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第4章 因縁編
幕間・騎士団
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王城。
王城内で会議が進行している頃、王城の周りで騎士団が兵士とともに暴徒の鎮圧に努めていた。
「国民の皆さん! どうか落ち着いてください!」
「王都に響いた『あれ』は嘘です! 何者かの策略です! 騙されないでください!」
兵士がこのように叫んでも、次のように返されるのだ。
「黙れ! 国の犬はどけぇ!」
「国王を出せ!」
「今まで騙しやがって! 恥を知れ!」
こんな様子では、兵士の上を行く騎士団でなければ鎮圧できない。幸いにも全ての騎士団が王城に集結していた。
「暴徒たちよ! 静まれ! でなければ諸君らに罰を与えなければならない!」
「犯罪者に騙されるなら、この場で刑を執行するだけだぞ!」
「き、騎士団だ! あいつらには敵わない、逃げろー!」
「くそ! こんな騒ぎに出なきゃよかった!」
騎士団の力は国民に知れ渡っているため、彼らが前に出たとなれば、ほとんどの暴徒が逃げ出してしまう。それでも歯向かおうものなら、あっさり捕まるだけだった。彼らがいる限り、暴徒の行動は無駄になるのだ。
数時間後。
暴徒がほぼ鎮圧され、王城の周りがだいぶ落ち着いてきた時、最初に休みをもらった騎士団に新たな命令が下された。それも国王直々にだ。
「第一騎士団よ。新たな使命を与える前に感謝を述べよう。この度の働き、誠にご苦労であった。そなたらの力が無ければこの事態は収束できなかった。心から感謝する」
「とんでもありませぬ。身に余るお言葉です、国王陛下。我らはなすべきことをなしただけにございます」
騎士団長が国王に対して臣下の例を取って跪く。騎士団長は心から光栄に思っているのだ。本来、国王が直に感謝を述べくなどあり得ない。前代未聞と言ってもよかった。その一方で、騎士団の誰もが心の中で動揺してしまった。
(陛下がここに来るなんて……)
(どんな命令が来るんだよ?)
(この事件……まだ終わってないってことか?)
「そなたたちに与える新たな使命、それはこの事件の首謀者の捕縛である。先ほど潜伏先が判明したのでな。明日の早朝にそこに向かってほしいのだ。今日だけでかなり疲弊したのは分かっているが、引き受けてもらうが、よいか?」
「当然です、陛下。明日の早朝とはいわず、今すぐにでも、その首謀者を捕らえよと言われれば実行に移しましょう」
(((ええ!? 団長!?)))
騎士団長が意気込むが、他の騎士は相当疲弊しているため、心の中では大反対だ。だが、国王は無理はさせようとはしなかった。
「そんなに急いでは計画に支障が出る。それにそなたたちは疲弊しきっているものが多いではないか。これより、そなたら全員に回復魔法を掛けるが疲れまでは癒えぬだろう。明日に備えよ」
「ぐぅ……! 分かりました、陛下のお心遣いに感謝します……!」
(((ほっ……)))
騎士団長は悔しがるが、他の騎士は安心した。少なくとも、今夜は休めるのだ。朝早く起きなければならないが、少しでも休める時間が取れるだけよかった。
「では、回復魔法を掛けよう。その間に首謀者の似顔絵を渡す。よく見ておいてくれ」
「はい! ありがとうございます! 首謀者もしっかり暗記させていただきます!」
騎士団の全員に首謀者と思われる少年の似顔絵が配布された。黒髪黒目の少年と、青い瞳で赤い髪に少し黒が混ざった頭髪の少年の顔だ。前者が『ローグ・ナイト』で後者が『ロー・ライト』、二人は同一人物という可能性もあるらしい。
これで、ローグは確実に騎士団の標的になってしまった。その騎士団の中にはこんな人物がいた。才能あふれる少年で、それが理由で騎士団にスカウトされた少年だった。その才能は魔法とともにずば抜けて高く、数週間の訓練で騎士団で働けるほどだった。
(驚いたな。あのローが国家転覆を企むか……何の冗談だろうねえ)
ただ、その性格はいいとは言えなかった。騎士団の数人は気付いていたが、騎士団に所属すること自体に誰も反対しなかった。実力は本物なのだ。
(いや、今は『ローグ・ナイト』、かな? ミーラの時は遊び道具がダメになった思いがして残念だったけど、これは……ふふふ。感動の再会が楽しみだよ……)
その人物こそローグの因縁の……復讐対象者。長髪の赤い髪に中性的な顔立ちのために女性と間違えそうな少年、それでいて魔法にも剣の腕にも優れた才能を誇る実力者、その名も『レオン・ビリー』だった。
