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第4章 因縁編
合成生物とは
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ローグの魔法に弾かれて壁にぶつかったトリニティウルフは、少しよろめいたがすぐに立ち上がり、ローグを睨め付けた。
「ちっ、たいして効いて無さそうだな」
ローグの言う通りだった。鰐の強靭な鱗を持ち、運動能力に優れた狼の体を持つトリニティウルフ。自身の体当たりを弾かれる程度ではビクともしない。八つもある赤い目でローグをジッと見ているのは、頭もいい証拠だ。
「狼も混ざってるってことは、慎重さと警戒心が強いよな。何より頭もいい。そんな生物の狩りだ。どう来るか分かったもんじゃないな」
トリニティウルフを前にして、ローグはかなり緊張している。それは魔法協会のトップ……だった男を前にする以上だった。何故なら、トリニティウルフの危険性を知ってはいたが、その能力などは詳しく知らなかったのだ。
ローグの前世、『ナイトウ・ログ』は魔法の研究者だ。魔法にあまり関わりの無かった合成生物に関しては専門外だった。……というよりも関わりたくもなかったと言ったほうが正しい。ナイトウ・ログからしてみれば、合成生物を作ること自体に大した価値は無いと考えていたのだ。科学の分野というのもあるが、無暗に命を弄ぶ実験だと思って軽蔑すらしていた。トリニティウルフの名前と姿を知ったのは、とある大事件のニュースを見たからだった。
合成生物は通常、2種類の生物を魔術か科学の力で融合させて作り出す。魔法でも化学でも、そこまでが限界だった。相性のいい生物を掛け合わさなければ、生体として機能しないのだ。だからこそ、2種類を超える合成生物は困難を極めた。
だが、ある時、両方の技術を利用することで遂に3種類の生物の融合に成功した。その最初の実験体がトリニティウルフだった。試行錯誤の末に作り上げることに成功したのだ。実験を成功させた研究者や科学者は大喜びしたそうだ。ここまではよかったのだが……
「一番の問題は、人間に対する異常な攻撃性か」
作り出してから、その一週間後に事件が起きてしまった。作り出したトリニティウルフの全てが、実験体の収容施設から逃げ出してしまったのだ。それも、創造主の研究者や科学者を皆殺しにした後で。
事件はそこで終わらなかった。逃げたトリニティウルフは、多くの人間を襲い始めたのだ。人間を食料とみなしたと最初は考えられたが、被害者の大部分は惨殺されたにもかかわらず食われた痕跡は全くなかったのだ。このことから、単純に人間を殺すことを『楽しんでいる』とみなされた。被害にあった国は、被害を止めるべく、トリニティウルフの駆除に総力を上げた。
3種類の生物の合成生物と言っても、それら3種の長所を都合よく引き出せることはなかった。狼のように集団行動はせず、単独でいる個体が多く、蜘蛛のように糸を出さず、鰐のように水の中に住み着くこともなかったのだ。それらの事前情報があったため、国が結成した駆除班は「大きくて固い狼」としか考えなかった。
後になって、その考えが間違いだったと気付かされる。駆除班から、死亡者が続出した。つまり、返り討ちにされたのだ。トリニティウルフの真の特徴は、高い知能があり、八つある目による広く見渡せる視界、鰐のように力強い顎の力なのだ。駆除班の人数が半数以下になって、改めて国は、旧駆除班から得た情報をもとに新しい駆除班の結成を始めた。
新生駆除班の結成後、全てのトリニティウルフの駆除に成功した。駆除には、一年近くにも及んだ。その間に、各国で合成生物の作成について3種類以上の生物の合成を固く禁じることが決まった。
「ちっ、たいして効いて無さそうだな」
ローグの言う通りだった。鰐の強靭な鱗を持ち、運動能力に優れた狼の体を持つトリニティウルフ。自身の体当たりを弾かれる程度ではビクともしない。八つもある赤い目でローグをジッと見ているのは、頭もいい証拠だ。
「狼も混ざってるってことは、慎重さと警戒心が強いよな。何より頭もいい。そんな生物の狩りだ。どう来るか分かったもんじゃないな」
トリニティウルフを前にして、ローグはかなり緊張している。それは魔法協会のトップ……だった男を前にする以上だった。何故なら、トリニティウルフの危険性を知ってはいたが、その能力などは詳しく知らなかったのだ。
ローグの前世、『ナイトウ・ログ』は魔法の研究者だ。魔法にあまり関わりの無かった合成生物に関しては専門外だった。……というよりも関わりたくもなかったと言ったほうが正しい。ナイトウ・ログからしてみれば、合成生物を作ること自体に大した価値は無いと考えていたのだ。科学の分野というのもあるが、無暗に命を弄ぶ実験だと思って軽蔑すらしていた。トリニティウルフの名前と姿を知ったのは、とある大事件のニュースを見たからだった。
合成生物は通常、2種類の生物を魔術か科学の力で融合させて作り出す。魔法でも化学でも、そこまでが限界だった。相性のいい生物を掛け合わさなければ、生体として機能しないのだ。だからこそ、2種類を超える合成生物は困難を極めた。
だが、ある時、両方の技術を利用することで遂に3種類の生物の融合に成功した。その最初の実験体がトリニティウルフだった。試行錯誤の末に作り上げることに成功したのだ。実験を成功させた研究者や科学者は大喜びしたそうだ。ここまではよかったのだが……
「一番の問題は、人間に対する異常な攻撃性か」
作り出してから、その一週間後に事件が起きてしまった。作り出したトリニティウルフの全てが、実験体の収容施設から逃げ出してしまったのだ。それも、創造主の研究者や科学者を皆殺しにした後で。
事件はそこで終わらなかった。逃げたトリニティウルフは、多くの人間を襲い始めたのだ。人間を食料とみなしたと最初は考えられたが、被害者の大部分は惨殺されたにもかかわらず食われた痕跡は全くなかったのだ。このことから、単純に人間を殺すことを『楽しんでいる』とみなされた。被害にあった国は、被害を止めるべく、トリニティウルフの駆除に総力を上げた。
3種類の生物の合成生物と言っても、それら3種の長所を都合よく引き出せることはなかった。狼のように集団行動はせず、単独でいる個体が多く、蜘蛛のように糸を出さず、鰐のように水の中に住み着くこともなかったのだ。それらの事前情報があったため、国が結成した駆除班は「大きくて固い狼」としか考えなかった。
後になって、その考えが間違いだったと気付かされる。駆除班から、死亡者が続出した。つまり、返り討ちにされたのだ。トリニティウルフの真の特徴は、高い知能があり、八つある目による広く見渡せる視界、鰐のように力強い顎の力なのだ。駆除班の人数が半数以下になって、改めて国は、旧駆除班から得た情報をもとに新しい駆除班の結成を始めた。
新生駆除班の結成後、全てのトリニティウルフの駆除に成功した。駆除には、一年近くにも及んだ。その間に、各国で合成生物の作成について3種類以上の生物の合成を固く禁じることが決まった。
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