ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第3章 組織編

露骨な変化

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翌朝

 小さな小屋で少年と少女が一緒に眠っている。少年は『ローグ・ナイト』。幼馴染への復讐と世界崩壊の謎を解くことを目指す少年だ。隣に寝ているのは『ミーラ・リラ』。ローグの復讐の対象の一人で、昨晩、ローグの計画で彼の奴隷になるように仕込まれた少女だ。そして、

「は、わ、わ、私……ローと……あんなことを……はわわわわわ……!」

 ミーラが先に起きた。彼女は起きた後、昨晩のことを思い出して顔を赤くして手で顔を覆った。どこか嬉しそうな気持があるのはミーラの気のせいではない。その時、自分の両手を見て、左手の火傷がないことに気付いた。

「あ、あれ? て、手が!? 治ってる!? まさか!?」

 ミーラは体中を確認し、最後に割れたガラスで火傷していたはずの顔を見てみた。火傷の跡はどこにもなく、完全に無くなっていたのだ。ミーラは何が起こったのか分からなかったが、隣にいる幼馴染の少年に気付いて誰の仕業か理解した。そして、その少年も目を覚ましている。

「ん、おはよう、ミーラ。元の姿を取り戻した気分はどうだ?」
「う、うう……グスッ……」
「?」
「わあああ~ん! ありがとう! ありがとう! うわあああ~ん!」
「うおっ!? おいおい、誰も抱き着けなんて言ってないぞ!」

 ミーラは派手に泣き出してローグに抱き着いてしまった。ローグはやれやれといった感じで、ミーラにされるがままになった。しかし、いつまでも泣き続けるミーラに面倒くさくなってきたローグは、あることを告げた。

「お~い、いつまでも素っ裸のままだと風邪ひくぞ? 俺もだけど……」
「う、うええ……え? あっ! きゃあああああああああああああ!?」
「さっさと服着て朝飯を……はあ、今度はそう来たか……」

 ローグの言う通り、二人とも裸だったのだ。服は散乱している。昨晩の行為の後は眠ってしまったため、服を着てなかったのだ。思い出したミーラは再び顔を真っ赤にして、今度は布団の中にもぐってしまった。ローグは、下手なことしないで落ち着くのを待つことにした。


数時間後。

 小屋の中で、朝食のパンを食べるローグとミーラがいる。ローグは黙々と食べるだけだが、ミーラはとてもおいしそうに食べている。よく見ると涙ぐんでさえいる。気になったローグは、ちょっと聞いてみることにした。

「……なあ、ミーラ」
「ふぇ!? な、な、な、な、何でしょう!? ロー、じゃない、ローグ様!?」

 ミーラはローグのことを、『ロー』ではなく『ローグ様』と呼んでいる。ローグは朝食の前に、名前と姿を変えたことをミーラに明かしていた。さらに、普段行動するときの『ローグ・ナイト』の姿も見せた。彼女にそこまで明かしたのは、それを知ったことでどう反応するか試したのだが、すんなり受け入れられた。

 人がいるときは『ローグ』と呼ぶように言ってあるのだが、二人だけの時は『ロー』と呼んでいいと言っているのだ。しかし、『ローグ様』と呼ぶように言ってはいない。

「いや、その……あまりにも美味そうに食べてるけど、ただのパンだぞ?」
「そ、そ、そ、そ、そんなことないよー! ロー様、いや、ローグ様がくれたパンだもん! 世界一美味しいよー!」
「そ、そうか……あ、ありがとう。そ、それと今は二人きりだから、別に『ロー』と呼んでも大丈夫だぞ?」
「は、はい……ロー様!」
(こ、これほど変わるとは……予想以上だな。やり過ぎたか? 昨日の夜に火傷を直しておいてよかったな……ミーラの変化はそのせいだとルドガーに言っておこう)

 ただのパン(安物)をもらっただけで涙を流すほど喜び、食べてみて世界一美味だと信じ込むなどあまりにもローグを慕いすぎている。ローグを愛するように心をいじった結果なのだが、いじった張本人が軽く引いている。

 ルドガーならこの変化を見逃さないだろう、絶対に。誰がどう見ても不自然なのだから。
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