもまあまあ言われてるな。

未来は地面につっぷしている帝を回復し。もこもこおじさんも回復しようとする。
「ヒイイイ!いや・・わたしは結構・・・自分でできますから」そんなに怯えなくても。
「そうなのなの・・・ご迷惑おかけしましたなの」
丁寧に未来はお辞儀している。

―――葵と未来と緑川は去っていった・・・。

風が吹く焼け野原には寂しく二人が残されたが、もこもこのおじさんは黒服にもどって両手を後ろで組み目を細めて3人が去った方を観察している。
「坊ちゃん、相手が悪すぎますね。あいつらは危ないですよ。命を捨てる覚悟が無いなら、あの男子生徒が言っていた通り関わらない方が賢明です。・・・・ああ。それはそうと休日出撃ボーナスは頂きますのであしからず」
覚悟などあろうはずもない帝はまだ立ち上がれそうになかった。
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