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『勿論、その場でお断りしました。姉上様の事を考えると、正直、一瞬だけ一瞬だけためらう気持ちも湧いてきましたが、でもやはり私の生きる場所はナレントの、ラインハルト様の側でと』
これ以上はどうしようにも出来ないと言うくらい赤面するカトリーヌ。でも、その目は真剣にラインハルトを見つめている。
『それに、事前に姉上様から聞かされていたのです。きっとバッハツアルトの高位貴族との縁談を勧めらるかもしれないが断る様にと』
『エリアーヌから?』
『バッハツアルトで体調を崩して...というのも、なるべく高位貴族と接触する機会をもたなくてすむようにと姉上様が色々と考えてくださったのです。王太子様は私がバッハツアルトへ嫁ぐ事で、姉上様がバッハツアルトから去る事がない様にと。わたくしがバッハツアルトに嫁げば、姉上様の気持ちも変わるだろうと、王太子様がお考えになった様です』
『馬鹿な。エリアーヌはもうバッハツアルトの王太子妃。王子にも恵まれて、ナレントに戻るなんて事は、彼女が考えるはずもないだろうに』
『はい。姉上様も同じ様に仰ってました。ただ、人の気持ちを慮る事なく自分の意を通した人は、きっと信じる事が出来ないのだろうと。最初から誤ったやり方を通せば、正しい道に進むのは難しいと』
痛ましい色を目に浮かべて話すカトリーヌ。きっとエリアーヌの事を思い出しているのだろう。
『エリアーヌは幸せそうだった?』
その一言をカトリーヌに聞くのは躊躇われた。でも、エリアーヌを直接見たのはカトリーヌしかいない。
『腕の中に王子を抱かれた姉上様は、とても幸せそうでした』
『姉上様は、おっしゃってました。ここで自分なりの幸せを作っていくと。だから、ハルト様はハルト様の幸せを見つけて欲しいと』
(エリアーヌ。君は君らしく、バッハツアルトで生きていく事を決めたんだな。私は私の幸せを見つけて、か)
遠くバッハツアルトの方向を見て、ラインハルトは思う。
『カトリーヌ。私はまだエリアーヌの事を愛しているし、ずっと忘れる事は出来ないと思う。ただ、君の事を愛しいと思う気持ちに嘘はないんだ。そんな私でも、君は良いと言ってくれるのか?』
ラインハルトがカトリーヌを見つめて問いかける。
『わたくしも、ラインハルト様の事を愛しているのかと言われると、はっきりそうですとまでは言えないかもしれないです。今はただ、姉上様の事を想って耐えている、それなのに私の事も気遣ってくれる、そんなお優しいラインハルト様のお傍にいたいのです』
涙ぐみながらカトリーヌが答える。
『ありがとう。いつか、エリアーヌの事が思い出になって、君が僕の唯一となった時に、もう一度私から申し込みをさせて欲しい。それまで、傍にいてもいいかい?』
『はい』
ラインハルトの言葉にカトリーヌが頷く。綺麗な涙がカトリーヌの目から零れ落ち、ラインハルトの指先がその涙を拭う。
二人はそっと寄り添い、静かに抱きしめ合った。
数年後、カトリーヌ第二王女はブレドニア公爵家へ降嫁した。公爵家を継いだ嫡男と第一王女との婚約解消が過去にあったものの、一男一女をもうけ、周りが羨む程の仲睦まじき公爵夫婦だったとの伝記が残っている。
これ以上はどうしようにも出来ないと言うくらい赤面するカトリーヌ。でも、その目は真剣にラインハルトを見つめている。
『それに、事前に姉上様から聞かされていたのです。きっとバッハツアルトの高位貴族との縁談を勧めらるかもしれないが断る様にと』
『エリアーヌから?』
『バッハツアルトで体調を崩して...というのも、なるべく高位貴族と接触する機会をもたなくてすむようにと姉上様が色々と考えてくださったのです。王太子様は私がバッハツアルトへ嫁ぐ事で、姉上様がバッハツアルトから去る事がない様にと。わたくしがバッハツアルトに嫁げば、姉上様の気持ちも変わるだろうと、王太子様がお考えになった様です』
『馬鹿な。エリアーヌはもうバッハツアルトの王太子妃。王子にも恵まれて、ナレントに戻るなんて事は、彼女が考えるはずもないだろうに』
『はい。姉上様も同じ様に仰ってました。ただ、人の気持ちを慮る事なく自分の意を通した人は、きっと信じる事が出来ないのだろうと。最初から誤ったやり方を通せば、正しい道に進むのは難しいと』
痛ましい色を目に浮かべて話すカトリーヌ。きっとエリアーヌの事を思い出しているのだろう。
『エリアーヌは幸せそうだった?』
その一言をカトリーヌに聞くのは躊躇われた。でも、エリアーヌを直接見たのはカトリーヌしかいない。
『腕の中に王子を抱かれた姉上様は、とても幸せそうでした』
『姉上様は、おっしゃってました。ここで自分なりの幸せを作っていくと。だから、ハルト様はハルト様の幸せを見つけて欲しいと』
(エリアーヌ。君は君らしく、バッハツアルトで生きていく事を決めたんだな。私は私の幸せを見つけて、か)
遠くバッハツアルトの方向を見て、ラインハルトは思う。
『カトリーヌ。私はまだエリアーヌの事を愛しているし、ずっと忘れる事は出来ないと思う。ただ、君の事を愛しいと思う気持ちに嘘はないんだ。そんな私でも、君は良いと言ってくれるのか?』
ラインハルトがカトリーヌを見つめて問いかける。
『わたくしも、ラインハルト様の事を愛しているのかと言われると、はっきりそうですとまでは言えないかもしれないです。今はただ、姉上様の事を想って耐えている、それなのに私の事も気遣ってくれる、そんなお優しいラインハルト様のお傍にいたいのです』
涙ぐみながらカトリーヌが答える。
『ありがとう。いつか、エリアーヌの事が思い出になって、君が僕の唯一となった時に、もう一度私から申し込みをさせて欲しい。それまで、傍にいてもいいかい?』
『はい』
ラインハルトの言葉にカトリーヌが頷く。綺麗な涙がカトリーヌの目から零れ落ち、ラインハルトの指先がその涙を拭う。
二人はそっと寄り添い、静かに抱きしめ合った。
数年後、カトリーヌ第二王女はブレドニア公爵家へ降嫁した。公爵家を継いだ嫡男と第一王女との婚約解消が過去にあったものの、一男一女をもうけ、周りが羨む程の仲睦まじき公爵夫婦だったとの伝記が残っている。
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