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ハリー

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第7話 一文無し

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「遅いのじゃ!」

待ち合わせ場所に着いて早々、ルルが吐いたセリフがこれだ。いや、俺も頑張ってたよね?なるべく早くしようとしてたよね!?まぁ謝るけど!

「悪い。」

ルルの頭を撫でながら謝った。

「う、うむ。別にそこまで怒ってないのじゃ。」

少しは怒って手を払いのけると思っていたのだが予想外の反応でちょっとビックリした。

頭を撫でるついでに耳に触れたら、ルルの体がビクゥッってなってめっちゃ睨まれた。怖たん…。

「わ、悪い。」

この数分だけでルルに2回謝る俺。上下関係出来ちゃってね?あ、勿論俺が下ね?

ルルは耳に触れられるのが嫌いなのか。覚えておこう。

プイッとそっぽを向いているルルにもう一度謝り、移動をしようと伝えた。

「ここから少し行ったところに街があるらしいんだよ。今からそこに行こう!」

ビシッと街の方向を指差しながら笑顔で言った。
返事が無い。まだ怒っていらっしゃるようだ。

ルルはジッと俺を見てからプイッとまたそっぽを向いて俺が指差した方へ体を向けた。そしてスッと左手を伸ばしてきた。

「ん?」
「…耳を触った罰じゃ。街に着くまでワシの手を引っ張れ。」

あら、可愛らしい。ケモ耳がピクピクと動く。これが神獣の破壊力可愛さだというのか…!恐ろしい…!

差し出された左手を握る。

「……ん。」

ルルは満足そうに笑った。

何だねこの子は。俺をキュン死させる気かね?これが319歳だと言うのか…

しばらく歩いていて思ったんだが、ルルが人化を解いてフェンリルの姿になれば上に乗れるんじゃね?

…いや、無いな。どうしても人化のルルの上に乗っているのを想像してしまう。鬼畜だった。

その想像をかき消すためにブンブン頭を横に振る。ルルが頭上に?を浮かべているが気にしない気にしない。

そうこうしているうちに街が見えてきた。ルルに乗るまでもなく徒歩で行ける距離だった。近いなっ!モンスター一匹見なかったぞ…!



街の入り口には門番らしき人が立っていたが何も言われず入ることができた。ただなぜかジッとルルを見ていた。

それは街に入ってからも同様で、通る人々がルルを見る。そして決まってその後俺の顔を見て顔を引きつらせるのだ。

ルルが可愛いから見ているってのはわかるけど、何で俺を見て顔を引きつらせるんだろ…。あ!まさか少女を連れてるから危ない人だと思われたのかな…

色んな考えを頭に張り巡らせながらチラリとルルを見る。

ルルは俺の学生服以外着ていなかった。

あ、原因コレじゃね。学生服以外何も着用していない少女を連れ回す高校生。フレーズからしてもう駄目だな。

「ルル、服を買おう。」
「む?ワシは学生服これで満足じゃぞ?」

何で必要なの?と言わんばかりの目をしている。

「俺の命が危ないんだ。」

もしかしたらこの世界にもケモ耳っ子ロリ少女が大好きな輩がいるかもしれない。そんな奴がこの状況、ルルの姿を見てみろ。一緒にいる俺が殺られる。

「…服屋ってどこだ?」

キョロキョロしても見つかるはずもなく人に聞いてみることにした。知らない人に話しかけるのは緊張するな。どう話しかけよう…。

俺は一生懸命話しかけ方を考えた。そして考えに考えた結果がコレだ!

「よぉ、姉ちゃん。俺と一緒に服見ない?」

大人しそうな断れなさそうな女の子を狙ってみた。これが、この俺秘伝のナンパ術。実戦はコレが初だぜっ!

…あれ?ナンパじゃ駄目じゃん…。

「あ、ごめんなさい。」

俺玉砕!断れなさそうなだけで普通に断ってきたよ!そりゃそうだよね!!
くっそ!女の子じゃダメだ、ナンパと間違えられる!やり方を変えてみよう。

「やぁ、そこのお兄さん。俺と一緒に服屋でも行かないかい?」

イケメン君の真似をして爽やかな笑顔を見せる。

「は、はぁ?そんな趣味ねぇよ…!」

俺玉砕。ってなんでぇ!?何故だ何故こうなった…。あ。
そこで俺は重大なミスに気がついた。

ーー別に誘う必要なくね。

俺は膝から地面に落ちた。グスン、もうお嫁にいけない…

「やれやれじゃのぉ…」

ルルはそんな俺を見てため息をついていた。

「のぉ、服屋に行きたいんじゃがどこにあるのじゃ?」
「え?あぁ、そこの角を右に曲がったところにあるわよ。」

俺が撃沈しているのを横目で見ながら通りすがりの女性に聞いていた。何故ルルは成功して俺は失敗ばかりなんだろう…。

「さっさと立つのじゃ。」

ルルが俺の手を引きズルズルと服屋の方へ引っ張る。
他者から見たら少女に引きずられる青年だ。恥ずかしい。

「立つ!立つから!引っ張るのやめてくれ!」

俺は急いで立ち上がり服についた砂埃を払う。
人目から逃れるように角をさっと曲がり服屋に入った。

「いらっしゃい。」

40歳くらいのオバ様がいた。マダムっぽい感じのオバ様だ。

「あ。この子の服を買いに来たんですけど…。」
「でしたら、こちらに置いてある子供洋服の中からお探しくださいね。」

オバ様に案内された場所には子供洋服がズラーッと並んでいた。

ほお…結構いろんな種類があるんだな。

「ルル、どれがいい?」
「これでいいのじゃ。」

ルルは服を見ずに一番手前にあった服を取った。もしかしなくても服に全く興味ないな?

ルルが手に取った服を見る。白を基準としたゴスロリ服みたいなのだった。

確かに似合うとは思うけど…。

「本当にこれでいいんだな?」
「うむ。」
「…じゃあすいません。これください。」

オバ様に白ゴスロリ服を渡しポケットから財布を出す。

「銀貨5枚です。」

えっと、銀貨~銀貨~っと。財布の小銭入れを開け銀貨を探す。あっれぇ?銀貨がない。って銀貨ぁ!?

俺の財布の中にあるのは野口が3人、諭吉が1人。そして、日本の銅貨十円が3枚と、日本の銀貨百円が6枚。そして日本の金貨五百円が1枚だ。

この国の銀貨など持っているはずがない。もしかして日本円使えるのかな?

「すいません、これ使えますか?」

ポンッと諭吉と野口を1人ずつ渡す。

「なにかしら、この紙は。」

お札という物が無いというのか…!?ならこいつはどうだ!

「これはどうですか?」

日本の銀貨百円を5枚見せる。

「…どこの国のお金かしら?見たこと無いわね…。」

ですよねえぇ…。うわー、どうしよ。カッコつけてルルに「どれがいい?」なんて言っちゃったけどどれもクソも何も買えねえ…!

「どうしたのじゃ?」

首を傾げキョトンとした顔をしているルル。金ないなんて言えない…。

「あのすいません。ちょっと急用を思い出したのでルルを預かっていて貰えませんか?すぐ戻ってきますんで。」

こうなったら困っている人を助けてお金をもらおう。うん、それがいい。

「ワシも付いて行くのじゃ。」
「いや、すぐ終わるからルルはここで待っててくれ。」

付いてこられたら俺の失態がバレる。

「ええ、いいわよ。」
「ありがとうございます。」

俺はオバ様に礼を言い服屋を飛び出した。
人助けで金をゲットしてやるぜ!!



余談だがこの街で有名になる「街を爆走し続ける男。」という謎の人物が優太だという事はまだ誰も知らない。




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