発生1フレ完全無敵の彼女に面倒事吸い込みがちな俺でも勝てますか!?

安条序那

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第9話③ 圧vs圧

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 御鈴波の怒号が響いたのは、ほんの数分前だった。今は御鈴波本人が迎えの車に乗り込んで現場に向かっている。処理班も現着するそうだ。壁の中で大規模な爆発が三件相次いだ。発生半径は約百五十メートル、いずれも三棟の高層ビルである。テロ行為の可能性を考えて該当地域の住民はすぐに避難を勧告され、街の一角が無人になった――はずだった。御鈴波邸から連絡が届いたのは、その報告から一時間も後だった。

「上海が近くに行ったかも知れないのに黙っていたの? どうして! もう一時間前も前なのよ!」
「申し訳ございません! こちらとしましても途次様にお手をわずらわせまいと連絡、近隣の捜索を並行して行っていた次第でございました――しかし見つからず、このような形でご連絡を……」
「こちらで動くから処理班と車を回して。わたしの到着位置で現着させて、遅れは許さないわ!」
「はっ、ご用命確かに!」

 苛立ちながら端末の通話を切ると、遠くでは真っ黒い煙がもうもうと空に向かって立ち上っている。黒い煙ということは有機物が燃焼している証だ。壁の中では建築資材を不燃物か対燃性素材に限定する法令があるため、あそこで燃えている煙はガスか、それとも他の有機物を含んだ何かということになるが――果たしてこの時代にわざわざあんな高所で大量の有機物が燃えることなどあるだろうか。一時間も燃えていれば、紙や壁紙なんかは燃えきっているはずだ。となるとガス爆発くらいしか考えられないのだが、それも感熱センサーで元栓が止まるようになっているわけだから、あの爆発炎上にはどこか整合性が足りない――御鈴波の脳内には一つの予想が組み上がりつつあった。

「眉間にシワが寄ってるわよ。ベイビー」

 窓際のミニチュアのような町並みを微笑を浮かべつつ眺めるのはノーベルだ。上げた髪を解いている。こちらの姿はどちらかというと深遠な令嬢然としていて、御鈴波と並ぶのがよく似合う。

「黙って。あなたの出る幕じゃないわ」

 ぴしゃりと言いつけられて、ノーベルは微笑みを崩さないまま頭を振った。気を楽に持ってくれ、そう言いたかっただけなのだが御鈴波は既に思考を回しているからピリピリしている。泰然と構えるノーベルとは対極であった。
 現場までの距離は十キロあるかないか、なので御鈴波は学校の窓からその爆発を見ていたのだ。だからこそ余計に苛立ちが勝つ。あの時、少しでも危険性に気がついていれば、こちらから家に向かって連絡していればここまで気を揉むこともなかったのに。そうこうしている間に現場へ辿り着いた御鈴波は、車止め立入禁止の前で車から降りた。アーケードの並ぶ商店街だ。処理班の車は到着していない、なぜだろう。あちからからの方が近かったはずだ。こんなことはありえない。処理班の到着が遅れたことなど――。

「行きましょう。御鈴波」

 ノーベルが手を引いた。

「……どういう意味」
「アナタのチームが来ないということは、この先に既にということに他ならないわ」
「ノーベル、だとしたら危険なの。だから処理班を――」
「そうなると、当初の目的が果たせないかもしれない。今日は弾除けがあるわ。それにその子はもっと危険な目にあっている可能性が高い。何かあればワタシを盾にあなたは逃げればいい」

 ノーベルは真顔で言う。御鈴波は一度しか見たことのない、笑っていないノーベルの表情に圧倒されて、言葉を失った。

「それが賢い選択よ」

 続けたノーベルは、御鈴波を導くようにキープアウトを乗り越えた。治安維持の為の部隊すら出ていないし、消防車も然りだ。何かが起こっている。御鈴波は端末から処理班に発信をしたが、コールが取られることはなかった。

「……わかったわ。向かいましょう」
「ワタシの後ろに」

 進んでいく先は、嵐でも通り過ぎたみたいに荒廃していた。西院房に近い見た目だ、と御鈴波は思った。ここに先ほどまであった建物をいつでも思い浮かべることができる。個人商店、小さな商業ビル、トレーニングジムの看板――それらは全てガラスが割れて、内部はしっちゃかめっちゃかになり、大きな怪獣が踏み潰したみたいに滅んでいた。これほど大きな衝撃がここを通り過ぎたということだ。全く想像がつかない規模の攻撃である、現実問題人間が行なうとするならばミサイルやロケットランチャーでも打ち込んだとしか考えられない威力である。
 歩いていくと、地面に引きずったようなわだちが出来ていることに気がついた。しかし近寄ってみると、それは砂や埃の吹き溜まりであった。激しい気流によって巻き上げられた粉塵が、まるで雪道を車で行った後のように一箇所に留まって、そこに滞留しているのだ。余計に御鈴波の脳は混乱した。こんなことがあるのだろうか? 爆風か衝撃波、それに近いものが起こったのは間違いない。だというのに、その中心地に近い場所でまっすぐと粉塵が残り続けている。そんなことがありえるのだろうか。

「御鈴波、見立てを教えて。こんな大爆発が人間の起こしたものだってするなら、いくらワタシだってどうしようもないわよ」
 御鈴波の脳内には、ある程度の仮説が浮かんでいた。推測の域を出ないのは仕方がない――御鈴波は口を開いた。

「思うに、そんな大爆発を自分の力で起こした人間はいないわ。だってそうだとすればもっと派手に暴れ回った方が効率的だもの」
「どういう意味?」
「つまり、この規模程度の騒ぎを起こすなんてのがそもそも中途半端なの。人を効率的に壊したい人間なら、先に目立つ高い建物で大きな爆発なんて起こさない。もっと静かに、もっと効率的に人間を狩るはずよ。そうしないということは、騒ぎが起こるのが目的のはず。そして爆発炎上となればみんな離れて逃げるのは明白だし、壁の中ではそういう風にテロ対策をすると周知されてる。だから恐らく相手の目的は、今回の混乱を利用して人払いをすること。その上で――何かを求めている。この半径百五十メートル以内には、その目的がある」

 なにをしたいのかは、わからない。しかし上海にここまで連絡がつかないのは珍しいのは事実だ。巻き込まれている可能性もなくはないのだけれど、そう考えるには尚早か。もう少し情報を収集しなくてはならない。指先で塵をひとつまみして観察していたところ、ノーベルが口を開いた。

「ふふ、お相手様の考えがなんとなくわかったかも」

 御鈴波はその言葉に視線を上げる。ノーベルがジャケットを脱ぎ捨てた。

「なんだ、てめェ……なんでこんなところにいやがる……」

 目の前には狂犬のような顔をした真っ黒い男が立っていた。全身から気化した汗を立ち上らせて、蜃気楼を背中に背負っている。恐ろしい熱気だ、彼がそこにいるだけで気温が二度は上がっている。

「……」

 御鈴波は注意深くその男を眺める。黒いローブに分厚い唇、パンチグローブ。知り合いではない。しかしその顔自体は見たことがあった。どこで見たのかは思い出せないが、それがいつぞや問題の引き金となったことのある要注意人物であったことは覚えていた。

「ノーベル、知り合い?」
「まさか。ワタシだってお友達は選ぶわ」
「そ、そぉうか。これはこれは……ハルアキラも喜ぶなあ」

 目の前の狂犬めいた男は、理由のわからない言葉を呟きながらにやりと笑っていた。そして前傾姿勢になると、軽く上下に跳躍を始めた。

「御鈴波、下がりなさい」

 ノーベルが御鈴波に手のひらを向けた時、それは起こった。
 稲妻が走ったような速度である。男の伸びた腕が御鈴波に近付く。音すらもない。神速の一撃である。

「は」

 その前に立ちふさがったのはノーベルである。その拳を滑らかに滑らせるように受け流すと、拳の速度はそのまま左へ身体が流れてゆく。そして流れていく身体に上段の足甲蹴りを一発くれてやると、男は次の一撃のために支度していた足さばきをその勢いを殺すために浪費した。隙が生まれたのである。その背後を取ることはノーベルにとってはそう難しくなかった、しかしあえて前には出ない。理由は一つである。今ここで欲張って前に出て、よしんばそれをさばかれたら? 次に狙われるのは御鈴波だ。そうなった時、御鈴波を危険に対面させたのは自分ということになる。

「……御鈴波。下がりましょう」
「ノーベル……ありがとう」
「早く!」

 呆気に取られた御鈴波をノーベルは叱咤する。戦場で一瞬気を取られることは、そのまま死を意味する。従軍経験や実戦経験こそないノーベルだが、彼女は様々な舞台で瀬戸際の立ち回りを経験してきた。戦いとは得てして――水の入ったバケツに顔を浸けて、先に呼吸が続かなくなった方の負けである。戦いが始まれば、人間はストレス状態に移行する。お互いがお互いを意識して闘争状態になるのだ。だから反応は否応なくはやり、時折タイミングを取り違える。先のゴッ太郎との戦いでの負けは、その『逸り』からなるものだった。だから、ノーベルは不完全な隙を見ても『行かない』。たった数時間前のこととはいえ、ノーベルは既に反省を終え、成長していた。そしてノーベルは先の一撃で理解した。この男には、。流したはずの一撃で、ノーベルの袖は焼け切れていたのだ。

「離れないで、一歩一歩下がるわ。先程のキープアウトに向かって行きましょう。付近まで行けば人集りがあるから、あなたの読みが正しいならそれ以上の攻撃はできないはずよ」 

 御鈴波は後ろに向かって後退あとじさり、ノーベルもそれに続いて徐々に下がる。構えたまま、目の前の男をじっと見つめている。全身に気をみなぎらせ、いつでも迎え打てる準備を整えている。それに対して男も攻撃を行わない。同じ間合いのままノーベルが下がり、男は詰める。拮抗状態であった。攻めない、と決めて下がってしまえば力量差での圧殺はかなり難しくなる。男の間合いでは、確かにノーベルはかなわないかもしれない。だが距離が離れてしまえば攻めの手札は限られる。現に男は攻めてこない。不得意な間合いでの武器は一つか二つ――ノーベルは読み切っている。そして同時に不気味にも思う、攻め手がないなら焦るはずなのだ。だというのに一切焦りがない。
 すんなりと御鈴波とノーベルはキープアウトまで帰ることが出来てしまった。既に後ろには人集りが見える。なぜ攻めてこないのか、ずっとノーベルは考えている。男の白い歯がきらりと光った。

「御鈴波。走って」

 ノーベルは下がるのを辞めた。

「ノーベル、何を言って――」
「行きなさい。わたしたちは、なんて最悪なことをしてしまったんでしょう」

 ノーベルの表情に笑顔はない。いつものノーベルならこういう場面では軽口を叩いてくれるのに。

「ありがとよォ、女ァ。苛ついてたんだァ、ずうっと探してたんだ……あのガキに逃げられてから、この苛つきを抑える方法を……!」
「みたいね。だけれど、あなたはここで止めさせてもらうわ。強き者は、弱者を守る為にあらなければいけないわ」

 御鈴波の顔色が蒼白になる。その男の言っていることをようやく理解したのである。

「まさか、って言うの……!?」
「そうよ。彼は獲物を見失った上で、わたしたちを見つけた。けれどそれが狩りにくい相手だとわかったから、もっと簡単に狩れる獲物を求めた。そして、わたしたちはその獲物に案内してしまった――けどこれは、ワタシのせいよ。だからワタシが戦う。御鈴波はここからみんなを逃がして」
「でも、そうしたら、ノーベルは」

 不安そうな御鈴波に、ノーベルは微笑んだ。

「気にしないで。それに嬉しい情報も一つ。推測だけど上海ちゃんはうまく逃げおおせたみたいよ。探してあげて」

 いつもどおりの気持ちの良い笑顔は、心配させない為のものだ。そのことをわかっているのに、御鈴波はどうすることもできない。

「さあ、御鈴波。行って。間に合わなくなったら意味がないわ」
「そんな……」
「甘えないで。戦うっていうのは、そういうことよ」

 ノーベルは御鈴波の頬にキスした。子供でもあやすみたいに、軽い微笑みを添えながら。

「御鈴波、ワタシを応援なさい。言って、『がんばれ』、と」
「……そんな甘いことは言わないわ。勝って、ノーベル。あなたなら出来る」
「そういう厳しいところ、大好きよ」

 熱い風が正面から吹き上がる。男は興奮を抑えるつもりがない。先程の轍の理由がようやくわかる。この男が放つ風圧のせいだ。だが、ノーベルは笑みを絶やさない。優雅に、かっこよく、そして、勝つ。ノーベルもまた存在圧を放ち始めた。太陽が彼女を味方している。輝いているのだ。

「ワタシは、アクハブツア・ノーベル! 古今東西最強の、ダンス・チャンプよ。あなたの名を聞こうかしら」
「俺は、リーン・スピードボール! 最強の闇ボクサー、そして、地上最強の男だァ」

 名乗りは終わった、拳がぶつかる。

 
 
 
 
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