146 / 252
第5章 外国編
外国で自己紹介(後編)
しおりを挟む
「話し合う前に聞いておきたいことがある。それも嘘偽りなく話してもらおうか」
「何だ?」
「どうして私の正体が帝国の第一皇女だと分かった?」
リオルとしては、まず最初に気になった疑問を解いておきたかった。それと同時に、ローグのことについて可能な限り知るために少しでも多く話す必要があった。どんな些細なことでもだ。
「帝都で聞いた噂話と、今のあんたの状況を照らし合わせて一致することが多かったんだ。それで試しに第一皇女と呼んでみたのさ」
「……どんな噂話だ」
「容姿については白髪に赤い瞳、色白で美人。主な活動が戦場で騎士として戦闘。高い戦闘能力とカリスマ性で周囲の信頼も厚い。だが、今の状況は……」
「反逆者、だろう?」
「……そうだな」
ローグの言葉を遮って、リオルは自嘲気味に薄く笑う。それに対してローグは肯定して頷いた。
「ふっ、白髪に赤い瞳か。確かにこれは目立つな。私のトレードマークのようなものだからな。これを見られたら私だと分かって当然か」
「それと、色白で美人。高い戦闘能力だな」
「ふん。そんなお世辞を言っても……え?」
「どうした?」
ローグは世辞の意味ではなく、そのままの意味で『美人』と言ったのだが、それが本当に世辞でしかないと思っていたリオルはそこに驚いたようだ。彼女の特技は嘘を見抜く、それが本当ならば、
「な、何を言っているのだ、お前は!」
「な、どうした?」
「じょ、女性に気安く美人だなどと……何を言って……はっ、王国の文化か!?」
「いや、その……」
(何だ。意外とかわいらしいところもあるんだな。思ったより感情豊かで面白いなこの人)
リオルはローグの言葉に照れているようだ。動揺して少し顔を赤くしている。そして、何やら一人でブツブツ小声で話し始めた。
「……王国の人間が帝国の私に美人とは……髪と瞳が気にならない……? あり得るのか……? 外国だから気になることもない……?」
ここで、ずっと混乱していたミーラが勇気を振り絞って会話に混ざることを決意した。リオルの態度に危機感を持ったからのようだ。
「あ、あのっ!」
「ん?」
「な、何だ……!?」
「も、申し遅れ、ま、ましたが! わ、私の、な、名前は、ミーラ……ミーラ・リラと言います! よ、よろしくお願いします、皇女様……!」
「…………」
「あ、ああ……」
とりあえず、ミーラも自己紹介ができた。
「で、では、私からはな……」
「その前にここから離れよう」
「何?」
「何で?」
「騒がしくしすぎた。気になって野次馬が集まれば面倒だろう?」
「!」
「え? え?」
ミーラは理解が遅かったが、リオルはローグの言葉の意味をすぐに悟った。すぐに身に着けているフードを被り直そうとしたが、ここでフードが破れていることに気付いた。
「しまった! フードが……!」
「……ミーラ、お前の上着を貸してやれ」
「え? 何で?」
「お前の上着にもフードがついてるだろ」
「うん、分かった」
「ボロボロの服だと目立つから俺の上着も貸そう」
「……いいのか?」
リオルが気まずそうに二人に聞いてくる。ローグは上着を脱ぎながら、何も気にせずにこう答える。
「別に問題はない。ミーラもそうだろ?」
「ローグがいいなら私もいいよ」
「……すまない。助かる」
リオルは素直に礼を言って上着を受け取ろうとする。……と、思いきや!
「はあ!」
シュッ
「「!?」」
リオルは突然、後方に向かってナイフを投げ出した。ナイフの向かった先は壁だったが、壁が当たる直前……
カキンッ!
「……! 流石はリオル様だ」
「ちっ」
「「!?」」
驚くべきことに、壁から手が生えてナイフを刃物で防ぎ、更には人が出てきたのだ。少なくともローグとミーラにはそんな風に見えた。
(な、何だ、あいつは!? 忍者か!? いや……)
「ミーラ! あいつは何だ!? 感知できなかったのか!?」
「え!? え!? 何で!? 何で、突然気配が出てきたの!? あ、いや、ローグ、さっきまではいなかったんだよ、あの人!」
「何だと! どんな魔法だ!」
「それは……」
ローグがミーラに確認を急ぐと、壁から現れた人物が答えてきた。
「魔法ではない、王国の者どもよ」
「「!」」
「我の為したのは魔法に対抗するための技よ。貴様らの知ることではない」
その答えはローグに新たな可能性を見せた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※あとがき
すいません。今日から更新が毎日ではなくなります。
「何だ?」
「どうして私の正体が帝国の第一皇女だと分かった?」
リオルとしては、まず最初に気になった疑問を解いておきたかった。それと同時に、ローグのことについて可能な限り知るために少しでも多く話す必要があった。どんな些細なことでもだ。
「帝都で聞いた噂話と、今のあんたの状況を照らし合わせて一致することが多かったんだ。それで試しに第一皇女と呼んでみたのさ」
「……どんな噂話だ」
「容姿については白髪に赤い瞳、色白で美人。主な活動が戦場で騎士として戦闘。高い戦闘能力とカリスマ性で周囲の信頼も厚い。だが、今の状況は……」
「反逆者、だろう?」
「……そうだな」
ローグの言葉を遮って、リオルは自嘲気味に薄く笑う。それに対してローグは肯定して頷いた。
「ふっ、白髪に赤い瞳か。確かにこれは目立つな。私のトレードマークのようなものだからな。これを見られたら私だと分かって当然か」
「それと、色白で美人。高い戦闘能力だな」
「ふん。そんなお世辞を言っても……え?」
「どうした?」
ローグは世辞の意味ではなく、そのままの意味で『美人』と言ったのだが、それが本当に世辞でしかないと思っていたリオルはそこに驚いたようだ。彼女の特技は嘘を見抜く、それが本当ならば、
「な、何を言っているのだ、お前は!」
「な、どうした?」
「じょ、女性に気安く美人だなどと……何を言って……はっ、王国の文化か!?」
「いや、その……」
(何だ。意外とかわいらしいところもあるんだな。思ったより感情豊かで面白いなこの人)
リオルはローグの言葉に照れているようだ。動揺して少し顔を赤くしている。そして、何やら一人でブツブツ小声で話し始めた。
「……王国の人間が帝国の私に美人とは……髪と瞳が気にならない……? あり得るのか……? 外国だから気になることもない……?」
ここで、ずっと混乱していたミーラが勇気を振り絞って会話に混ざることを決意した。リオルの態度に危機感を持ったからのようだ。
「あ、あのっ!」
「ん?」
「な、何だ……!?」
「も、申し遅れ、ま、ましたが! わ、私の、な、名前は、ミーラ……ミーラ・リラと言います! よ、よろしくお願いします、皇女様……!」
「…………」
「あ、ああ……」
とりあえず、ミーラも自己紹介ができた。
「で、では、私からはな……」
「その前にここから離れよう」
「何?」
「何で?」
「騒がしくしすぎた。気になって野次馬が集まれば面倒だろう?」
「!」
「え? え?」
ミーラは理解が遅かったが、リオルはローグの言葉の意味をすぐに悟った。すぐに身に着けているフードを被り直そうとしたが、ここでフードが破れていることに気付いた。
「しまった! フードが……!」
「……ミーラ、お前の上着を貸してやれ」
「え? 何で?」
「お前の上着にもフードがついてるだろ」
「うん、分かった」
「ボロボロの服だと目立つから俺の上着も貸そう」
「……いいのか?」
リオルが気まずそうに二人に聞いてくる。ローグは上着を脱ぎながら、何も気にせずにこう答える。
「別に問題はない。ミーラもそうだろ?」
「ローグがいいなら私もいいよ」
「……すまない。助かる」
リオルは素直に礼を言って上着を受け取ろうとする。……と、思いきや!
「はあ!」
シュッ
「「!?」」
リオルは突然、後方に向かってナイフを投げ出した。ナイフの向かった先は壁だったが、壁が当たる直前……
カキンッ!
「……! 流石はリオル様だ」
「ちっ」
「「!?」」
驚くべきことに、壁から手が生えてナイフを刃物で防ぎ、更には人が出てきたのだ。少なくともローグとミーラにはそんな風に見えた。
(な、何だ、あいつは!? 忍者か!? いや……)
「ミーラ! あいつは何だ!? 感知できなかったのか!?」
「え!? え!? 何で!? 何で、突然気配が出てきたの!? あ、いや、ローグ、さっきまではいなかったんだよ、あの人!」
「何だと! どんな魔法だ!」
「それは……」
ローグがミーラに確認を急ぐと、壁から現れた人物が答えてきた。
「魔法ではない、王国の者どもよ」
「「!」」
「我の為したのは魔法に対抗するための技よ。貴様らの知ることではない」
その答えはローグに新たな可能性を見せた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※あとがき
すいません。今日から更新が毎日ではなくなります。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる