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199.フミーナ視点/心が砕けそう
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(フミーナ視点)
……私は今、王前裁判に被告人側に立たされてしまっている。それもこれもワカマリナとアキエーサと夫のリーベエのせい。リーベエがしっかりとした父親になれなくて、アキエーサがワカマリナを見てあげなかったせい。絶対に私のせいなんかじゃない。
……そう思っていないと心が砕けそう……。
実際、リーベエには問題があった。まさか、賭博とオークションに出ていたことは知っていたけど違法だったなんて知らなかったし、変な壺や獣の剥製もそうだが精力剤は酷い。……正直、不潔と思った。私とリーベエの出会いが出会いなだけに、屋敷に帰らない理由が女が絡んでいるとは気づいていたけど、精力剤が必要なのもそれが理由だと察するのは容易だ。
……これはもう、狙った男を間違えたと思わざるを得ない。ここでは口にしないけど。
「次に、フミーナ・イカゾノスについての調査結果を述べます」
「……え?」
う、嘘でしょ? リーベエだけじゃないの!?
◇
「……という過去があったようです。子爵令嬢だった彼女はかろうじで生き延びて、その後平民として暮らしリーベエ・イカゾノスと再婚して現在に至ったようです。そして、伯爵夫人となってからは……」
……もう終わった。よりにもよって姉が殺人事件を起こして死刑、両親が一家心中で死んだことが明かされてしまった。また人殺しの身内として見られていることがよく分かる。令嬢だった頃に向けられた視線を再び感じる。ただでさえ、ワカマリナのことで罪人扱いされているのに!
それ以前に、私自身がルカス・イムランを口説こうとして問題を起こしていたことまで周りに知れ渡ってしまった。そのことでも嘲笑の声が聞こえてくる。ここまでの辱めを受けるなんて……。
隣にいる夫のリーベエを振り返れば、信じられないものを見るような目で私を見ている。まあ、当然かもしれない。関係が悪くなると思って黙っていたから知らないはずなのだから。
そして、つい最近でしてきたことまで知れわたることとなった。
「……フミーナ・イカゾノスは、アキエーサ嬢に対する過度な虐待、国内で禁止されている薬物や化粧品の所持、また違法な風俗店への関与が判明しています。使用人達の証言から何年にもわたるアキエーサ嬢への厳しい仕打ちが判明しています」
……アキエーサに対する虐待はもう認めるしかない。金で雇っただけの使用人共が私に有利な証言をしてくれるとは思わないから。若い男の子がメインの風俗店の出入りもバレるのも受け入れるしかない。
でも、化粧品の中に禁止されてるのがあったっけ? 薬物が何よ、綺麗になる薬は持ってるけどマズかったの?
「私室も調査したところ、アキエーサ嬢に対する虐待の証拠となる鞭、違法な薬物とその購入記録も証拠として押さえております」
「何よそれ! 違法な薬物なんて無いわよ! 『若返る薬』と『綺麗になる薬』しかないわよ!」
「それが国内禁止の薬物なのです。これも風俗店の男性から購入しましたね?」
「…………」
嘘? 私、騙されていたの?
「お、お前という奴は! 私にあんなことを言っていたくせに自分こそ遊び歩いていたんじゃないか! 若い男と遊び歩いていただと? ワカマリナと同じ事をしていたんじゃないか! 親子そろって不潔すぎるわ!」
ここぞとばかりにリーベエが喚きだした。
「な、違……ワカマリナほどじゃないわよ! 遊んだのはちょっとだけよ!」
「違法な薬を買わされて何が『ちょっと』だ! それとも『遊び』じゃなくて『浮気』か! この阿婆擦れが!」
「違うわよ! お金に余裕があったから少しだけ買ってみただけよ!」
本当は結構な量を買ったんだけど……
「私室からは『かなり』の量の薬品がありました。『少し』ではありません」
ああもう! こんなタイミングでそれを言う!?
「おのれぇ! 余計な散財もワカマリナと一緒! お前達親子は疫病神だああああああああ!!」
「う、うるさいわね! 騙したあいつらが悪いのよ!」
そうよ! 私が悪いんじゃない! 私の周りの全てが悪いんだ!
