追放された凡人魔導士ですが、実は世界最強の隠しステ持ちでした〜気づかないうちに英雄扱いされて、美少女たちに囲まれていました〜

にゃ-さん

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第24話 世界を蝕む「災厄の核」と、隠されたもう一つのステータス

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王都の空が震えていた。  
それは風の揺らぎでも雷鳴でもない。  
空間そのものが悲鳴を上げていた。  
まるで何かが、現実の布を内側から引き裂こうとしているような感覚。  

「……最悪のタイミングだな」  
城壁の上から眺めるエイルの顔には、いつものように焦りはなかった。  
彼は冷静なまま杖を軽く振り、風の流れを読みとる。  
リュナが後ろから駆け寄り、息を切らしながら叫んだ。  
「空のひび! あれ、自然現象じゃない! 魔力の裂け目よ!」  
「分かってる。……“災厄の核”がまた動いた」  
「前に消し飛ばしたはずでしょ!?」  
「完全に、じゃなかったんだろうな。残滓が世界の“理”に吸収されたんだ」  

言葉の途中、空がまばゆい光で裂ける。  
王都全体が地鳴りのような低音に包まれ、光の断層がゆっくりと広がった。  
中心で黒い瘴気が渦巻き、やがて無数の眼のようなものが蠢き出す。  

「気味悪っ……!」リュナが顔をしかめる。  
エイルは短く息を吐き、杖の先を空へ向けた。  

「じゃ、やろうか」  

王都中央の広場に展開された防御陣が、同時に作動する。  
司祭たちが祈声を上げ、中衛が魔力壁を展開。  
セレス王女とミリアもすでに現場に到着していた。  

「民の避難が完了しました!」  
「よし、このエリアで食い止めよう」  
セレスの指示が響く中、ひときわ強い風が吹いた。  
風の中心に、エイルが立つ。  

彼の足元に幾重もの魔法陣が描かれ、蒼白い光が放射状に広がった。  
空の裂け目から、声が流れ出す。  
――アァァ……アレハ……“始源”ノ力……  

リュナが耳を塞ぐ。  
「なにこの気配……! 生き物って感じじゃない!」  
「“世界”が腐っていく音、だ」  
「は?」  
「災厄の核は、ただの魔物じゃない。存在概念そのもの。世界のロジックを侵す“バグ”だ」  
「……また難しいことを!」  

裂け目の奥から、無数の腕のようなものが伸びる。  
黒い霧が地を舐めるたび、建造物の表面が朽ちる。  

ミリアが出力限界の回復結界を張る。  
「侵食が早い! あなた一人で抑えるのは無理よ!」  
「別に抑えない。修正する」  
エイルは呟くと、胸元に手を伸ばした。  

すると、彼のステータスウィンドウが実体化したように前へ浮かび上がる。  
“白の守護者 エイル・シェルド”  
名前の下、一つの新たな文言が光を放った。  

【第二ステータス:始源コード “世界構築権限”】  

その場にいた全員が息を呑む。  
イルゼがその光を遠くから観測して呻いた。  
「……まさか、そんなものが彼の中にあったなんて」  
「何のこと?」リュナが問う。  
「世界を作り直す権限。……神話の時代でさえ、そんなものは存在しなかった」  

エイルの掌から白い輝きがあふれる。  
「俺さ、自分のステータスってよく見たことなかったけど……こんなものまで付いていたなんてな」  
目の前の裂け目が、まるで怯えるようにうねる。  
――ソノ力ハ……世界ヲ……消ス……  

「いや、違う。消すんじゃなくて“直す”」  

エイルは空のひび割れめがけて手をかざした。  
純白の光柱が天地を貫く。  
同時に、空の瘴気が音を立てて押し返される。  
光と闇がぶつかり、火花のような粒子が雨のように降り注ぐ。  

だが、災厄の核も黙ってはいなかった。  
視界が揺れ、空中に複数の裂け目が同時に現れる。  
黒い波が四方からエイルを取り囲む。  

「しま――」ミリアが叫ぶより早く、  
リュナが飛び出す。  
強烈な魔力の衝撃波が通過し、リュナの体が弾き飛ばされた。  

「リュナッ!」  
吹き飛ばされる彼女をミリアが治癒魔法で受け止める。  

「エイル! 光が押し返されてる!」  
「わかってる……だから!」  

彼は目を閉じた。  
精神世界に沈み込む感覚。  
そして、どこかから声がした。  
――解放スルカ、始源能力ヲ?  

「起動条件は……心の選択、か」  

王都上空の光が倍増し、白昼のように明るくなる。  
エイルの足下の魔法陣が一瞬消え、代わりに淡い緑と銀の輪が浮かぶ。  
その中心から、無数のコードのような線が空中を走った。  

「よし、やってみるか」  

彼の声が響いた瞬間、周囲の時間が完全に停止する。  
人も風も、光さえ止まった世界で、彼だけが静かに歩く。  

「この世界には、三つの基礎命令がある。  
創造、維持、消滅。……なら、俺は“修正”で上書きすればいい」  

手をかざすと、空の裂け目の端が擦り切れ始める。  
まるで紙を閉じていくように、破れた空間が縫われていく。  

だが――。  

裂け目の中心、災厄の核が怨嗟のような咆哮を放つ。  
――コノ世界ハ汚レテイル、修正デハ届カヌ!  
「うるさいな、届くまでやるだけだ!」  

指先の光が強くなり、全体が眩く輝いた。  
白い雷鳴のような閃光が轟き、視界が一瞬無となる。  

時間が再び動き出した時、空の裂け目は消えていた。  
王都中を包んでいた黒い瘴気が晴れ、青空が見える。  

沈黙。その後、一斉に歓声が上がった。  

「やった……救われた!」  
「空が元に戻ってる!」  

リュナが疲れた顔で立ち上がる。  
「……ねぇエイル、いまの、何したのよ?」  
「え、ちょっと片づけただけだよ」  
「片づけで空なおす人いる!?」  

苦笑する彼の体から、かすかに蒸気が上がっていた。  
ミリアが駆け寄る。  
「エイル、魔力の流れが異常よ! あなた、今までの戦いの比じゃないくらい力を使った!」  
「まぁ、ちょっと無理したかも。……眠いな」  
「眠るなバカ!!」  

そう叫ぶミリアを、エイルは安心させるように微笑んだ。  
「大丈夫。ちょっとだけ休むだけだから」  

空を見上げると、そこには黒く閉じかけた小さな裂け目が一つだけ残っていた。  
だが、それは誰の目にも映らない。  
エイル自身も気づいていない。  

その小さな影こそが、本来の“災厄核”――  
どんな修正も超えて存在する、もう一つの世界の記録だった。  

王都の鐘が再び鳴り響き、風が流れる中、彼は静かに目を閉じた。  
ほんの短い眠り。その間にも、未来は次の嵐を準備していた。  

続く
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