悪役令嬢が行方不明!?

mimiaizu

文字の大きさ
18 / 149

18.選ばれた?

しおりを挟む
「どうして私が働かなきゃいけないのよ! そんなのは他の奴がやればいいじゃない!」

「王家に嫁ぐということはそういうことだ。サエナリアのようなしっかりした女性ならそれが分かっている。お前のような女とは違うのだ」

「違うって何よ! あの女が持っていない美貌とドレスや宝石を私は持ってるのに! 私は選ばれた女なのに!」

「「(こいつ、もう頭はダメだな)」」

意味不明な言葉を吐くワカナに呆れまくる公爵と王太子の二人。

「誰に何を選ばれた? まともな者はお前など選ばないよ。それにサエナリアにこそ、お前が持っていないような貴族として必要不可欠な価値観と深い情を持ち合わせている。もしも選ばれると追うなら、サエナリアこそ選ばれる!」

「な、な、な…………」

ベーリュがワカナに言いたかったことを言ってくれるカーズ。ワカナの方は、もはや何を言ったらいいのか分からないと言った感じだ。

「覚えておけ。私の婚約者にふさわしいのはサエナリアのような女性だ。お前などでは絶対にない!」

「~~~~~っ!」

ワカナは目に涙をためて、顔を赤く染めて、唇を噛んで悔しがる。更に、美少女の顔を歪ませて鬼のような形相になった。怒りに震え、興奮してまだ何か言いたそうだが、ここで使用人の執事たちがノックもしないで入ってきた。

「申し訳ありません! ワカナお嬢様はこちらに……ってワカナ様!?」

「旦那様と王太子殿下もご一緒に!?」

どうやらワカナを必死で探していたらしく、そのワカナがベーリュとカーズといるのに驚いた。ベーリュはすかさず使用人共に怒りを交えた命令を下す。

「お前たち何をしていた、ワカナが勝手に入ってきたんだぞ!」

「「はっ! 申し訳ありません!」」

「直ちにワカナを自室、いや地下牢にでも閉じ込めろ! うるさくてかなわん!」

「「了解しました! ワカナお嬢様、失礼します!」」

「んなっ!? お前たちは!?」

ワカナは二人の執事に両側から腕を捕まれて、その場から連れ出されることになった。それでも、ワカナは王太子に向かって理不尽な怒りを叫ぶ。

「ふっざけんじゃないわよおっ! 何が王太子よ! 礼儀だの気品だの細かいこと気にしてんじゃないわよ! 地味な女と最高の美を持つ女を取り換えられるというのに、後悔しろおおおぉぉぉ! ちくしょおおおぉぉぉ!」

怒り狂うワカナの声は、とても少女の口にするような声に聞こえなかった。ギャアギャア騒ぎながら部屋を連れ出されてからも「ムッキー、くそ、離しなさいよ!」とか「私に逆らうな、お前たちはクビにしてやる!」という声が聞こえる。ワカナの父親のベーリュとワカナを袖にしたカーズも悪魔の声を聞かされた気分になった。

だが、ようやくワカナの暴言という嵐が過ぎ去ったのだ。おかげで静かになった。
しおりを挟む
感想 309

あなたにおすすめの小説

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

縁の鎖

T T
恋愛
姉と妹 切れる事のない鎖 縁と言うには悲しく残酷な、姉妹の物語 公爵家の敷地内に佇む小さな離れの屋敷で母と私は捨て置かれるように、公爵家の母屋には義妹と義母が優雅に暮らす。 正妻の母は寂しそうに毎夜、父の肖像画を見つめ 「私の罪は私まで。」 と私が眠りに着くと語りかける。 妾の義母も義妹も気にする事なく暮らしていたが、母の死で一変。 父は義母に心酔し、義母は義妹を溺愛し、義妹は私の婚約者を懸想している家に私の居場所など無い。 全てを奪われる。 宝石もドレスもお人形も婚約者も地位も母の命も、何もかも・・・。 全てをあげるから、私の心だけは奪わないで!!

【完結】その溺愛は聞いてない! ~やり直しの二度目の人生は悪役令嬢なんてごめんです~

Rohdea
恋愛
私が最期に聞いた言葉、それは……「お前のような奴はまさに悪役令嬢だ!」でした。 第1王子、スチュアート殿下の婚約者として過ごしていた、 公爵令嬢のリーツェはある日、スチュアートから突然婚約破棄を告げられる。 その傍らには、最近スチュアートとの距離を縮めて彼と噂になっていた平民、ミリアンヌの姿が…… そして身に覚えのあるような無いような罪で投獄されたリーツェに待っていたのは、まさかの処刑処分で── そうして死んだはずのリーツェが目を覚ますと1年前に時が戻っていた! 理由は分からないけれど、やり直せるというのなら…… 同じ道を歩まず“悪役令嬢”と呼ばれる存在にならなければいい! そう決意し、過去の記憶を頼りに以前とは違う行動を取ろうとするリーツェ。 だけど、何故か過去と違う行動をする人が他にもいて─── あれ? 知らないわよ、こんなの……聞いてない!

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。 そこで目撃してしまったのだ。 婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!  長くなって来たので長編に変更しました。

ハーレムエンドを迎えましたが、ヒロインは誰を選ぶんでしょうね?

榎夜
恋愛
乙女ゲーム『青の貴族達』はハーレムエンドを迎えました。 じゃあ、その後のヒロイン達はどうなるんでしょうね?

病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

処理中です...