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戦闘は否応なしに開始される―――鏡の国の葵―――⑩
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―――20:00頃・・・“ドラゴンディセンダント”の方は・・・やっぱり動きがあったようだ。
メンバーは軽く食事は済ませたようだ。
校舎からやや離れて葵が帝をボコボコにした原っぱを抜けて林になっている場所に足早に入って行く。
「―――何者なんすか、姐さんのお師匠様って。とんでもないっす」緑川は小走りで走りながら葵に尋ねる。
「どういった能力・・・高度過ぎる気が・・・うち真言が使用できるなんて一言も」
「まじか・・・なんとかなるんか」ロミオはまだ腑に落ちないようだ。
「こんなとんでもない姫の姉御のお師匠様なら分かる気がするけど」レオナもいる。
「アスモちゃんも驚きであります・・・そのような信じられない術式を組むとは・・・神話の中でも数えるほどしかいないであります」
食事中に葵の端末にメールがあり鏡の国の裏口の場所と侵入方法が細かく記載されていたのだ。
侵入にはアスモの古代の術式と三守沙羅のランク4魔法、真言を組み合わせて複合魔法を形成する。
異界化結界に穴を開けるのだ。
「王家専属の超スゲーコーチみたいな感じっすか?大賢者クラスっすね」
「へへ。まあそんなとこだな。あたしも能力はあんま知らねえんだよ」
みんなに合わせて走っているわけか・・・緑川はもっと早く走れるし、葵はさらに早く走れる。
次第に問題の裏口の場所が見えてくる。
「しかし気持ち悪いでかい廃屋やな・・・」
「ここが入り口っすか・・・アスモちゃん探知をお願いするっす」
「はいであります・・・ああいるであります、近づいて来るであります」
すぐにアスモの探知になにかひっかかったようだ。
だが周囲に魔族の反応はない。
今は魔族に居場所がバレないはずだし・・・。
でもみんな反応は良くなったな。
「なんや!もうかいな!」
「まじっすか」
「どこだ!」
「臨戦態勢・・・」
QMでの魔族との戦闘経験からか全員すみやかに魔装した・・・。
「あんたらやるもんだね。あたいも負けてらんない」レオナもやや遅れてトゲトゲの身体に変身する。
「いえ・・・魔族ではなく人の反応であります・・・早い・・・近づいて来るであります。魔族は近くに鏡にもいないであります」
「なんや人騒がせ・・・」
年齢相応のロミオはまだまだ実戦は厳しいか。
「いやロミオ・・・人間の方がヤバいっす・・・下手したらゲヘナの幹部が相手っす」
もう一度全員の緊張が高まる・・・。
いい反応だ、悪くない。
・・・猫のように走ってくるのはまあ大津留ジェニファーさんだけどね。
「おーい!1回生たち・・・何にこんな殺気立ってるわけ?」
暗がりから現れ急ブレーキ中の金髪の女性だ。髪が振り乱れている。チームDD-starsの3年生、大津留ジェニファーだ。
「ジェニちゃんかよ!」
「ジェニファーのお姉さまではありませんか!」
「こんばんは。大津留先輩」
「こ。こんばんは」
全員ふっと力が抜けている。ちゃんと挨拶できているな・・・。
「・・・DD-starsがなんのようだい?」
だが明らかにレオナは警戒度数が増している、大津留さんとは仲悪そうだ。
「一度にしゃべんなよ“ドラゴンディセンダント”たち。んん?“紅爆轟”がまじってるわけ?・・・まあそれはいいけど。如月1回生。ジェニファー先輩と呼びなさい」
「あのうれしいんすけど俺たち急ぐんす」緑川は胸をガン見しながらもまじめなことを言う。
「まあそれも今日はいいわけ。要はこの大津留ジェニファーも混ぜて欲しいわけ!秋元1回生がいなくなって・・・君たちは臨戦モードなわけ。何するか分かんない方がおかしいよね」
なるほど・・・ばれてるのか。
「・・・危険っす」
「1回生がなにを言う・・・このジェニファーに!それに役に立つわ。あたしは木属性だからね。5感はビンビン鋭敏なわけ」
真面目な顔から一変、ペロっと舌を出すジェニファーはネコの様だ。いやヒョウか。
「ジェニちゃんこれはアタシたちの問題だ」
「如月1回生。あたしの接近をいつから感じていた?・・・つまり君たちが仲良くお食事中の時からずっとつけてるわけ。そして、秋元1回生はあたしの後輩でもあるわけ」
まったく引く気ないな・・・ジェニファーは参加する気だ。
「敵はゲヘナっす。サポートはないっす。俺たちだけっすよ」
「ゲヘナか・・・うわさ通りなわけ。驚くわけないわけ」
もう一人廃屋前に走ってくる女生徒がいる。古風な顔立ちと髪型、彼女は“やまとなでしこ”と異名をとる・・・そして“粉砕ハンマー”とも時々呼ばれる。
「ちょおっとぉ―――!まちなさいよ!ジェニファー!」
「おそいよ。カンナ」
「ハァーもういい加減にして欲しいわ。全くもうなんなのよ」カンナは全身でめんどくさいをアピールしている。
ジェニファーとハアハア言っているカンナは並んで立つ。
「紹介するわ。あたしのチームメイト、武野島環奈よ」
「こんばんわっす」
「こんばんは・・・武野島先輩言うたら・・・あああ」
「よろしくな」「はじめまして三守と申します」
「あたいはよぉく知ってます」レオナは嫌そうだ。
DD-strasの武野島環奈・・・魔装すると“粉砕ハンマー”と呼ばれるのだ。
「早いのよ。あんたは全く・・・ああ。こんばんわ。ん?なによいい男が混じってるじゃない。・・・ふーん?あなた何て名前?何年何組?」カンナは緑川のまえで止まった、下から上までじろじろ見ている。そんなカンナは三守に睨まれている。
「俺っすか。緑川尊っす。1-Cっす」
「ああ1年生か・・・ああガキはだめよ。だめ。ああどっか空からいい男ふってこないかしら」
盛り上がって勝手に急降下していった。
「降ってくるわけないわけ。色ボケ女」
目を閉じてジェニファーはフルフル大げさに上半身を振っている。
「なによあんた!挑戦的じゃない!ちょっと胸がでかいと思って調子にのってんじゃないわよ」
な、何しに来たんだ・・・。
「うっさいわけ。怪力バカ女!」ジェニちゃん、ひどい言いようだな。
廃屋を見ながらカンナは大声でキレている。
「なによ!こんなぶっ壊れた武道館になんの用があるっての?」
「だから誘拐犯と戦うわけ。カンナ」
「ゆ、誘拐犯ですって。こんな大声で何考えてんのよ!」
おまえが言うか・・・武野島。
メンバーは軽く食事は済ませたようだ。
校舎からやや離れて葵が帝をボコボコにした原っぱを抜けて林になっている場所に足早に入って行く。
「―――何者なんすか、姐さんのお師匠様って。とんでもないっす」緑川は小走りで走りながら葵に尋ねる。
「どういった能力・・・高度過ぎる気が・・・うち真言が使用できるなんて一言も」
「まじか・・・なんとかなるんか」ロミオはまだ腑に落ちないようだ。
「こんなとんでもない姫の姉御のお師匠様なら分かる気がするけど」レオナもいる。
「アスモちゃんも驚きであります・・・そのような信じられない術式を組むとは・・・神話の中でも数えるほどしかいないであります」
食事中に葵の端末にメールがあり鏡の国の裏口の場所と侵入方法が細かく記載されていたのだ。
侵入にはアスモの古代の術式と三守沙羅のランク4魔法、真言を組み合わせて複合魔法を形成する。
異界化結界に穴を開けるのだ。
「王家専属の超スゲーコーチみたいな感じっすか?大賢者クラスっすね」
「へへ。まあそんなとこだな。あたしも能力はあんま知らねえんだよ」
みんなに合わせて走っているわけか・・・緑川はもっと早く走れるし、葵はさらに早く走れる。
次第に問題の裏口の場所が見えてくる。
「しかし気持ち悪いでかい廃屋やな・・・」
「ここが入り口っすか・・・アスモちゃん探知をお願いするっす」
「はいであります・・・ああいるであります、近づいて来るであります」
すぐにアスモの探知になにかひっかかったようだ。
だが周囲に魔族の反応はない。
今は魔族に居場所がバレないはずだし・・・。
でもみんな反応は良くなったな。
「なんや!もうかいな!」
「まじっすか」
「どこだ!」
「臨戦態勢・・・」
QMでの魔族との戦闘経験からか全員すみやかに魔装した・・・。
「あんたらやるもんだね。あたいも負けてらんない」レオナもやや遅れてトゲトゲの身体に変身する。
「いえ・・・魔族ではなく人の反応であります・・・早い・・・近づいて来るであります。魔族は近くに鏡にもいないであります」
「なんや人騒がせ・・・」
年齢相応のロミオはまだまだ実戦は厳しいか。
「いやロミオ・・・人間の方がヤバいっす・・・下手したらゲヘナの幹部が相手っす」
もう一度全員の緊張が高まる・・・。
いい反応だ、悪くない。
・・・猫のように走ってくるのはまあ大津留ジェニファーさんだけどね。
「おーい!1回生たち・・・何にこんな殺気立ってるわけ?」
暗がりから現れ急ブレーキ中の金髪の女性だ。髪が振り乱れている。チームDD-starsの3年生、大津留ジェニファーだ。
「ジェニちゃんかよ!」
「ジェニファーのお姉さまではありませんか!」
「こんばんは。大津留先輩」
「こ。こんばんは」
全員ふっと力が抜けている。ちゃんと挨拶できているな・・・。
「・・・DD-starsがなんのようだい?」
だが明らかにレオナは警戒度数が増している、大津留さんとは仲悪そうだ。
「一度にしゃべんなよ“ドラゴンディセンダント”たち。んん?“紅爆轟”がまじってるわけ?・・・まあそれはいいけど。如月1回生。ジェニファー先輩と呼びなさい」
「あのうれしいんすけど俺たち急ぐんす」緑川は胸をガン見しながらもまじめなことを言う。
「まあそれも今日はいいわけ。要はこの大津留ジェニファーも混ぜて欲しいわけ!秋元1回生がいなくなって・・・君たちは臨戦モードなわけ。何するか分かんない方がおかしいよね」
なるほど・・・ばれてるのか。
「・・・危険っす」
「1回生がなにを言う・・・このジェニファーに!それに役に立つわ。あたしは木属性だからね。5感はビンビン鋭敏なわけ」
真面目な顔から一変、ペロっと舌を出すジェニファーはネコの様だ。いやヒョウか。
「ジェニちゃんこれはアタシたちの問題だ」
「如月1回生。あたしの接近をいつから感じていた?・・・つまり君たちが仲良くお食事中の時からずっとつけてるわけ。そして、秋元1回生はあたしの後輩でもあるわけ」
まったく引く気ないな・・・ジェニファーは参加する気だ。
「敵はゲヘナっす。サポートはないっす。俺たちだけっすよ」
「ゲヘナか・・・うわさ通りなわけ。驚くわけないわけ」
もう一人廃屋前に走ってくる女生徒がいる。古風な顔立ちと髪型、彼女は“やまとなでしこ”と異名をとる・・・そして“粉砕ハンマー”とも時々呼ばれる。
「ちょおっとぉ―――!まちなさいよ!ジェニファー!」
「おそいよ。カンナ」
「ハァーもういい加減にして欲しいわ。全くもうなんなのよ」カンナは全身でめんどくさいをアピールしている。
ジェニファーとハアハア言っているカンナは並んで立つ。
「紹介するわ。あたしのチームメイト、武野島環奈よ」
「こんばんわっす」
「こんばんは・・・武野島先輩言うたら・・・あああ」
「よろしくな」「はじめまして三守と申します」
「あたいはよぉく知ってます」レオナは嫌そうだ。
DD-strasの武野島環奈・・・魔装すると“粉砕ハンマー”と呼ばれるのだ。
「早いのよ。あんたは全く・・・ああ。こんばんわ。ん?なによいい男が混じってるじゃない。・・・ふーん?あなた何て名前?何年何組?」カンナは緑川のまえで止まった、下から上までじろじろ見ている。そんなカンナは三守に睨まれている。
「俺っすか。緑川尊っす。1-Cっす」
「ああ1年生か・・・ああガキはだめよ。だめ。ああどっか空からいい男ふってこないかしら」
盛り上がって勝手に急降下していった。
「降ってくるわけないわけ。色ボケ女」
目を閉じてジェニファーはフルフル大げさに上半身を振っている。
「なによあんた!挑戦的じゃない!ちょっと胸がでかいと思って調子にのってんじゃないわよ」
な、何しに来たんだ・・・。
「うっさいわけ。怪力バカ女!」ジェニちゃん、ひどい言いようだな。
廃屋を見ながらカンナは大声でキレている。
「なによ!こんなぶっ壊れた武道館になんの用があるっての?」
「だから誘拐犯と戦うわけ。カンナ」
「ゆ、誘拐犯ですって。こんな大声で何考えてんのよ!」
おまえが言うか・・・武野島。
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