119 / 252
第4章 因縁編
幕間・王国の密偵(後編)
しおりを挟む
少年は左腕の手首を食いちぎられた。負傷した少年を心配した仲間の二人が駆け寄ってきたが、それをあの魔物が見逃すはずがない。男は彼らが犠牲になると思ったが、そうならなかった。
バアンッ!
「ウォルルルルルッ!?」
(何っ!?)
彼らと魔物の間に結界が発生したのだ。魔物は勢いよく結界にぶつかっただけで終わり、3人は助かった。男は誰が結界を張ったのか分からなかったが、後になって少年が張ったものだと考えた。結界の色と少年の魔法の色が同じなのだ。
(結界まで張れるなんて……どういう魔法なんだ?)
結界の中にいる3人は、少年の手当てをしているようだ。その間に、縛られていた魔法協会トップの二人が魔物の食事となるというおぞましいことになってしまったが、男は少し吐き気を感じただけで同情はしなかった。あの二人のやってきたことを考えれば見捨てる理由は十分あったからだ。
(聞きたいことはたくさんあったが、助けてやれる状況じゃないし、そんな義理もない。元はと言えば奴らにも問題はあったからな。それよりも彼らのほうが気になるし……)
食事を終えた魔物は、結界の周りをグルグル回りだした。それも、結界が薄くなっていくのに合わせて速く動いている。結界が消えたと同時に3人が仕掛けてくることを予測しているために、行動しているとしたらうまく考えたものだ。男は魔物の知能に改めて驚かされた。
少年の手当てが終わった時、男は驚いた。少年の失った手首が元通りになっていたのだ。どうやって治したのだろうかは流石に分からなかった。その後、3人は戦う準備を始めた。少年は妙な本を手に持ち、長身男は剣を構え、少女は手に魔力を集中している。
そして、遂に結界が消えた。魔物は3人の後ろから襲い掛かってきた。ここで3人が死ぬか、魔物が死ぬかのどっちかにはなるが、男はどうなるのか予想がつかなかった。
「ウウッ!」
ダンッ!
ピカァッ!
「ウォオオッ!?」
(うわっ! なんだ!?)
突如、強烈な光が生じた。その光を見てしまった男は、目を焼かれるような痛みが襲ってきて、そのまま目を抑えてこんでしまった。これでは状況が分からない。
(あの少年が何かやったのか!? あの発光は少年の持ってた本からか!? 状況はどうなったんだ!? くそっ、見たい!)
少しして、目が治った男が次に目にしたものは、倒れている魔物と、二つの光を放つ螺旋状の槍を少年が手にしている光景だった。それは、赤紫の槍に金色の光が螺旋に沿って入り込んでいるかのようだった。遠目にはそんな風にしか見えないが、それ以上に問題があった。魔力だ。
(なんとう魔力量だ! ここからでも感じられるなんて! しかもあの槍の形状だと、二種類の魔法の魔力を一人分の体で出しているというのか!? いったい、何があって魔物が倒れているんだ、くそっ!)
何も見えなかった男が悔しそうに歯噛みする中、状況が動く。少年の光の槍が大きくなり、そのまま魔物に向か合って投げられた。光の槍は魔物に命中し……
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!! ドッカアアアアアアアアアン!!
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
(うおおおおおお!?)
とてつもない爆発と衝撃が発生した。男は今度こそ見逃さないと思っていたが、叶わなかった。衝撃に耐えきれず、目を閉じてしまう。
衝撃が収まった時、男はすさまじい光景が目にした。大きな爆発によって破壊された魔法協会の壁と黒焦げにされた魔物の死骸あったのだ。
(こ、こんなことが起こりうるのか!? たった一人の少年がここまで!?)
そのあと3人は魔法協会を後にした。男はすぐに追いかけようとは思わない。少年は疲弊してしまっているようだが、他の二人の実力が分かっていない。もう少し距離が広がってから追いかけないと、気付かれたときに危険に陥るかもしれないのだ。
「これはすぐにでも国王陛下にご報告しなければな。そのためにもお前たちに奴らを追ってもらうぞ」
「「「はっ!」」」
男は後ろに控えていた部下たちに3人を距離を置いて追跡するよう命じて、城に戻っていった。
こうして、ローグ達は王国に目をつけられたのだった。
バアンッ!
