22 / 28
22
しおりを挟む
カトリーヌがバッハツアルトに旅立って、1か月。
当初の予定だと、もうとっくに帰国しているはずなのに、帰国がのびのびになっていた。
帰国予定日前に、カトリーヌが体調を崩し、万全を期すため、回復してから帰国の途に着くとの書簡がバッハツアルトより届いた。カトリーヌの直筆の書簡もあり、王子は健やかに成長している事、エリアーヌの産後の肥立ちも良く、穏やかに過ごせているとの内容だった。自身の体調については、慣れない旅で少し疲れが出てしまった事、酷く心配したエリアーヌの願いで帰国を遅らせた事などが書いてあった。
書簡が届く頃にはバッハツアルトを出立する予定と書いてあったので、そろそろ先ぶれが来ると思うとキルハイトが話していたことを思い出していた。
『失礼します』
ノックもそこそこにあわただしくカインが部屋に入ってきた。
『ラインハルト様、キルハイト様より早馬が。これが届きました』
カインが差し出したのはキルハイトからの書簡だった。開けて中身の文面を確認する。
『ラインハルト。カトリーヌが三日後に戻るとの事だ。今からであれば、其方が王都に到着するのは十分間に合うだろう。少々面倒な事になっている。必ず来い』
かなり急いで書いたのだろう、走り書きに近く詳しい説明はなかった。
『面倒な事?一体なんなんだ?』
訳が分からながらも、必ず来いとのキルハイトの言葉に、ラインハルトは王都に出立する準備を始めのだった。
キルハイトの書簡を受け取ってから二日後。王都に到着、王宮に入った早々、キルハイトの執務室に呼び出された。
『良かった、間に合って。カトリーヌの帰国前にラインハルトが着くかどうか、ハラハラしたぞ』
キルハイトがホッとしたような表情を浮かべる。
『一体なんだんだ、キルハイト。届いた書簡だけでは、意味が全くつかめず。気ばかりが焦って。面倒な事とは?』
キルハイトの書簡に追い立てられるようにる領地から王都まで馬を飛ばしてきた。カトリーヌの帰国に合わせるようにの面倒ごと。バッハツアルトにいるエリアーヌに何かあったのか?だが、エリアーヌに何かあったっしても、自分が何をする立場ではなく。カトリーヌに何かあったとしても、自分が何かをする立場にもなれていない。モヤモヤを抱えていたラインハルトはキルハイトに噛み付くように尋ねた。
『落ち着いてくれ、ラインハルト。カトリーヌに縁談の申し込みだ』
『カトリーヌに?』
思いがけない内容に、ラインハルトも戸惑う。
『そうだ。バッハツアルトの公爵家の嫡男だそうだ。今回のカトリーヌの訪問の際に、うちわだけで晩餐会が開かれたそうだが、そこで見染めたと、言っているらしい』
『公爵家とは?』
『現王妃の生家だ。王妃からみれば甥だな。家柄は申し分ない』
『……カトリーヌはなんと?』
『カトリーヌには出国時に伝えると書いてあるので、この書簡を出した時にはまだ話していないと思われる。カトリーヌの帰国の際に、その甥も警備の一員として同道させるので、検討してみて欲しいとの事だ』
ラインハルトは頭が真っ白になった。愛したエリアーヌは、バッハツアルトの王太子に見染められて、二人の将来への道は引き裂かれた。
カトリーヌも?ラインハルトの中で芽生えつつあったカトリーヌへの想いを形作る前に?エリアーヌと同じ様に、自分の前から居なくなってしまう?
