目が覚めると幼女がいたんだ

起き抜けに幼女

   よ、幼女だ……。


さて、長い回想から現実に戻ると、そこに居たのは紛れもない幼女だった。

パッと見、5歳くらいだろうか。

幼女はキョトンとしながら首を傾げる。


「……よーじょ？」


しまった、声に出してた！


「とーちゃん！おなかすいた！もう帰ろーよ！」


   とーちゃん！？

   えっ、え何この子！？


「お嬢ちゃん……え、誰ちゃん？」

「あー、また あーちゃん の事忘れてるー！」


   ……あーちゃん？忘れてる？

 
あたりを見回してみると、そこは河川敷のようだった。

目下には川があり、坂の中腹辺りの草原で横たわっていたようだ。


   あれ、俺、昨日酒でも飲んだのかな。


頭上の方でガラガラとタイヤの回る音がする。

振り返ると、麦わら帽子を被り、手拭いを首に巻いた目の細い初老の男性が荷台を引いて歩いていた。


「あ、ゲンおじちゃんだー！」

幼女は俺の足元から立ち上がると、とてとて坂を登って行った。

ゲンおじちゃん(？)がこちらを見やる。

幼女となにか話しているようだ。


   ……あれ、これ、俺怪しまれてるんじゃ？


急いで立ち上がり坂をかけ登る。

「あ、あの！」

「おー！啓太、調子はどうだ？あずちゃんは相変わらずめんこいなぁ！」

「…」

もはや、混乱しかない。


   なんだこの人、初対面だよな？

   なんで俺の名前知ってんだ……？


そして、幼女の名前が 「あず」 まで判明。


「なんだお前、まだ思い出せねーのけ？」


   俺は、何を忘れてるんだ……一体、何が起こってるんだ。


そして



   俺、割と冷静じゃね……？