……私は今、王前裁判に被告人側に立たされてしまっている。それもこれもワカマリナとアキエーサと夫のリーベエのせい。リーベエがしっかりとした父親になれなくて、アキエーサがワカマリナを見てあげなかったせい。絶対に私のせいなんかじゃない。
……そう思っていないと心が砕けそう……。
実際、リーベエには問題があった。まさか、賭博とオークションに出ていたことは知っていたけど違法だったなんて知らなかったし、変な壺や獣の剥製もそうだが精力剤は酷い。……正直、不潔と思った。私とリーベエの出会いが出会いなだけに、屋敷に帰らない理由が女が絡んでいるとは気づいていたけど、精力剤が必要なのもそれが理由だと察するのは容易だ。
……これはもう、狙った男を間違えたと思わざるを得ない。ここでは口にしないけど。
「次に、フミーナ・イカゾノスについての調査結果を述べます」
「……え?」
う、嘘でしょ? リーベエだけじゃないの!?
◇
「……という過去があったようです。子爵令嬢だった彼女はかろうじで生き延びて、その後平民として暮らしリーベエ・イカゾノスと再婚して現在に至ったようです。そして、伯爵夫人となってからは……」
……もう終わった。よりにもよって姉が殺人事件を起こして死刑、両親が一家心中で死んだことが明かされてしまった。また人殺しの身内として見られていることがよく分かる。令嬢だった頃に向けられた視線を再び感じる。ただでさえ、ワカマリナのことで罪人扱いされているのに!
それ以前に、私自身がルカス・イムランを口説こうとして問題を起こしていたことまで周りに知れ渡ってしまった。そのことでも嘲笑の声が聞こえてくる。ここまでの辱めを受けるなんて……。
隣にいる夫のリーベエを振り返れば、信じられないものを見るような目で私を見ている。まあ、当然かもしれない。関係が悪くなると思って黙っていたから知らないはずなのだから。
そして、つい最近でしてきたことまで知れわたることとなった。
「……フミーナ・イカゾノスは、アキエーサ嬢に対する過度な虐待、国内で禁止されている薬物や化粧品の所持、また違法な風俗店への関与が判明しています。使用人達の証言から何年にもわたるアキエーサ嬢への厳しい仕打ちが判明しています」
……アキエーサに対する虐待はもう認めるしかない。金で雇っただけの使用人共が私に有利な証言をしてくれるとは思わないから。若い男の子がメインの風俗店の出入りもバレるのも受け入れるしかない。
でも、化粧品の中に禁止されてるのがあったっけ? 薬物が何よ、綺麗になる薬は持ってるけどマズかったの?
「私室も調査したところ、アキエーサ嬢に対する虐待の証拠となる鞭、違法な薬物とその購入記録も証拠として押さえております」
「何よそれ! 違法な薬物なんて無いわよ! 『若返る薬』と『綺麗になる薬』しかないわよ!」
「それが国内禁止の薬物なのです。これも風俗店の男性から購入しましたね?」
「…………」
嘘? 私、騙されていたの?
「お、お前という奴は! 私にあんなことを言っていたくせに自分こそ遊び歩いていたんじゃないか! 若い男と遊び歩いていただと? ワカマリナと同じ事をしていたんじゃないか! 親子そろって不潔すぎるわ!」
ここぞとばかりにリーベエが喚きだした。
「な、違……ワカマリナほどじゃないわよ! 遊んだのはちょっとだけよ!」
「違法な薬を買わされて何が『ちょっと』だ! それとも『遊び』じゃなくて『浮気』か! この阿婆擦れが!」
「違うわよ! お金に余裕があったから少しだけ買ってみただけよ!」
本当は結構な量を買ったんだけど……
「私室からは『かなり』の量の薬品がありました。『少し』ではありません」
ああもう! こんなタイミングでそれを言う!?
「おのれぇ! 余計な散財もワカマリナと一緒! お前達親子は疫病神だああああああああ!!」
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