追放された凡人魔導士ですが、実は世界最強の隠しステ持ちでした〜気づかないうちに英雄扱いされて、美少女たちに囲まれていました〜

にゃ-さん

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第26話 多種族美少女ハーレム、まさかの全会一致同盟

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王都を包んだ災厄の残滓が沈静化してから、一週間が経った。  
それなのに、街の中心――王宮の一角は再びざわついていた。  
理由は単純だ。「白の守護者エイルを囲む謎の会合」が開かれている、という噂である。  
参加メンバーは、王女セレス、獣人リュナ、聖女ミリア、そして魔族女王ルシア。  
どこからどう見ても、いわゆる“国と種族を代表する美女たち”だった。  

彼女たちは王宮会議室の楕円卓を囲み、すでに二時間以上も話し合っている。  
当の主役であるエイルはというと、その中央で椅子に座り、完全に困り果てていた。  
「えっと……会議って俺の力の使用制限についての協議じゃなかったんですっけ?」  
セレスが優雅に紅茶を置く。  
「形式上はそうよ。でも、実際の議題は“あなたの今後”について」  
「今後?」  
「ええ。あなたがどの国の“代表者”として活動するのか、正式に決めるの」  

リュナが尻尾を立て、すぐに言葉を被せた。  
「そんなの決まってるでしょ! あんたは私たち獣人族の恩人! 北の里の長老たちは“守護者として永久滞在してほしい”って言ってたんだから!」  
「待ちなさいリュナ」今度はセレスが涼しい声で割り込み、腰に手を当てる。  
「王国としても彼を国に留める考えは譲れません。守護者を国外に出せば、民が不安に思うもの」  
「ふん、王族は理屈ばかりね。彼を働かせるつもり?」  
「働かせる? 安心して、すでに“第一守護者”の公務はほとんど彼の代わりに私が引き受けているの」  
「なにそれ、ただの囲い込みじゃない!」  

二人が睨み合い、空気にぴりっと稲妻が走る。  
その隙間に、ミリアがすっと立ち上がった。  
「ふたりとも、落ち着いて。エイルがどこにいようと私たちの仲間なのは変わらないわ。  
人とか種族とか関係なく、神の愛は誰にでも平等なのよ。だから、争うなんて――」  

「でもエイルは私と祈りを合わせてくれた!」ミリアが机を叩く。  
「ちょ、なんの話!?」エイルの顔が真っ赤になる。  
リュナが呆れたように口を尖らせた。  
「祈りって、抱き合ってたヤツ?」  
「ぎゃーっ! 誤解! 魔力共有だから!」  
「ほう」冷たい声が響く。ルシアだ。  
彼女は優雅に足を組んだまま、微笑を浮かべていた。  
「あなた、人間にしては随分巧みに魔力を扱うのね。まるで契約魔族の儀式のようだったわ」  
「誤解広がる言い方やめてぇぇぇ!」  

室内の空気がどんどんおかしくなっていく。  
イルゼが隅で頭を抱え、「誰か議事を戻して」と呟いたのも虚しく、女王ルシアがゆっくり立ち上がる。  

「……私からも提案があるわ」  
「今度は何ですか?」エイルが警戒して尋ねる。  
ルシアは美しく笑いながら言った。  
「私の国、魔族連邦クリュステリアでは“力を分け合った者は伴侶とする”という古い風習があるの。  
あなた、あの氷龍を倒した際に私と魔力を共有したわね?」  
「えっ」  
「つまり、あの瞬間に契約は結ばれた。――あなたは私の婚約者なのよ」  

「おわあああぁぁ!?」  
エイルの悲鳴が豪快に会議室に響いた。  

リュナが即座に立ち上がる。  
「な、なんですって!? そんなん勝手すぎるでしょ!」  
「事実を述べただけ。彼は私の国の礎となる“もう一人の王”になるべき人」  
セレスが割り込む。  
「待ちなさい。それなら私も彼に対し、王家の正式な後見を与えている。つまり、立場的には彼は“王女の側近”よ」  
リュナがバンと机を叩く。  
「いやいや! 王族の側近とか聞こえはいいけど、結局付き合ってるじゃないの!」  
「付き合ってません! 誤解だリュナ!」  

エイルは完全に右往左往だった。  
その間に、ミリアが目を真っ赤にしていた。  
「エイル……やっぱり、私たち人間には神の試練が多すぎる……」  
「いや、泣かないで!?」  

会議室はもはや修羅場。  
イルゼはこめかみを押さえながら呟いた。  
「はぁ……ここまでくると喜劇を超えて神話ね」  

それでも混乱がひと段落した頃、セレスが真剣な表情に戻る。  
「……本題に戻りましょう。  
王都、聖都、魔族領、そして獣人の里――すべてがこれから“ひとつの危機”に直面する。  
黒点の観測値が上がっているの。ほんのわずかだけど、昨日よりも明らかに大きくなってるわ」  
一気に空気が引き締まった。  

ルシアが頷く。  
「私の国では、魔力異常で森が腐敗している。あれが時空のひずみと関係しているのなら、もう時間がない」  
「だからこそ、全種族で協力する必要があるわ」  
セレスがまっすぐエイルを見る。  
「……あなたの力も借りたい。だけど、あなたに全部を背負わせるつもりはない。  
私たちで支える。そう決めたの」  

その言葉に、リュナがうなずき、ミリアが手を掲げる。ルシアも静かに賛意を示した。  
「これは人と魔と神と獣、全ての種族による“同盟”。痛みを分け合う契約よ」  

エイルは一瞬だけ黙り込み、それから微笑んだ。  
「……なんかすごいメンバーだな」  
「あんたが中心だからね」リュナが笑う。  
「世界初の“多種族同盟”。歴史に名を残すかも」  

イルゼが書記として立ち上がった。  
「では、議事録に残します。  
本日、王都会議にて“人魔共生保護条約”成立。主席――白の守護者エイル・シェルド。付記:全会一致」  

その瞬間、会場が拍手に包まれた。  
エイルは少し照れながら言う。  
「こうして見ると、俺、ハーレムの真ん中にいる気しかしないけど」  
「気のせいではないわね」ルシアが微笑む。  
セレスも軽く頬を染めつつ言った。  
「誰よりも強くて、優しくて、無自覚。……そんな人に惹かれない女なんていないわ」  
「やめて、恥ずかしい……」  

リュナとミリアが左右から一斉に肩を叩く。  
「恥ずかしがらずに現実受け入れなさい」  
「そうね。もうこの状況、恋愛どころか外交よ」  

笑い声が王宮に響く。  
だが、その和やかな空気の外――塔の頂には微かに光る黒い亀裂があった。  
人々の笑顔の裏側で、それはゆっくりと、音もなく広がり続けていた。  

次なる“世界の断層”。  
それが次章の幕開けとなることを、いま誰も知らなかった。  

続く
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