4 / 252
第0章 豹変編
VSヘビ
しおりを挟む
全快した後、片手と両足を器用に使って新しい石のナイフを作った。そして、これからのことを考える。
(石のナイフはここでも作れるが、あまり役に立たない。どれだけ敵に見つからないか、敵から逃げられるかが重要になる。見つからないためには前だけ見ても駄目、周囲に注意する。音がして振り向くでは遅い気配を感じ取れるよう気を付けよう。見つかった時は、石のナイフをすぐに投げつけて逃げよう。そして自分の都合のいいことは考えないようにしよう)
依然のローに比べ、よく考えられるようになったのは復讐心と生への執着からくるものだ。彼の生存率は上がったかもしれない。魔法があればさらに上がったのだが……
「さて、行くか」
石のナイフを多く準備してその場から行こうとしたが、その先で嫌な気配を感じた。
「嘘だろ…」
嫌な気配は気のせいではなく、奥からかすかに音が近づいてくるのが分かる。彼は逃げることができない状況で魔物と遭遇することになれば、隠れるか逃げる隙を作るしかないと考えていた、回復薬のあるこの場所での遭遇は想定外だった。
(なんてこった! まさかこの水が目当てか!? いや俺か!?)
さすがにそれはないだろうと思うが、それでも対処しないよりはいいと思って水の後ろのほうに移動した。目当てが水ならこれで隙を作る。
魔物が目で見える範囲にまで来た。蛇の頭にムカデ、蛇の体にムカデの足を付けた魔物だ。人間大ぐらいあって気性が荒い。ローに注目して、水には目もくれないようだ。
(ヤバい。石のナイフで逃げられるか? 蛇といえば毒! 噛まれたら終わりだ!)
敵について考えているうちに、敵のほうから飛びついてきた。その直後にローは横に避けた。間一髪で噛まれずに済んだ。この蛇の魔物について考えられることは、
(動きが早い。気性が荒い。多分追ってくる。殺せるなら殺すべき。)
蛇を避けた一瞬の隙に、ローはナイフを力いっぱい蛇の頭に突き刺した。蛇の頭を貫き、壁に固定したが、蛇の胴体が絡みついてきた。ローの体を締め付ける。
「ぐっ! くそっ! ここで死ね!」
ナイフから手を放すと、もう一つのナイフを取り出して、蛇の頭と首の付け根に突き刺した。
「ここで殺す!」
蛇の首と体を強引に切り離そうとしたのだ。その直後、締まりが緩んだように感じた。
「くっ! 今だ!」
手に持ったナイフを力いっぱい振った。すると蛇の首が半分ほど切り離されたのだ。胴体のほうも力尽きて、ローは解放された。
「ふー。ヤバかったー。……ははは」
ローは、蛇の血で濡れた片手を見て、魔物を殺したことを実感した。
「俺は魔物に勝ったんだ! あっははははははは!」
初めての勝利に歓喜する。血で濡れた手が痺れていることに気づかぬまま。
だが、すぐに新たな危険が迫る。
ギチギチ、シュルルル、ガサガサ
「……!」
奥から、蛇系の魔物がたくさん迫ってきていた。
ムカデ足の蛇、角がある蛇、複眼の蛇、首が双頭の蛇、様々だ。ローは、絶句しながらも、どうにか思考を働かせる。
(また来た! どうする! 多い! 殺せない! 逃げなきゃ! どうやって! あれ? 手が……)
動かなくなった右手の異変に気付いた時には、体中から痺れを感じていた。
「どうして手が、まっまさか!」
ローは、素手で蛇の魔物の血に触れている。それが原因だろう。
(しまった! 血に触れるだけでも駄目だったのか! くそ! 水を飲まないと!)
すぐ傍の回復の水を飲んで、毒を消そうとしたが体が思うように動かない。
「動け! 動け! 動けええええええええええええええええええええええええええ!」
必死に体を動かそうとしている間に蛇が迫る。そして、一匹が噛みついた。
「ひっうぐっ!」
さらに、ほかの蛇が噛みついたり、巻き付いてきた。
「くっ! くそ、くそ、くそ、くそ……く……」
動かないローの体を、たくさんの蛇が巻き付いてる。そんな状況では誰でも絶望するしかないのだが、ローの頭の中は怒りと憎しみしかなかった。
(やっぱりここで死ぬしかなかったてのか、生きたいと思うことの何が悪いんだ、こんな理不尽に屈したままでいろってのか、ふざけんな! 殺す! 殺してやる!)
一度絶望から立ち直ったローの心には、絶望よりも更なる怒りが込み上げる。怒りと憎しみのあまり、ついに狂気的になる。
「ググ……こっ殺す! ぶっ殺す! ははっ! 殺してやる! ぶっ殺してやるぁ!」
ローの頭の中には、憎いもの全てが浮かんでいた。自分を蔑んだ人間、襲い来る魔物、大きな雷等、あらゆるものが自分の敵だったと思いながら。
「ぐ……ううう……」
(お前らも! 同じ目に! いや、それ以上ひどい目に合わせてやる!)
妄想の中で、目の前の敵を苦しめる自分を思い浮かべる。蛇を雷で殺すという想像をしたその時、ローの体が紫色に光りだしたのだ。
そして、
ドゴオオオオオオオオオオオオッ!!
