姉を虐げ、両親に溺愛された義妹が行方不明!? ~そして判明するのは義妹の愚行の数々!?~

mimiaizu

文字の大きさ
200 / 229

199.フミーナ視点/心が砕けそう

しおりを挟む
(フミーナ視点)


……私は今、王前裁判に被告人側に立たされてしまっている。それもこれもワカマリナとアキエーサと夫のリーベエのせい。リーベエがしっかりとした父親になれなくて、アキエーサがワカマリナを見てあげなかったせい。絶対に私のせいなんかじゃない。


……そう思っていないと心が砕けそう……。


実際、リーベエには問題があった。まさか、賭博とオークションに出ていたことは知っていたけど違法だったなんて知らなかったし、変な壺や獣の剥製もそうだが精力剤は酷い。……正直、不潔と思った。私とリーベエの出会いが出会いなだけに、屋敷に帰らない理由が女が絡んでいるとは気づいていたけど、精力剤が必要なのもそれが理由だと察するのは容易だ。


……これはもう、狙った男を間違えたと思わざるを得ない。ここでは口にしないけど。


「次に、フミーナ・イカゾノスについての調査結果を述べます」

「……え?」


う、嘘でしょ? リーベエだけじゃないの!?





「……という過去があったようです。子爵令嬢だった彼女はかろうじで生き延びて、その後平民として暮らしリーベエ・イカゾノスと再婚して現在に至ったようです。そして、伯爵夫人となってからは……」


……もう終わった。よりにもよって姉が殺人事件を起こして死刑、両親が一家心中で死んだことが明かされてしまった。また人殺しの身内として見られていることがよく分かる。令嬢だった頃に向けられた視線を再び感じる。ただでさえ、ワカマリナのことで罪人扱いされているのに!


それ以前に、私自身がルカス・イムランを口説こうとして問題を起こしていたことまで周りに知れ渡ってしまった。そのことでも嘲笑の声が聞こえてくる。ここまでの辱めを受けるなんて……。


隣にいる夫のリーベエを振り返れば、信じられないものを見るような目で私を見ている。まあ、当然かもしれない。関係が悪くなると思って黙っていたから知らないはずなのだから。


そして、つい最近でしてきたことまで知れわたることとなった。


「……フミーナ・イカゾノスは、アキエーサ嬢に対する過度な虐待、国内で禁止されている薬物や化粧品の所持、また違法な風俗店への関与が判明しています。使用人達の証言から何年にもわたるアキエーサ嬢への厳しい仕打ちが判明しています」


……アキエーサに対する虐待はもう認めるしかない。金で雇っただけの使用人共が私に有利な証言をしてくれるとは思わないから。若い男の子がメインの風俗店の出入りもバレるのも受け入れるしかない。


でも、化粧品の中に禁止されてるのがあったっけ? 薬物が何よ、綺麗になる薬は持ってるけどマズかったの?


「私室も調査したところ、アキエーサ嬢に対する虐待の証拠となる鞭、違法な薬物とその購入記録も証拠として押さえております」

「何よそれ! 違法な薬物なんて無いわよ! 『若返る薬』と『綺麗になる薬』しかないわよ!」

「それが国内禁止の薬物なのです。これも風俗店の男性から購入しましたね?」

「…………」


嘘? 私、騙されていたの?


「お、お前という奴は! 私にあんなことを言っていたくせに自分こそ遊び歩いていたんじゃないか! 若い男と遊び歩いていただと? ワカマリナと同じ事をしていたんじゃないか! 親子そろって不潔すぎるわ!」


ここぞとばかりにリーベエが喚きだした。


「な、違……ワカマリナほどじゃないわよ! 遊んだのはちょっとだけよ!」

「違法な薬を買わされて何が『ちょっと』だ! それとも『遊び』じゃなくて『浮気』か! この阿婆擦れが!」

「違うわよ! お金に余裕があったから少しだけ買ってみただけよ!」


本当は結構な量を買ったんだけど……


「私室からは『かなり』の量の薬品がありました。『少し』ではありません」


ああもう! こんなタイミングでそれを言う!?


「おのれぇ! 余計な散財もワカマリナと一緒! お前達親子は疫病神だああああああああ!!」

「う、うるさいわね! 騙したあいつらが悪いのよ!」


そうよ! 私が悪いんじゃない! 私の周りの全てが悪いんだ!

しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

【完結】王妃はもうここにいられません

なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」  長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。  だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。  私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。  だからずっと、支えてきたのだ。  貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……  もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。 「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。  胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。  周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。  自らの前世と、感覚を。 「うそでしょ…………」  取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。  ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。 「むしろ、廃妃にしてください!」  長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………    ◇◇◇  強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。  ぜひ読んでくださると嬉しいです!

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

婚約者の姉を婚約者にしろと言われたので独立します!

ユウ
恋愛
辺境伯爵次男のユーリには婚約者がいた。 侯爵令嬢の次女アイリスは才女と謡われる努力家で可愛い幼馴染であり、幼少の頃に婚約する事が決まっていた。 そんなある日、長女の婚約話が破談となり、そこで婚約者の入れ替えを命じられてしまうのだったが、婚約お披露目の場で姉との婚約破棄宣言をして、実家からも勘当され国外追放の身となる。 「国外追放となってもアイリス以外は要りません」 国王両陛下がいる中で堂々と婚約破棄宣言をして、アイリスを抱き寄せる。 両家から勘当された二人はそのまま国外追放となりながらも二人は真実の愛を貫き駆け落ちした二人だったが、その背後には意外な人物がいた

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?

ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」  華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。  目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。  ──あら、デジャヴ? 「……なるほど」

処理中です...