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第0章 豹変編
幕間・村の様子
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ローが村全体に魔術をかける直後。
村は大混乱になった。村全体が光を放つ状況に誰もが冷静になれなかったのだ。
「な、何だこの光は!?」
「周りが、村全体が光っているってのか!?」
「ひいいいいいいいいい!?」
「くそ、何なんだよ!? ローのこととか一体何が起こってんだ!?」
この状況で、負傷していながらも他とは違った思考をする者がいた。
「これは……大規模魔術か……この村を対象にした魔術を……まずい!」
それは親方だった。彼は元は帝国の軍人だっただけあって、この状況に察しがついたようだ。
「みんな! 早くここから、うぐっ!?」
「「「親方!?」」」
親方は急に倒れてしまった。周囲の者たちが心配になって駆け寄ってきたが……
「うっ、なんだ? 力が抜け……」
「お、俺も……」
「……………」
周囲の者たちが意識を失って倒れる中で、親方は薄れゆく意識の中で考えていた。
(まさか……ローがやってるのか……いやそんなはずはない。……奴は……確かに強力な魔法を……使えるようになった……が、こんな魔術を……いきなり使えるはずが……ない。……誰か……糸を……引いて………)
思考の途中で、親方の意識は残念ながら途切れてしまった。
魔術が終わった後。
「う、うん?」
「う、う~ん、な、何が?」
「た、確か、村が光って……」
「みんな! 大丈夫か!? 体に異常はないか!?」
村の者たちが目覚め始める中で親方が安否確認を急いでいた。あんなことがあって無事だとは思えないのだ。
「お前たちは回復系統の魔法が使えたな、みんなの治療をしてくれ! 何かあるはずだ!」
「はい! では親方から治療を……あれ?」
「……おい、どうした? 何か気付いたのか?」
親方に治療を頼まれた青年は、不思議そうに自身の手を見ていた。治療のつもりで魔法をかけようとして何も起こらなかったからだ。青年はあることに気付いて震えながら親方に答えた。
「……お、親方……お、俺の魔法が……使えなくなってます……」
「な、何だとお!?」
青年の言葉に驚いた親方は自分の魔法を確認してみたが、親方も魔法が使えなくなっていることが分かった。さらに、あちこちで魔法が使えないという話が聞こえてきた。
「どうなってやがる!? 何で魔法が使えないんだ!?」
「怪我人がこんなにいるのに回復魔法もダメだって!?」
「私や子供たちまで! 仕事にも必要なのに! 」
「これからどうして生きていけばいいんだ!?」
「くっくそ! ちくしょう!」
(な、なんてことだ!? これが、あの大魔術の効果か!?)
魔法が使えなくなる。辺境とはいえ、この王国で暮らしていくには魔法は欠かせないものだ。魔法が使えないということは、村全体で蔑んできた『魔法なし』と同じだ。それが何を意味するかは、彼らが良く知っている。
「なあ! これって、ローの仕業じゃないのか!? 俺たちに恨みがあってこんなことを!」
「そうだよ! あいつ、得体のしれない力を持ってたじゃないか!」
「だとしたらなんてことをしてくれたんだ! ふざけやがって!」
「絶対に許さねえ! 捕まえて元に戻させるんだ!」
村人たちはさっそく、ローを疑い始めた。村全体に恨みを持つ者と言えば、ロー・ライトしか当てはまらない。魔法なしだったくせに、突然、謎の魔法を持って戻ってきたのだから。
「…魔道具で…王都に…連絡しろ…」
「「「「「村長!」」」」」
「奴を…野放しに…するな…あの5人にも…伝えるんだ」
ボロボロの村長が村の中心にやってきた。【念話魔法】の使い手だった村長がわざわざやってくるということは、村長も魔法を使えなくなったのだ。
「そうだ! 王都に連絡して指名手配してもらうんだ! 逃げられないようにな! 」
「奴の似顔絵や特徴を細かく伝えろ! 青い瞳で、赤い髪に少し黒が混ざった頭髪なんて分かりやすい奴はそんなにいない!」
「あの5人は優秀だ! きっと力を合わせて奴を倒してくれるはずだ!」
「連絡用魔道具はどこだ! 早く伝えろ!」
村人たちはすぐに村中の連絡用魔道具を求めた。しかし、
「大変です! 全ての魔道具が機能しません!」
「こっちもだ! 魔道具が動かないぞ!」
「なんだと!? くそお! 直接王都に伝えていくしかないのか!」
(王都に直接だと? 無理に決まってんだろ……)
連絡用魔道具の故障はローにとっても思ってもみなかった誤算だったが、村からすればかなり致命的だった。魔法が無ければ、王都に向かう途中で出くわす魔物に対処できないからだ。つまり、村から王都に連絡する手段は、無くなったのだ。これから彼らは、ずっと魔法なしの人生を歩むことになるだろう。ローが魔法を彼らに返さない限り。
村は大混乱になった。村全体が光を放つ状況に誰もが冷静になれなかったのだ。
「な、何だこの光は!?」
「周りが、村全体が光っているってのか!?」
「ひいいいいいいいいい!?」
「くそ、何なんだよ!? ローのこととか一体何が起こってんだ!?」
この状況で、負傷していながらも他とは違った思考をする者がいた。
「これは……大規模魔術か……この村を対象にした魔術を……まずい!」
それは親方だった。彼は元は帝国の軍人だっただけあって、この状況に察しがついたようだ。
「みんな! 早くここから、うぐっ!?」
「「「親方!?」」」
親方は急に倒れてしまった。周囲の者たちが心配になって駆け寄ってきたが……
「うっ、なんだ? 力が抜け……」
「お、俺も……」
「……………」
周囲の者たちが意識を失って倒れる中で、親方は薄れゆく意識の中で考えていた。
(まさか……ローがやってるのか……いやそんなはずはない。……奴は……確かに強力な魔法を……使えるようになった……が、こんな魔術を……いきなり使えるはずが……ない。……誰か……糸を……引いて………)
思考の途中で、親方の意識は残念ながら途切れてしまった。
魔術が終わった後。
「う、うん?」
「う、う~ん、な、何が?」
「た、確か、村が光って……」
「みんな! 大丈夫か!? 体に異常はないか!?」
村の者たちが目覚め始める中で親方が安否確認を急いでいた。あんなことがあって無事だとは思えないのだ。
「お前たちは回復系統の魔法が使えたな、みんなの治療をしてくれ! 何かあるはずだ!」
「はい! では親方から治療を……あれ?」
「……おい、どうした? 何か気付いたのか?」
親方に治療を頼まれた青年は、不思議そうに自身の手を見ていた。治療のつもりで魔法をかけようとして何も起こらなかったからだ。青年はあることに気付いて震えながら親方に答えた。
「……お、親方……お、俺の魔法が……使えなくなってます……」
「な、何だとお!?」
青年の言葉に驚いた親方は自分の魔法を確認してみたが、親方も魔法が使えなくなっていることが分かった。さらに、あちこちで魔法が使えないという話が聞こえてきた。
「どうなってやがる!? 何で魔法が使えないんだ!?」
「怪我人がこんなにいるのに回復魔法もダメだって!?」
「私や子供たちまで! 仕事にも必要なのに! 」
「これからどうして生きていけばいいんだ!?」
「くっくそ! ちくしょう!」
(な、なんてことだ!? これが、あの大魔術の効果か!?)
魔法が使えなくなる。辺境とはいえ、この王国で暮らしていくには魔法は欠かせないものだ。魔法が使えないということは、村全体で蔑んできた『魔法なし』と同じだ。それが何を意味するかは、彼らが良く知っている。
「なあ! これって、ローの仕業じゃないのか!? 俺たちに恨みがあってこんなことを!」
「そうだよ! あいつ、得体のしれない力を持ってたじゃないか!」
「だとしたらなんてことをしてくれたんだ! ふざけやがって!」
「絶対に許さねえ! 捕まえて元に戻させるんだ!」
村人たちはさっそく、ローを疑い始めた。村全体に恨みを持つ者と言えば、ロー・ライトしか当てはまらない。魔法なしだったくせに、突然、謎の魔法を持って戻ってきたのだから。
「…魔道具で…王都に…連絡しろ…」
「「「「「村長!」」」」」
「奴を…野放しに…するな…あの5人にも…伝えるんだ」
ボロボロの村長が村の中心にやってきた。【念話魔法】の使い手だった村長がわざわざやってくるということは、村長も魔法を使えなくなったのだ。
「そうだ! 王都に連絡して指名手配してもらうんだ! 逃げられないようにな! 」
「奴の似顔絵や特徴を細かく伝えろ! 青い瞳で、赤い髪に少し黒が混ざった頭髪なんて分かりやすい奴はそんなにいない!」
「あの5人は優秀だ! きっと力を合わせて奴を倒してくれるはずだ!」
「連絡用魔道具はどこだ! 早く伝えろ!」
村人たちはすぐに村中の連絡用魔道具を求めた。しかし、
「大変です! 全ての魔道具が機能しません!」
「こっちもだ! 魔道具が動かないぞ!」
「なんだと!? くそお! 直接王都に伝えていくしかないのか!」
(王都に直接だと? 無理に決まってんだろ……)
連絡用魔道具の故障はローにとっても思ってもみなかった誤算だったが、村からすればかなり致命的だった。魔法が無ければ、王都に向かう途中で出くわす魔物に対処できないからだ。つまり、村から王都に連絡する手段は、無くなったのだ。これから彼らは、ずっと魔法なしの人生を歩むことになるだろう。ローが魔法を彼らに返さない限り。
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