雷の轟音が響いた。頭の中が真っ白になった。
(石のナイフはここでも作れるが、あまり役に立たない。どれだけ敵に見つからないか、敵から逃げられるかが重要になる。見つからないためには前だけ見ても駄目、周囲に注意する。音がして振り向くでは遅い気配を感じ取れるよう気を付けよう。見つかった時は、石のナイフをすぐに投げつけて逃げよう。そして自分の都合のいいことは考えないようにしよう)
依然のローに比べ、よく考えられるようになったのは復讐心と生への執着からくるものだ。彼の生存率は上がったかもしれない。魔法があればさらに上がったのだが……
「さて、行くか」
石のナイフを多く準備してその場から行こうとしたが、その先で嫌な気配を感じた。
「嘘だろ…」
嫌な気配は気のせいではなく、奥からかすかに音が近づいてくるのが分かる。彼は逃げることができない状況で魔物と遭遇することになれば、隠れるか逃げる隙を作るしかないと考えていた、回復薬のあるこの場所での遭遇は想定外だった。
(なんてこった! まさかこの水が目当てか!? いや俺か!?)
さすがにそれはないだろうと思うが、それでも対処しないよりはいいと思って水の後ろのほうに移動した。目当てが水ならこれで隙を作る。
魔物が目で見える範囲にまで来た。蛇の頭にムカデ、蛇の体にムカデの足を付けた魔物だ。人間大ぐらいあって気性が荒い。ローに注目して、水には目もくれないようだ。
(ヤバい。石のナイフで逃げられるか? 蛇といえば毒! 噛まれたら終わりだ!)
敵について考えているうちに、敵のほうから飛びついてきた。その直後にローは横に避けた。間一髪で噛まれずに済んだ。この蛇の魔物について考えられることは、
(動きが早い。気性が荒い。多分追ってくる。殺せるなら殺すべき。)
蛇を避けた一瞬の隙に、ローはナイフを力いっぱい蛇の頭に突き刺した。蛇の頭を貫き、壁に固定したが、蛇の胴体が絡みついてきた。ローの体を締め付ける。
「ぐっ! くそっ! ここで死ね!」
ナイフから手を放すと、もう一つのナイフを取り出して、蛇の頭と首の付け根に突き刺した。
「ここで殺す!」
蛇の首と体を強引に切り離そうとしたのだ。その直後、締まりが緩んだように感じた。
「くっ! 今だ!」
手に持ったナイフを力いっぱい振った。すると蛇の首が半分ほど切り離されたのだ。胴体のほうも力尽きて、ローは解放された。
「ふー。ヤバかったー。……ははは」
ローは、蛇の血で濡れた片手を見て、魔物を殺したことを実感した。
「俺は魔物に勝ったんだ! あっははははははは!」
初めての勝利に歓喜する。血で濡れた手が痺れていることに気づかぬまま。
だが、すぐに新たな危険が迫る。
ギチギチ、シュルルル、ガサガサ
「……!」
奥から、蛇系の魔物がたくさん迫ってきていた。
ムカデ足の蛇、角がある蛇、複眼の蛇、首が双頭の蛇、様々だ。ローは、絶句しながらも、どうにか思考を働かせる。
(また来た! どうする! 多い! 殺せない! 逃げなきゃ! どうやって! あれ? 手が……)
動かなくなった右手の異変に気付いた時には、体中から痺れを感じていた。
「どうして手が、まっまさか!」
ローは、素手で蛇の魔物の血に触れている。それが原因だろう。
(しまった! 血に触れるだけでも駄目だったのか! くそ! 水を飲まないと!)
すぐ傍の回復の水を飲んで、毒を消そうとしたが体が思うように動かない。
「動け! 動け! 動けええええええええええええええええええええええええええ!」
必死に体を動かそうとしている間に蛇が迫る。そして、一匹が噛みついた。
「ひっうぐっ!」
さらに、ほかの蛇が噛みついたり、巻き付いてきた。
「くっ! くそ、くそ、くそ、くそ……く……」
動かないローの体を、たくさんの蛇が巻き付いてる。そんな状況では誰でも絶望するしかないのだが、ローの頭の中は怒りと憎しみしかなかった。
(やっぱりここで死ぬしかなかったてのか、生きたいと思うことの何が悪いんだ、こんな理不尽に屈したままでいろってのか、ふざけんな! 殺す! 殺してやる!)
一度絶望から立ち直ったローの心には、絶望よりも更なる怒りが込み上げる。怒りと憎しみのあまり、ついに狂気的になる。
「ググ……こっ殺す! ぶっ殺す! ははっ! 殺してやる! ぶっ殺してやるぁ!」
ローの頭の中には、憎いもの全てが浮かんでいた。自分を蔑んだ人間、襲い来る魔物、大きな雷等、あらゆるものが自分の敵だったと思いながら。
「ぐ……ううう……」
(お前らも! 同じ目に! いや、それ以上ひどい目に合わせてやる!)
妄想の中で、目の前の敵を苦しめる自分を思い浮かべる。蛇を雷で殺すという想像をしたその時、ローの体が紫色に光りだしたのだ。
そして、
ドゴオオオオオオオオオオオオッ!!
雷の轟音が響いた。頭の中が真っ白になった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる