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第5章 外国編
外国の噂
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現在。
「ローグ、どうしたの?」
「ん? あ、ああ、ミーラか」
ローグが門番との会話を細かく思い出している最中にミーラが話しかけてきた。ミーラはさっきまで食事を楽しんでいたが、今は少し心配そうな顔をしている。
「さっきから難しい顔してるけど、どうかしたの? 気になることでもあった?」
「いや、大したことじゃないさ。ここ最近のことを思い出してな」
「そうなんだ、ここ最近のことね。大変だったね……」
「ああ」
実際は一か月ほど前の門番との会話だけを思い出していたのだが、そんなことをこの場所で口にするのはマズい。思慮の浅いミーラがそんなことを思い出して、そのままのことを口にすればどうなることか。第三者が聞けば間違いなく不審に思うだろう。それなら最近あったことを話題にしてもらったほうがよかった。
「この宿を見つけるまでいろんな宿に泊まったけど、周りがうるさかったり部屋が汚かったり変質者に襲われたり……酷い時には宿代が高いのに条件が悪かったり」
「…………」
ミーラの言うことはすべて事実だった。帝都の治安は王都に比べ物にならないほど悪かった。ローグは珍しくミーラに悪いことしたと思うほどに。
「……苦労させたな」
「ローグのせいじゃないわ。悪いのは全部おう……」
「ミーラ! 話が変わるんだが……」
「こ……?」
「食事をして休んだ後に外を出歩いてみよう。いい天気だしな」
「え?」
ミーラは王国を非難するつもりだったようだが、ここで出自が発覚するようなことを口にされては困る。だから、ミーラが『王国』と言い切る前にローグは話を遮って、強引に話題を変えたのだ。
「いいけど、急にどうしたの?」
「今日の朝、鳥のさえずりが聞こえたから縁起がよさそうだと思ってさ。どうだ?」
「そうなんだ! 分かった、一緒に行こうね!」
「決まりだな」
方針が決まった後、会話は終わった。ミーラはピザを食べるペースを早めた。ローグはそのまま聞き耳を立てながら食べ続ける。今度は違う男たちの会話が聞こえてきた。
(おい、聞いたか、リオル様のこと)
(ああ、信じられねえよな、あの第一皇女様がよ)
(きっと何かの間違いだろ。あのお方が……)
どうやら、男たちの話は第一皇女に関する話題のようだ。ローグも気になって、食べながらも聞くのに集中する。
(皇帝陛下の病気の原因が毒によるもので、しかも、あのリオル様がその毒を盛ったなんてな……)
(それで反逆罪で捕らえるために昨日の騒ぎ……なんて話だ!)
(あんなにこの国のために貢献してきてくださったあのお方がそんな反逆行為なんて、やっぱり何かの間違いだ!)
(あのバカ皇子なら分かるが、リオル様がそんなことするはずがない!)
「…………!」
(でも、考えようにはあり得ない話じゃないんじゃないか?)
(どういうことだよ、リオル様が冤罪じゃないってのか?)
(毒を盛られて病気になったのはあの皇帝だろ。武闘派で戦が大好きな恐ろしい……)
(まあな。国外のことばかりで国内の政治を第二皇女に任せてばかりだったしな……)
(言っちゃ悪いが野蛮で傲慢っていうかさ、あの方がいつまでも皇帝だと、帝国はいつまでも争いが絶えない未来しかなかったんじゃないか?)
(……言われてみればそうかもな。皇帝が変われば国の方針も変わるよな)
(国のためを思って皇帝を毒殺しようと? ……あり得ない話じゃないかもな)
(国のために、無益な戦を好むj皇帝を毒殺か。リオル様がそんなことまで……!)