『両陛下はなんと?キルハイトはどう考えているんだ?』
表情が抜け落ち、蒼白なったラインハルトが、キルハイトに尋ねる。
『父上も母上も勿論反対だ。ただ、カトリーヌが嫁ぐ事で、エリアーヌの助けになるのではないかと、母上が。公爵家であれば、王太子妃ほどに身動きが取れない事もないだろうから、エリアーヌの様子をナレントに知らせやすのではないかと、言い出してな』
『さもありなん。王妃様としては、エリアーヌの事が気がかりでしかたがなかったのだろうからな。ラインハルトは?』
『俺か?俺はカトリーヌの気持ち次第だと思っている』
『そうか………』
『ラインハルトはどうしたい?』
キルハイトからの思いがけない言葉にラインハルトが驚く。
『私がどうしたいと?一体何故?カトリーヌに対して、私は何の権利も持ってはいないし、許されてもいない』
『俺が聞きたいのは、ラインハルトの正直な気持ちだ。勿論、最終的にはカトリーヌの気持ちを1番に考える。ただ、俺は、エリアーヌをうしなってからのお前達をずっと見てきた。だから、聞くんだ』
『キルハイト………』
『大変です、キルハイト様!!』
執務室にドアを打ち破る勢いでキルハイトの侍従が転がり込んできた。
『どうしたのだ?!』
床に倒れこんだ侍従にキルハイトがかけよる。
『か、か、カトリーヌ様が共も付けずに、お、お一人でお戻りに」
当初の予定だと、もうとっくに帰国しているはずなのに、帰国がのびのびになっていた。
帰国予定日前に、カトリーヌが体調を崩し、万全を期すため、回復してから帰国の途に着くとの書簡がバッハツアルトより届いた。カトリーヌの直筆の書簡もあり、王子は健やかに成長している事、エリアーヌの産後の肥立ちも良く、穏やかに過ごせているとの内容だった。自身の体調については、慣れない旅で少し疲れが出てしまった事、酷く心配したエリアーヌの願いで帰国を遅らせた事などが書いてあった。
書簡が届く頃にはバッハツアルトを出立する予定と書いてあったので、そろそろ先ぶれが来ると思うとキルハイトが話していたことを思い出していた。
『失礼します』
ノックもそこそこにあわただしくカインが部屋に入ってきた。
『ラインハルト様、キルハイト様より早馬が。これが届きました』
カインが差し出したのはキルハイトからの書簡だった。開けて中身の文面を確認する。
『ラインハルト。カトリーヌが三日後に戻るとの事だ。今からであれば、其方が王都に到着するのは十分間に合うだろう。少々面倒な事になっている。必ず来い』
かなり急いで書いたのだろう、走り書きに近く詳しい説明はなかった。
『面倒な事?一体なんなんだ?』
訳が分からながらも、必ず来いとのキルハイトの言葉に、ラインハルトは王都に出立する準備を始めのだった。
キルハイトの書簡を受け取ってから二日後。王都に到着、王宮に入った早々、キルハイトの執務室に呼び出された。
『良かった、間に合って。カトリーヌの帰国前にラインハルトが着くかどうか、ハラハラしたぞ』
キルハイトがホッとしたような表情を浮かべる。
『一体なんだんだ、キルハイト。届いた書簡だけでは、意味が全くつかめず。気ばかりが焦って。面倒な事とは?』
キルハイトの書簡に追い立てられるようにる領地から王都まで馬を飛ばしてきた。カトリーヌの帰国に合わせるようにの面倒ごと。バッハツアルトにいるエリアーヌに何かあったのか?だが、エリアーヌに何かあったっしても、自分が何をする立場ではなく。カトリーヌに何かあったとしても、自分が何かをする立場にもなれていない。モヤモヤを抱えていたラインハルトはキルハイトに噛み付くように尋ねた。
『落ち着いてくれ、ラインハルト。カトリーヌに縁談の申し込みだ』
『カトリーヌに?』
思いがけない内容に、ラインハルトも戸惑う。
『そうだ。バッハツアルトの公爵家の嫡男だそうだ。今回のカトリーヌの訪問の際に、うちわだけで晩餐会が開かれたそうだが、そこで見染めたと、言っているらしい』
『公爵家とは?』
『現王妃の生家だ。王妃からみれば甥だな。家柄は申し分ない』
『……カトリーヌはなんと?』
『カトリーヌには出国時に伝えると書いてあるので、この書簡を出した時にはまだ話していないと思われる。カトリーヌの帰国の際に、その甥も警備の一員として同道させるので、検討してみて欲しいとの事だ』
ラインハルトは頭が真っ白になった。愛したエリアーヌは、バッハツアルトの王太子に見染められて、二人の将来への道は引き裂かれた。
カトリーヌも?ラインハルトの中で芽生えつつあったカトリーヌへの想いを形作る前に?エリアーヌと同じ様に、自分の前から居なくなってしまう?
『両陛下はなんと?キルハイトはどう考えているんだ?』
表情が抜け落ち、蒼白なったラインハルトが、キルハイトに尋ねる。
『父上も母上も勿論反対だ。ただ、カトリーヌが嫁ぐ事で、エリアーヌの助けになるのではないかと、母上が。公爵家であれば、王太子妃ほどに身動きが取れない事もないだろうから、エリアーヌの様子をナレントに知らせやすのではないかと、言い出してな』
『さもありなん。王妃様としては、エリアーヌの事が気がかりでしかたがなかったのだろうからな。ラインハルトは?』
『俺か?俺はカトリーヌの気持ち次第だと思っている』
『そうか………』
『ラインハルトはどうしたい?』
キルハイトからの思いがけない言葉にラインハルトが驚く。
『私がどうしたいと?一体何故?カトリーヌに対して、私は何の権利も持ってはいないし、許されてもいない』
『俺が聞きたいのは、ラインハルトの正直な気持ちだ。勿論、最終的にはカトリーヌの気持ちを1番に考える。ただ、俺は、エリアーヌをうしなってからのお前達をずっと見てきた。だから、聞くんだ』
『キルハイト………』
『大変です、キルハイト様!!』
執務室にドアを打ち破る勢いでキルハイトの侍従が転がり込んできた。
『どうしたのだ?!』
床に倒れこんだ侍従にキルハイトがかけよる。
『か、か、カトリーヌ様が共も付けずに、お、お一人でお戻りに」
0
あなたにおすすめの小説
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる