ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第4章 因縁編

幕間・王国の密偵(後編)

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 少年は左腕の手首を食いちぎられた。負傷した少年を心配した仲間の二人が駆け寄ってきたが、それをあの魔物が見逃すはずがない。男は彼らが犠牲になると思ったが、そうならなかった。

バアンッ!

「ウォルルルルルッ!?」

(何っ!?)

 彼らと魔物の間に結界が発生したのだ。魔物は勢いよく結界にぶつかっただけで終わり、3人は助かった。男は誰が結界を張ったのか分からなかったが、後になって少年が張ったものだと考えた。結界の色と少年の魔法の色が同じなのだ。

 (結界まで張れるなんて……どういう魔法なんだ?)

 結界の中にいる3人は、少年の手当てをしているようだ。その間に、縛られていた魔法協会トップの二人が魔物の食事となるというおぞましいことになってしまったが、男は少し吐き気を感じただけで同情はしなかった。あの二人のやってきたことを考えれば見捨てる理由は十分あったからだ。

(聞きたいことはたくさんあったが、助けてやれる状況じゃないし、そんな義理もない。元はと言えば奴らにも問題はあったからな。それよりも彼らのほうが気になるし……)

 食事を終えた魔物は、結界の周りをグルグル回りだした。それも、結界が薄くなっていくのに合わせて速く動いている。結界が消えたと同時に3人が仕掛けてくることを予測しているために、行動しているとしたらうまく考えたものだ。男は魔物の知能に改めて驚かされた。

 少年の手当てが終わった時、男は驚いた。少年の失った手首が元通りになっていたのだ。どうやって治したのだろうかは流石に分からなかった。その後、3人は戦う準備を始めた。少年は妙な本を手に持ち、長身男は剣を構え、少女は手に魔力を集中している。

 そして、遂に結界が消えた。魔物は3人の後ろから襲い掛かってきた。ここで3人が死ぬか、魔物が死ぬかのどっちかにはなるが、男はどうなるのか予想がつかなかった。

「ウウッ!」

ダンッ!

ピカァッ!

「ウォオオッ!?」
(うわっ! なんだ!?)

 突如、強烈な光が生じた。その光を見てしまった男は、目を焼かれるような痛みが襲ってきて、そのまま目を抑えてこんでしまった。これでは状況が分からない。

(あの少年が何かやったのか!? あの発光は少年の持ってた本からか!? 状況はどうなったんだ!? くそっ、見たい!)





 少しして、目が治った男が次に目にしたものは、倒れている魔物と、二つの光を放つ螺旋状の槍を少年が手にしている光景だった。それは、赤紫の槍に金色の光が螺旋に沿って入り込んでいるかのようだった。遠目にはそんな風にしか見えないが、それ以上に問題があった。魔力だ。

(なんとう魔力量だ! ここからでも感じられるなんて! しかもあの槍の形状だと、二種類の魔法の魔力を一人分の体で出しているというのか!? いったい、何があって魔物が倒れているんだ、くそっ!)

 何も見えなかった男が悔しそうに歯噛みする中、状況が動く。少年の光の槍が大きくなり、そのまま魔物に向か合って投げられた。光の槍は魔物に命中し……

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!! ドッカアアアアアアアアアン!!

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

(うおおおおおお!?)

 とてつもない爆発と衝撃が発生した。男は今度こそ見逃さないと思っていたが、叶わなかった。衝撃に耐えきれず、目を閉じてしまう。





 衝撃が収まった時、男はすさまじい光景が目にした。大きな爆発によって破壊された魔法協会の壁と黒焦げにされた魔物の死骸あったのだ。

(こ、こんなことが起こりうるのか!? たった一人の少年がここまで!?)

 そのあと3人は魔法協会を後にした。男はすぐに追いかけようとは思わない。少年は疲弊してしまっているようだが、他の二人の実力が分かっていない。もう少し距離が広がってから追いかけないと、気付かれたときに危険に陥るかもしれないのだ。

「これはすぐにでも国王陛下にご報告しなければな。そのためにもお前たちに奴らを追ってもらうぞ」
「「「はっ!」」」

 男は後ろに控えていた部下たちに3人を距離を置いて追跡するよう命じて、城に戻っていった。

 こうして、ローグ達は王国に目をつけられたのだった。
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