「…………」
男たちの話は、国の兵士に聞かれたら大変なことになりそうな内容だったが、酔った勢いで話ている様子もない。おそらく、彼らの第一皇女を慕う気持ちを察するに、彼女を擁護する言葉を口にせずにはいられなかったのかもしれない。
(帝国第一皇女リオル・ヒルディアか……)
ローグは男たちの話とこれまで集めてきた帝国の情報を頭の中でまとめる。そして、今後の活動の方針を確定するために行動に移すことに決めた。
(利用できるかもしれないな。どっちにしたってな……)
「ローグ、どうしたの?」
「ん? あ、ああ、ミーラか」
ローグが門番との会話を細かく思い出している最中にミーラが話しかけてきた。ミーラはさっきまで食事を楽しんでいたが、今は少し心配そうな顔をしている。
「さっきから難しい顔してるけど、どうかしたの? 気になることでもあった?」
「いや、大したことじゃないさ。ここ最近のことを思い出してな」
「そうなんだ、ここ最近のことね。大変だったね……」
「ああ」
実際は一か月ほど前の門番との会話だけを思い出していたのだが、そんなことをこの場所で口にするのはマズい。思慮の浅いミーラがそんなことを思い出して、そのままのことを口にすればどうなることか。第三者が聞けば間違いなく不審に思うだろう。それなら最近あったことを話題にしてもらったほうがよかった。
「この宿を見つけるまでいろんな宿に泊まったけど、周りがうるさかったり部屋が汚かったり変質者に襲われたり……酷い時には宿代が高いのに条件が悪かったり」
「…………」
ミーラの言うことはすべて事実だった。帝都の治安は王都に比べ物にならないほど悪かった。ローグは珍しくミーラに悪いことしたと思うほどに。
「……苦労させたな」
「ローグのせいじゃないわ。悪いのは全部おう……」
「ミーラ! 話が変わるんだが……」
「こ……?」
「食事をして休んだ後に外を出歩いてみよう。いい天気だしな」
「え?」
ミーラは王国を非難するつもりだったようだが、ここで出自が発覚するようなことを口にされては困る。だから、ミーラが『王国』と言い切る前にローグは話を遮って、強引に話題を変えたのだ。
「いいけど、急にどうしたの?」
「今日の朝、鳥のさえずりが聞こえたから縁起がよさそうだと思ってさ。どうだ?」
「そうなんだ! 分かった、一緒に行こうね!」
「決まりだな」
方針が決まった後、会話は終わった。ミーラはピザを食べるペースを早めた。ローグはそのまま聞き耳を立てながら食べ続ける。今度は違う男たちの会話が聞こえてきた。
(おい、聞いたか、リオル様のこと)
(ああ、信じられねえよな、あの第一皇女様がよ)
(きっと何かの間違いだろ。あのお方が……)
どうやら、男たちの話は第一皇女に関する話題のようだ。ローグも気になって、食べながらも聞くのに集中する。
(皇帝陛下の病気の原因が毒によるもので、しかも、あのリオル様がその毒を盛ったなんてな……)
(それで反逆罪で捕らえるために昨日の騒ぎ……なんて話だ!)
(あんなにこの国のために貢献してきてくださったあのお方がそんな反逆行為なんて、やっぱり何かの間違いだ!)
(あのバカ皇子なら分かるが、リオル様がそんなことするはずがない!)
「…………!」
(でも、考えようにはあり得ない話じゃないんじゃないか?)
(どういうことだよ、リオル様が冤罪じゃないってのか?)
(毒を盛られて病気になったのはあの皇帝だろ。武闘派で戦が大好きな恐ろしい……)
(まあな。国外のことばかりで国内の政治を第二皇女に任せてばかりだったしな……)
(言っちゃ悪いが野蛮で傲慢っていうかさ、あの方がいつまでも皇帝だと、帝国はいつまでも争いが絶えない未来しかなかったんじゃないか?)
(……言われてみればそうかもな。皇帝が変われば国の方針も変わるよな)
(国のためを思って皇帝を毒殺しようと? ……あり得ない話じゃないかもな)
(国のために、無益な戦を好むj皇帝を毒殺か。リオル様がそんなことまで……!)
「…………」
男たちの話は、国の兵士に聞かれたら大変なことになりそうな内容だったが、酔った勢いで話ている様子もない。おそらく、彼らの第一皇女を慕う気持ちを察するに、彼女を擁護する言葉を口にせずにはいられなかったのかもしれない。
(帝国第一皇女リオル・ヒルディアか……)
ローグは男たちの話とこれまで集めてきた帝国の情報を頭の中でまとめる。そして、今後の活動の方針を確定するために行動に移すことに決めた。
(利用できるかもしれないな。どっちにしたってな……)
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