王城内で会議が進行している頃、王城の周りで騎士団が兵士とともに暴徒の鎮圧に努めていた。
「国民の皆さん! どうか落ち着いてください!」
「王都に響いた『あれ』は嘘です! 何者かの策略です! 騙されないでください!」
兵士がこのように叫んでも、次のように返されるのだ。
「黙れ! 国の犬はどけぇ!」
「国王を出せ!」
「今まで騙しやがって! 恥を知れ!」
こんな様子では、兵士の上を行く騎士団でなければ鎮圧できない。幸いにも全ての騎士団が王城に集結していた。
「暴徒たちよ! 静まれ! でなければ諸君らに罰を与えなければならない!」
「犯罪者に騙されるなら、この場で刑を執行するだけだぞ!」
「き、騎士団だ! あいつらには敵わない、逃げろー!」
「くそ! こんな騒ぎに出なきゃよかった!」
騎士団の力は国民に知れ渡っているため、彼らが前に出たとなれば、ほとんどの暴徒が逃げ出してしまう。それでも歯向かおうものなら、あっさり捕まるだけだった。彼らがいる限り、暴徒の行動は無駄になるのだ。
数時間後。
暴徒がほぼ鎮圧され、王城の周りがだいぶ落ち着いてきた時、最初に休みをもらった騎士団に新たな命令が下された。それも国王直々にだ。
「第一騎士団よ。新たな使命を与える前に感謝を述べよう。この度の働き、誠にご苦労であった。そなたらの力が無ければこの事態は収束できなかった。心から感謝する」
「とんでもありませぬ。身に余るお言葉です、国王陛下。我らはなすべきことをなしただけにございます」
騎士団長が国王に対して臣下の例を取って跪く。騎士団長は心から光栄に思っているのだ。本来、国王が直に感謝を述べくなどあり得ない。前代未聞と言ってもよかった。その一方で、騎士団の誰もが心の中で動揺してしまった。
(陛下がここに来るなんて……)
(どんな命令が来るんだよ?)
(この事件……まだ終わってないってことか?)
「そなたたちに与える新たな使命、それはこの事件の首謀者の捕縛である。先ほど潜伏先が判明したのでな。明日の早朝にそこに向かってほしいのだ。今日だけでかなり疲弊したのは分かっているが、引き受けてもらうが、よいか?」
「当然です、陛下。明日の早朝とはいわず、今すぐにでも、その首謀者を捕らえよと言われれば実行に移しましょう」
(((ええ!? 団長!?)))
騎士団長が意気込むが、他の騎士は相当疲弊しているため、心の中では大反対だ。だが、国王は無理はさせようとはしなかった。
「そんなに急いでは計画に支障が出る。それにそなたたちは疲弊しきっているものが多いではないか。これより、そなたら全員に回復魔法を掛けるが疲れまでは癒えぬだろう。明日に備えよ」
「ぐぅ……! 分かりました、陛下のお心遣いに感謝します……!」
(((ほっ……)))
騎士団長は悔しがるが、他の騎士は安心した。少なくとも、今夜は休めるのだ。朝早く起きなければならないが、少しでも休める時間が取れるだけよかった。
「では、回復魔法を掛けよう。その間に首謀者の似顔絵を渡す。よく見ておいてくれ」
「はい! ありがとうございます! 首謀者もしっかり暗記させていただきます!」
騎士団の全員に首謀者と思われる少年の似顔絵が配布された。黒髪黒目の少年と、青い瞳で赤い髪に少し黒が混ざった頭髪の少年の顔だ。前者が『ローグ・ナイト』で後者が『ロー・ライト』、二人は同一人物という可能性もあるらしい。
これで、ローグは確実に騎士団の標的になってしまった。その騎士団の中にはこんな人物がいた。才能あふれる少年で、それが理由で騎士団にスカウトされた少年だった。その才能は魔法とともにずば抜けて高く、数週間の訓練で騎士団で働けるほどだった。
(驚いたな。あのローが国家転覆を企むか……何の冗談だろうねえ)
ただ、その性格はいいとは言えなかった。騎士団の数人は気付いていたが、騎士団に所属すること自体に誰も反対しなかった。実力は本物なのだ。
(いや、今は『ローグ・ナイト』、かな? ミーラの時は遊び道具がダメになった思いがして残念だったけど、これは……ふふふ。感動の再会が楽しみだよ……)
その人物こそローグの因縁の……復讐対象者。長髪の赤い髪に中性的な顔立ちのために女性と間違えそうな少年、それでいて魔法にも剣の腕にも優れた才能を誇る実力者、その名も『レオン・ビリー』だった。
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