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第4章 因縁編
休憩
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外町。
ここは王都の外にできた外町。魔法なしになった者や王都にいられなくなったものが行き着く場所だ。特に多かったのが魔法なしだった。だが、今の外町のほとんどの住人が王都に移っていた。何故なら、多くの外町の住人達がローグに協力した見返りに魔法を手に入れたからだ。
外町に暮らす魔法なしの九割が魔法協会に魔法を奪われた者たちだったのだ。当然、魔法協会に恨みを持つ彼らが新たな魔法を手に入れた今、魔法なしと呼ばれるいわれはない。魔法を持てれば、堂々と王都を歩いて行けるのだ。わざわざ暮らしの厳しい外町に居続ける理由はない。中には王都を離れ故郷に帰った者もいるようだ。
そういう理由で、今の外町にいるのは犯罪者、もしくは変人と言われるような者ぐらいなのだ。もはや住人の数は十人にも満たない。元から『町』として機能しているかも怪しかったが、人がこれだけいなくなれば廃墟とも呼ばれるだろう。そんな外町から更に離れた場所に、あの3人がいた。
外町の外れ。
外町の外れに位置する小さな小屋。元は魔法を失い火傷を負ったミーラが住まいとしていたが、今だけはローグ達3人の拠点となっていた。この場所に3人が戻ってきたのは、王都は混乱中で、外町の中心は犯罪者しかいないため、外町の更に外れにいたほうが安全だと判断したからだ。それに、ここならどこよりも目立たない。
「どうですか、ルドガーさん?」
「ああ、だいぶ回復できてるぜ」
「…………」
小屋の中で横になるローグにルドガーが回復魔法を掛け続けていた。魔力と体力が尽きたローグを全快にまで持ち直そうとしていたが、魔法を掛け始めてからかなり時間がかかっていた。これではルドガーの魔力のほうが尽きてしまいそうだった。それだけローグの持ちうる魔力量と体力の底が深いのだ。
(こんなに時間をかけても魔力が戻りきらないとは……。体力も目を見張るものがある。こいつはどんな暮らしをしていたんだ? 魔法なしだったから体力がここまで必要だったのか?)
そんなふうにルドガーは考えるが、半分は当たっていた。確かに魔法なしだったという過去も関係していた。かつてのローグは、魔法なしの『ロー・ライト』として差別を受けていた。そんな環境に負けまいと必死に努力した結果、少年にしては極めて高い身体能力を身に着けていたのだ(当時の本人は無自覚だった)。
ただ、魔力に関しては関係はない。ローグの元の魔力量は人より上程度だったが、とあるきっかけで迷宮に迷い込んだ末に、その迷宮を攻略したことで『前世』の記憶と魔法を手に入れた。その時に、前世の魔力量もその身に宿ったために、魔力量が常人の二倍以上にまで上がったのだ。それが高い魔力量をもつ要因だ。
「…………ルドガーさん、もういいよ。十分だ」
「坊主……」
「ローグ! 気が付いたのね!」
「おかげさまでな……」
半分以上回復したローグは、起き上がってそう告げた。流石にこれ以上はルドガーのほうが倒れてしまいかねないと判断したのだ。いつ王国が敵対するか分からない状況で、回復ができるルドガーが倒れてしまうのはまずい。それに、ローグなら体力はともかく魔力が半分もあれば何とでもなるのだ。
(体の疲れがまだ残ってるが、贅沢は言えないな。一晩寝れば十分だろう)
「ふう……今日一日で大暴れしすぎたみたいだな」
「みたいだな、じゃないだろ」
「本当に大暴れしたんだよ、特にローグがね。本当にもう大丈夫なの?」
「ふっ、それもそうか。でも、一晩くらい休めば大丈夫さ」
苦笑して答えるローグ。この後、3人はこれからの動きについて話し合った。
「王国もそこまで馬鹿じゃない。メルガーに素性がバレていたならお前はマークされてるだろう」
「だろうな。意外にも情報が出回ってるみたいだからな」
「俺たちの動きは制限されてしまうが、次はどうするつもりだ?」
「ローグ……」
「そうだな……」
ローグの目的は二つ。幼馴染への復讐と旧世界の謎を解き明かすことだ。だが、ルドガーがそんなことに付き合う義理はない。今回の魔法協会の襲撃は利害の一致があってのものだった。だからこそ、一緒に戦ってくれたのだが、今のルドガーには、これ以上ローグに協力する理由がない。それは向こうも分かってるはずだが、
「……今日はもう休もう。次の動きは明日の朝、考えればいい」
「明日?」
「まあ、それもそうだな。今日一日で状況が動きすぎだしな。休んだほうがいい」
「決まりだな」
ここで、ルドガーに離れていかれるのは痛い。彼は回復魔法の使い手であり、戦闘能力も高く、騎士団の情報を持っているからだ。最後の復讐対象が騎士団に所属していると分かっているため、ルドガーを手放すわけにはいかなかった。そのために次の動きは明日話し合うことにして、ローグ自身はルドガーとこれからも協力してやっていく理由を考えることにしたのだ。
しかし、明日の朝、それは叶わなくなる。
ここは王都の外にできた外町。魔法なしになった者や王都にいられなくなったものが行き着く場所だ。特に多かったのが魔法なしだった。だが、今の外町のほとんどの住人が王都に移っていた。何故なら、多くの外町の住人達がローグに協力した見返りに魔法を手に入れたからだ。
外町に暮らす魔法なしの九割が魔法協会に魔法を奪われた者たちだったのだ。当然、魔法協会に恨みを持つ彼らが新たな魔法を手に入れた今、魔法なしと呼ばれるいわれはない。魔法を持てれば、堂々と王都を歩いて行けるのだ。わざわざ暮らしの厳しい外町に居続ける理由はない。中には王都を離れ故郷に帰った者もいるようだ。
そういう理由で、今の外町にいるのは犯罪者、もしくは変人と言われるような者ぐらいなのだ。もはや住人の数は十人にも満たない。元から『町』として機能しているかも怪しかったが、人がこれだけいなくなれば廃墟とも呼ばれるだろう。そんな外町から更に離れた場所に、あの3人がいた。
外町の外れ。
外町の外れに位置する小さな小屋。元は魔法を失い火傷を負ったミーラが住まいとしていたが、今だけはローグ達3人の拠点となっていた。この場所に3人が戻ってきたのは、王都は混乱中で、外町の中心は犯罪者しかいないため、外町の更に外れにいたほうが安全だと判断したからだ。それに、ここならどこよりも目立たない。
「どうですか、ルドガーさん?」
「ああ、だいぶ回復できてるぜ」
「…………」
小屋の中で横になるローグにルドガーが回復魔法を掛け続けていた。魔力と体力が尽きたローグを全快にまで持ち直そうとしていたが、魔法を掛け始めてからかなり時間がかかっていた。これではルドガーの魔力のほうが尽きてしまいそうだった。それだけローグの持ちうる魔力量と体力の底が深いのだ。
(こんなに時間をかけても魔力が戻りきらないとは……。体力も目を見張るものがある。こいつはどんな暮らしをしていたんだ? 魔法なしだったから体力がここまで必要だったのか?)
そんなふうにルドガーは考えるが、半分は当たっていた。確かに魔法なしだったという過去も関係していた。かつてのローグは、魔法なしの『ロー・ライト』として差別を受けていた。そんな環境に負けまいと必死に努力した結果、少年にしては極めて高い身体能力を身に着けていたのだ(当時の本人は無自覚だった)。
ただ、魔力に関しては関係はない。ローグの元の魔力量は人より上程度だったが、とあるきっかけで迷宮に迷い込んだ末に、その迷宮を攻略したことで『前世』の記憶と魔法を手に入れた。その時に、前世の魔力量もその身に宿ったために、魔力量が常人の二倍以上にまで上がったのだ。それが高い魔力量をもつ要因だ。
「…………ルドガーさん、もういいよ。十分だ」
「坊主……」
「ローグ! 気が付いたのね!」
「おかげさまでな……」
半分以上回復したローグは、起き上がってそう告げた。流石にこれ以上はルドガーのほうが倒れてしまいかねないと判断したのだ。いつ王国が敵対するか分からない状況で、回復ができるルドガーが倒れてしまうのはまずい。それに、ローグなら体力はともかく魔力が半分もあれば何とでもなるのだ。
(体の疲れがまだ残ってるが、贅沢は言えないな。一晩寝れば十分だろう)
「ふう……今日一日で大暴れしすぎたみたいだな」
「みたいだな、じゃないだろ」
「本当に大暴れしたんだよ、特にローグがね。本当にもう大丈夫なの?」
「ふっ、それもそうか。でも、一晩くらい休めば大丈夫さ」
苦笑して答えるローグ。この後、3人はこれからの動きについて話し合った。
「王国もそこまで馬鹿じゃない。メルガーに素性がバレていたならお前はマークされてるだろう」
「だろうな。意外にも情報が出回ってるみたいだからな」
「俺たちの動きは制限されてしまうが、次はどうするつもりだ?」
「ローグ……」
「そうだな……」
ローグの目的は二つ。幼馴染への復讐と旧世界の謎を解き明かすことだ。だが、ルドガーがそんなことに付き合う義理はない。今回の魔法協会の襲撃は利害の一致があってのものだった。だからこそ、一緒に戦ってくれたのだが、今のルドガーには、これ以上ローグに協力する理由がない。それは向こうも分かってるはずだが、
「……今日はもう休もう。次の動きは明日の朝、考えればいい」
「明日?」
「まあ、それもそうだな。今日一日で状況が動きすぎだしな。休んだほうがいい」
「決まりだな」
ここで、ルドガーに離れていかれるのは痛い。彼は回復魔法の使い手であり、戦闘能力も高く、騎士団の情報を持っているからだ。最後の復讐対象が騎士団に所属していると分かっているため、ルドガーを手放すわけにはいかなかった。そのために次の動きは明日話し合うことにして、ローグ自身はルドガーとこれからも協力してやっていく理由を考えることにしたのだ。
しかし、明日の朝、それは叶わなくなる。
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