「ウォルルルルルッ!?」
(何っ!?)
彼らと魔物の間に結界が発生したのだ。魔物は勢いよく結界にぶつかっただけで終わり、3人は助かった。男は誰が結界を張ったのか分からなかったが、後になって少年が張ったものだと考えた。結界の色と少年の魔法の色が同じなのだ。
(結界まで張れるなんて……どういう魔法なんだ?)
結界の中にいる3人は、少年の手当てをしているようだ。その間に、縛られていた魔法協会トップの二人が魔物の食事となるというおぞましいことになってしまったが、男は少し吐き気を感じただけで同情はしなかった。あの二人のやってきたことを考えれば見捨てる理由は十分あったからだ。
(聞きたいことはたくさんあったが、助けてやれる状況じゃないし、そんな義理もない。元はと言えば奴らにも問題はあったからな。それよりも彼らのほうが気になるし……)
食事を終えた魔物は、結界の周りをグルグル回りだした。それも、結界が薄くなっていくのに合わせて速く動いている。結界が消えたと同時に3人が仕掛けてくることを予測しているために、行動しているとしたらうまく考えたものだ。男は魔物の知能に改めて驚かされた。
少年の手当てが終わった時、男は驚いた。少年の失った手首が元通りになっていたのだ。どうやって治したのだろうかは流石に分からなかった。その後、3人は戦う準備を始めた。少年は妙な本を手に持ち、長身男は剣を構え、少女は手に魔力を集中している。
そして、遂に結界が消えた。魔物は3人の後ろから襲い掛かってきた。ここで3人が死ぬか、魔物が死ぬかのどっちかにはなるが、男はどうなるのか予想がつかなかった。
「ウウッ!」
ダンッ!
ピカァッ!
「ウォオオッ!?」
(うわっ! なんだ!?)
突如、強烈な光が生じた。その光を見てしまった男は、目を焼かれるような痛みが襲ってきて、そのまま目を抑えてこんでしまった。これでは状況が分からない。
(あの少年が何かやったのか!? あの発光は少年の持ってた本からか!? 状況はどうなったんだ!? くそっ、見たい!)
少しして、目が治った男が次に目にしたものは、倒れている魔物と、二つの光を放つ螺旋状の槍を少年が手にしている光景だった。それは、赤紫の槍に金色の光が螺旋に沿って入り込んでいるかのようだった。遠目にはそんな風にしか見えないが、それ以上に問題があった。魔力だ。
(なんとう魔力量だ! ここからでも感じられるなんて! しかもあの槍の形状だと、二種類の魔法の魔力を一人分の体で出しているというのか!? いったい、何があって魔物が倒れているんだ、くそっ!)
何も見えなかった男が悔しそうに歯噛みする中、状況が動く。少年の光の槍が大きくなり、そのまま魔物に向か合って投げられた。光の槍は魔物に命中し……
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!! ドッカアアアアアアアアアン!!
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
(うおおおおおお!?)
とてつもない爆発と衝撃が発生した。男は今度こそ見逃さないと思っていたが、叶わなかった。衝撃に耐えきれず、目を閉じてしまう。
衝撃が収まった時、男はすさまじい光景が目にした。大きな爆発によって破壊された魔法協会の壁と黒焦げにされた魔物の死骸あったのだ。
(こ、こんなことが起こりうるのか!? たった一人の少年がここまで!?)
そのあと3人は魔法協会を後にした。男はすぐに追いかけようとは思わない。少年は疲弊してしまっているようだが、他の二人の実力が分かっていない。もう少し距離が広がってから追いかけないと、気付かれたときに危険に陥るかもしれないのだ。
「これはすぐにでも国王陛下にご報告しなければな。そのためにもお前たちに奴らを追ってもらうぞ」
「「「はっ!」」」
男は後ろに控えていた部下たちに3人を距離を置いて追跡するよう命じて、城に戻っていった。
こうして、ローグ達は王国に目をつけられたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる