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「リディア、聞いた? 婚約破棄の手続きをするって本当?」
親友であるエミリア・ロウランドが、いつになく真剣な表情で尋ねてきた。
「うん……どうやら近々、式典の場で正式に発表するみたい」
リディアは静かに頷くものの、その声はどこかうわずっている。まだ信じたくないという気持ちと、真実を知らないまま振り回されている苛立ちのせいで、胸が締めつけられるようだ。
「理由はまだわからないの?」
「わからない。王太子殿下が私を『巻き込みたくない』とおっしゃったらしいけど……それが何を意味するのか、検討もつかないの」
エミリアはリディアの手をきゅっと握りしめる。
「リディアが悪いわけじゃない。絶対になにか裏があるはずよ」
「裏……そんなこと考えたくないけど、そうかもしれない」
落ち込むリディアに、エミリアはまるで姉妹のように寄り添う。呼吸が少し楽になるのを感じ、リディアはかすかに微笑んだ。
「ありがとう、エミリア」
そう言った矢先、急ぎ足の侍女が二人の元へ駆け寄ってくる。
「リディア様、今から王宮へお越しください、と。王妃陛下が式典の準備を急ぐようにと仰っています」
式典――つまり、婚約破棄を公式に発表する場だ。心が沈む。
「とうとう、来たのね」
「リディア、平気?」
「うん。行ってくる。もう逃げられないし、しっかり殿下に問いたださなきゃ」
まるで最後の戦いに向かう兵士のように、リディアは背筋を伸ばす。エミリアはただ無言で肩を叩き、応援の気持ちを伝えてくれた。
――しかし、その式典の予定時刻を迎える前、大広間は混乱に包まれることになる。
「たいへんです! 王太子殿下が急に倒れられました!」
騎士たちが声を張り上げ、会場は一気に騒然となる。リディアも驚きのあまり息をのんだ。倒れた? あの丈夫な王太子殿下が?
「殿下を医務室へ! 急げ!」
あたりを仕切る衛兵長の声で、クリストファーは抱えられるようにして運ばれていく。婚約破棄を発表するはずの壇上には、誰も立っていない。
「王太子殿下の容態が安定するまで、式典は中止とする!」
大臣が高らかに宣言する。しかしリディアはそんな表面的な言葉より、ただただ殿下の容態が心配だった。破棄されるという現実があるとしても、長年の想いが完全に消え去るはずがない。
「……殿下、どうして」
リディアは、王太子の突然の発熱と倒れた原因に胸を締めつけられながら、大広間を後にしたのだった。
親友であるエミリア・ロウランドが、いつになく真剣な表情で尋ねてきた。
「うん……どうやら近々、式典の場で正式に発表するみたい」
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「理由はまだわからないの?」
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エミリアはリディアの手をきゅっと握りしめる。
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式典――つまり、婚約破棄を公式に発表する場だ。心が沈む。
「とうとう、来たのね」
「リディア、平気?」
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まるで最後の戦いに向かう兵士のように、リディアは背筋を伸ばす。エミリアはただ無言で肩を叩き、応援の気持ちを伝えてくれた。
――しかし、その式典の予定時刻を迎える前、大広間は混乱に包まれることになる。
「たいへんです! 王太子殿下が急に倒れられました!」
騎士たちが声を張り上げ、会場は一気に騒然となる。リディアも驚きのあまり息をのんだ。倒れた? あの丈夫な王太子殿下が?
「殿下を医務室へ! 急げ!」
あたりを仕切る衛兵長の声で、クリストファーは抱えられるようにして運ばれていく。婚約破棄を発表するはずの壇上には、誰も立っていない。
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大臣が高らかに宣言する。しかしリディアはそんな表面的な言葉より、ただただ殿下の容態が心配だった。破棄されるという現実があるとしても、長年の想いが完全に消え去るはずがない。
「……殿下、どうして」
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