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『『カトリーヌ!!』』
王宮の謁見の間にカトリーヌが立っていた。身に纏っているのはドレスではなく、騎乗する為の女性用の乗馬服。いつも背中に流れるように伸びていた髪は、組紐にに一纏めにされていた。少し日に焼けたのか、透ける様な白さは形をひそめ、健康的な肌色になっていた。
『兄上様。ラインハルト様、ご無沙汰しております。だだいま、帰ってまいりました』
ドレスではない為、カーテシーではなく礼をする。
『カトリーヌ、侍従から其方が国境から一人で駆け戻ってきたときいたが、何か侍従の勘違いであろう?共の侍女や近衛はどこに?』
和かに尋ねるキルハイトだが、カトリーヌを見る目は笑っていない。
『それは、その…』
バツの悪そうな表情をして、視線をそらすカトリーヌに、キルハイトが注意しようとする前にラインハルトが怒鳴った。
『一体何を考えているんだ!!伴も連れずに一人でかえってくるなんて!君は、君は……』
余りの怒りに言葉が続かないラインハルト。突然のラインハルトの怒りに、カトリーヌや謁見の間にいた侍従や、近衛騎士は愕然とする。いつも穏やかなラインハルトの激昂に、皆、固まってしまった。ラインハルトの肩を叩きながらキルハイトがカトリーヌに声をかける。
『カトリーヌ。無事帰って来れてよかった。初めての外交、お疲れ様だったね。まずは旅の疲れを落としておいで。話はそれからゆっくしよう。ラインハルトもそれでいいな』
はい 以外の返事は聞かないと無言の圧でキルハイトはカトリーヌとキルハイトを見たのだった。
カトリーヌが着替えなどを済ませて、応接の間に戻る間、ラインハルトとキルハイトは二人で待っていた。何を話すわけでもなく表情を険しくし黙っているラインハルトに、キルハイトは苦笑した。
『ラインハルト、少し落ち着け。何のために時間を取ったと思うんだ。そんな顔をしていると、カトリーヌに泣かれるぞ』
両手の人差し指を立てて、頭にツノを生やした様な真似をしてみせる。
ラインハルトの眉間のシワが一層深くなったが、大きく深いため息をついた後で表情は幾らか柔らかくなった。
『悪かった。カトリーヌには』
『いや、カトリーヌもカトリーヌだからな。昔からは想像も出来ないというか。まぁ、嬉しい部分もあるけどな』
『キルハイト…..』
、『今日は大丈夫だった、でも明日はどうなるか、そんな日々を過ごしていた妹だった。家族としては、少々お転婆になったとて、元気でいてくれるのであればそれでいい。父上も母上もそう思っているよ。そして出来るならば、私達の傍でよい人を見つけて幸せになって欲しいと』
『...........』
『カトリーヌが望むのであれば、私達はそれでいい。受け入れない理由が、姉の婚約者だったなど、不必要だ』
『キルハイト.....。本当に許されるんだろうか?多分、一生エリアーヌの事は忘れない、ずっと愛していると思う。ただ、カトリーヌの存在は今の自分を支えてくれて、自分も彼女を支えたいと思う。カトリーヌを愛おしいと思う気持ちは間違いない』
『正直、俺にはよくわからない。お前の言う「愛」がどういうもので、「愛おしい」がどういうものなのか。ただ、どんな形であれ、お互いがお互いを必要としているのであれば、今はまだそれでいいのではないのか?』
そう言い切るキルハイトの言葉に、がんじがらめになっていた戒めが、緩やかにほどけ始めた様な気がした。
『あとはお二人でどうぞ。カトリーヌ、立ち聞きは淑女として行儀のいいものではないだろう?』
扉が少しずつ開き、顔を赤くしたカトリーヌが部屋に入ってきた。
『申し訳ありません、兄様。立ち聞きするつもりはなくて、ただ、部屋の中に入るタイミングが......』
ますます赤くなり、うつむいてしまったカトリーヌの頭をポンと叩き、キルハイトは侍従や近衛騎士に目配せし応接の間を出て行った。部屋の中には、ラインハルトとうつむいたままのカトリーヌが残された。
『カトリーヌ、先程はすまなかった....。つい大声を出してしまった。申し訳ない』
カトリーヌの傍に近寄り、手を取って跪く。ラインハルトが謝意を述べると、カトリーヌが顔を上げた。
『いいえ、いいえ。ラインハルト様が謝ることではございません。わたしくが悪かったのです。帰国が延びてしまった事と、思いがけない話をされて少しでも早く帰国してラインハルト様にお会いしなければと』
ラインハルトの手を両手でつかみ、カトリーヌが必死に伝えようとする。
『帰国する際に、王太子様から侯爵家との縁談を勧められました。わたくしを歓迎するとの事で開催された晩餐会で、侯爵家の嫡男が私を見初めたからと。姉上様も暮らすこの地に嫁いではどうか?と』
ラインハルトの顔がこわばる。キルハイトから事前に聞いていたとはいえ、実際、カトリーヌの口から聞かせられるとでは衝撃が違う。カトリーヌはなんと答えたのか。
王宮の謁見の間にカトリーヌが立っていた。身に纏っているのはドレスではなく、騎乗する為の女性用の乗馬服。いつも背中に流れるように伸びていた髪は、組紐にに一纏めにされていた。少し日に焼けたのか、透ける様な白さは形をひそめ、健康的な肌色になっていた。
『兄上様。ラインハルト様、ご無沙汰しております。だだいま、帰ってまいりました』
ドレスではない為、カーテシーではなく礼をする。
『カトリーヌ、侍従から其方が国境から一人で駆け戻ってきたときいたが、何か侍従の勘違いであろう?共の侍女や近衛はどこに?』
和かに尋ねるキルハイトだが、カトリーヌを見る目は笑っていない。
『それは、その…』
バツの悪そうな表情をして、視線をそらすカトリーヌに、キルハイトが注意しようとする前にラインハルトが怒鳴った。
『一体何を考えているんだ!!伴も連れずに一人でかえってくるなんて!君は、君は……』
余りの怒りに言葉が続かないラインハルト。突然のラインハルトの怒りに、カトリーヌや謁見の間にいた侍従や、近衛騎士は愕然とする。いつも穏やかなラインハルトの激昂に、皆、固まってしまった。ラインハルトの肩を叩きながらキルハイトがカトリーヌに声をかける。
『カトリーヌ。無事帰って来れてよかった。初めての外交、お疲れ様だったね。まずは旅の疲れを落としておいで。話はそれからゆっくしよう。ラインハルトもそれでいいな』
はい 以外の返事は聞かないと無言の圧でキルハイトはカトリーヌとキルハイトを見たのだった。
カトリーヌが着替えなどを済ませて、応接の間に戻る間、ラインハルトとキルハイトは二人で待っていた。何を話すわけでもなく表情を険しくし黙っているラインハルトに、キルハイトは苦笑した。
『ラインハルト、少し落ち着け。何のために時間を取ったと思うんだ。そんな顔をしていると、カトリーヌに泣かれるぞ』
両手の人差し指を立てて、頭にツノを生やした様な真似をしてみせる。
ラインハルトの眉間のシワが一層深くなったが、大きく深いため息をついた後で表情は幾らか柔らかくなった。
『悪かった。カトリーヌには』
『いや、カトリーヌもカトリーヌだからな。昔からは想像も出来ないというか。まぁ、嬉しい部分もあるけどな』
『キルハイト…..』
、『今日は大丈夫だった、でも明日はどうなるか、そんな日々を過ごしていた妹だった。家族としては、少々お転婆になったとて、元気でいてくれるのであればそれでいい。父上も母上もそう思っているよ。そして出来るならば、私達の傍でよい人を見つけて幸せになって欲しいと』
『...........』
『カトリーヌが望むのであれば、私達はそれでいい。受け入れない理由が、姉の婚約者だったなど、不必要だ』
『キルハイト.....。本当に許されるんだろうか?多分、一生エリアーヌの事は忘れない、ずっと愛していると思う。ただ、カトリーヌの存在は今の自分を支えてくれて、自分も彼女を支えたいと思う。カトリーヌを愛おしいと思う気持ちは間違いない』
『正直、俺にはよくわからない。お前の言う「愛」がどういうもので、「愛おしい」がどういうものなのか。ただ、どんな形であれ、お互いがお互いを必要としているのであれば、今はまだそれでいいのではないのか?』
そう言い切るキルハイトの言葉に、がんじがらめになっていた戒めが、緩やかにほどけ始めた様な気がした。
『あとはお二人でどうぞ。カトリーヌ、立ち聞きは淑女として行儀のいいものではないだろう?』
扉が少しずつ開き、顔を赤くしたカトリーヌが部屋に入ってきた。
『申し訳ありません、兄様。立ち聞きするつもりはなくて、ただ、部屋の中に入るタイミングが......』
ますます赤くなり、うつむいてしまったカトリーヌの頭をポンと叩き、キルハイトは侍従や近衛騎士に目配せし応接の間を出て行った。部屋の中には、ラインハルトとうつむいたままのカトリーヌが残された。
『カトリーヌ、先程はすまなかった....。つい大声を出してしまった。申し訳ない』
カトリーヌの傍に近寄り、手を取って跪く。ラインハルトが謝意を述べると、カトリーヌが顔を上げた。
『いいえ、いいえ。ラインハルト様が謝ることではございません。わたしくが悪かったのです。帰国が延びてしまった事と、思いがけない話をされて少しでも早く帰国してラインハルト様にお会いしなければと』
ラインハルトの手を両手でつかみ、カトリーヌが必死に伝えようとする。
『帰国する際に、王太子様から侯爵家との縁談を勧められました。わたくしを歓迎するとの事で開催された晩餐会で、侯爵家の嫡男が私を見初めたからと。姉上様も暮らすこの地に嫁いではどうか?と』
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