ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
109 / 252
第4章 因縁編

VSカマキリ(サソリ)

しおりを挟む
 ローグは「黒ずくめの仮面の男」という感じの姿でカマキリの魔物の前に出る。

(カマキリか。姿は若干違うけど懐かしく感じるな……。思えば、こんな感じの奴に追い詰められて、かつての俺は変わったんだよな)

 ローグはカマキリの魔物を正面から見て、数週間前に自分に起こったことの全てを思い出した。思えば、カマキリが最初の復讐の始まりになったのだ。この状況で、そんな昔を懐かしんで思いだすのは、それだけローグが強くなって余裕を持てたということだろうか。



 かつての自分は、優しくて明るい少年だった。 

 だが、魔法なしと言われ、村でいじめられて、井戸に突き落とされた。

 目の前の魔物の同類に腕を切られ、苦しみの中で怒りが爆発して復讐を決意した。
 
 生きるためにあがいて、魔法を発現して迷宮を攻略し、『前世の記憶』を手に入れた。
 
 そして、復讐をはたすため、旧世界の謎を解き明かすため、故郷を出た。



 ……それらの出来事が、今に繋がる。



 ローグが感傷に浸っている間にも、カマキリの魔物は食事を続けていた。

バキバキバキバキ…………

「ギギイ?」
「……ひはははははは!」
「…………」

 カマキリの魔物は、レシオン・ザールを食べきると、トーレンとメルガーのほうに注目する。どうやら、食事の対象になったようだ。

「さて、俺も懐かしむのはこの辺にするとしよう。だから、お前もこっちを見てくれないか?」
「……ギギ?」

 カマキリの魔物は、声を掛けてきたローグの存在に気付いた。

「ッ!?」

 ……ローグは十分過去を懐かしんだようだ。

(呪われた過去なんだが、それを懐かしむなんてな。……やっぱり、今の俺は心だけは大人なんだな。自分が若いって感じられないとは、悲しいもんだな……)
「まあ、おかげで……」

 ローグの目には殺気を感じられる。

「復讐以外の……」

 更に、ローグの体から赤紫のオーラが発生する。

「目的ができたんだよなあ!」
「ギギッ!?」

 カマキリの魔物は、ローグに鎌を向ける。その様子は明らかに警戒しての行動だった。カマキリの魔物は、間違いなく、ローグを食べっものではなく敵と認識した。

 その様子を正面から確認したローグは、ニヤリと笑う。

「ありがとうな。お前のおかげで初心に帰った気分になったよ。お礼に苦しむのは一瞬にしてやる」
「ギギィッ!」

シュンッ! シュンッ!

 カマキリの魔物はローグに向かって鎌を振る。それをローグは難なく避ける。魔法すら使っていない。だが、今度の相手は、鎌だけが武器ではない。

シュンッ! シュンッ! シュシュンッ!

 サソリの尻尾が上から襲い掛かってくるのだ。流石のローグも、相手の武器が三つになると魔法を使いだす。

「【昇華魔法】『感覚昇華』!」

 【昇華魔法】によって、ローグのもつ感覚は人間をギリギリ超えるくらいにまで高められた。そのおかげで、ローグは無駄な動きもなく、鎌もサソリの尻尾も避けられるようになる。

「さて、もうおしまいにしよう。【外道魔法・憤怒】『削り裁き』!」

 ローグの手から光の輪が形成される。はかなりの速さで回転して、カマキリの魔物に向かって投げつけられた。そして……。

スパンッ!

「……ッ!」

ボトッ  


ドッシャァッ!

 カマキリの首を一瞬で切断してしまった。首と胴体を切り離されたカマキリの魔物は、ローグの言った通りに苦しむのは一瞬で終わった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

処理中です...