姉を虐げ、両親に溺愛された義妹が行方不明!? ~そして判明するのは義妹の愚行の数々!?~

mimiaizu

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42.フミーナ視点/見捨てられた

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ルカスの件で慰謝料を払わされた両親は、私を下級貴族の嫁に出すか修道女に送ると言いだした。そんなのは嫌だと両親に泣きまねまでして抗議したが、まったく聞き入れてもらえない。父が言うには、侯爵家に喧嘩打ったような状況なのだから私に向こうが納得できるよう処分を下さないと自分たちが危ういらしい。最悪、家が潰される、と。


そこまで言われて私は事の重大さを思い知ったが、時すでに遅しだった。私は修道院に行くことが決まり、送られる当日に親子の縁を切るとまで言われてしまった。貴族ではなくなるだけじゃなく家族からも見捨てられる……そんな事実を突きつけられた私は絶望した。


……自分の将来が終わったと思った私は失意に暮れる。持ち前の美貌で貴族として勝ち組人生を歩むはずだったのに、選ぶべき男を間違えただけでそれが失われるなんて、世の中は理不尽だと夜を呪ったものだ。


だが、私が修道院に送られるという最悪の未来は訪れることは無かった。そうなる前に予想だにしない事態が起こったからだ。




姉が、殺人事件を引き起こしたのだ。







「……私が、アキエーサに見捨てられたのだな」


馬車に入ってからずっと黙っていた夫であるリーベエ。彼は何を思ったのか、そんな情けないことを言いだした。


アキエーサに見捨てられる? 何言ってるのよ、ふざけんじゃないわよ。あのいけ好かない男ルカスのところにアキエーサが逃げ出しただけじゃないのよ。人を見る目もないうえに上から目線で口うるさいあの忌まわしい男のもとにね……!


「は、ははは……」


挙句には、心ここにあらずという感じで薄く笑い始める。何て惨めな姿なんだろう。これが私の夫の姿だなんて……こっちまで惨めになるような錯覚を感じるからやめてほしい。


「……何笑ってるのよ。実の娘にあそこまで言われておかしくなったの?」


嫌味を込めた私の言葉に何か返すどころか、反応すらしない。本当に放心状態みたいね。ああ、本当に情けない男ね。ルカスと同じことを考えるのは嫌だけど、確かにいい加減で細かいところがダメな男なのよねえ。その結果、あんな奴に頼るしまつ。もっとしっかりしてほしいものだわ。


「…………」


だけど、今のリーベエに何を言っても無駄みたいね。この男とルカスは本当に血の繋がった兄弟なのか疑わしくなるわ。若い頃、この男に狙いを定めたのは間違いだったのかもしれない。よりにもよってルカスなんかと縁を持つことになったしね。


はぁ……。どうして私の人生はおかしくなってしまったんだろう。貴族令嬢だった頃に、男選びを間違えなければ幸せになれたのに。それもこれも、元はと言えば、あの馬鹿な姉が格上の伯爵家の男と婚約なんかするからいけないんだ。そんなことがなければ、私は婚約者のことで対抗意識なんかしなかったんだ。ルカスになんか色目を使わずに済んだんだわ!


そうだ、全部あの姉のせいだ。殺人事件まで起こすあの愚かな姉のせいよ……! あいつのせいで家族そろって世の中から見捨てられたんだ! あいつが、婚約者の幼馴染を殺さなければ……!
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