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第5章 外国編
VS異形アゼル7
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「何だって!? それでリオルたちが助けようとしてくれてるだって!?」
アゼルはローグの話を聞いて驚くばかりだった。自身の豹変・サーラの洗脳・リオルの冤罪など多くのことを一度に知ったのだ。無理もない。その中で一番驚いたのは、今の状況――リオルたちが自分のために戦っていることだった。
「ど、どうしてだよ? 騎士や兵士が助けてくれるならわかるけど何であいつが!」
「その辺はやっぱり兄妹だからじゃないのか?」
「んなっ!? 何を言ってるんだ! 意味が分からないぞ! 兄妹と言っても腹違いで、髪と目の色が違くて……」
「でも目の前でそれが事実だって証明されてるじゃないか」
「……っ!」
アゼルの驚きようだと、リオルを蔑ろにしたことについて自覚があったことが分かる。リオルからアゼルがそういう人物だということは聞かされていた。そんな男がリオルが助けに来たと聞いて驚かないはずがないし、信じられないだろう。
目の前で戦っている姿を見なければ。
「そんな、僕はあいつやみんなに迷惑ばかりかけてきたのに……」
「それでも彼女は助けに来た。それが事実だ。お前たちは憎しみあっていたかもしれないが兄妹なのも間違いない。どうしても見捨てるなんてことはできなかったのさ、彼女はな」
「…………」
ローグの言葉を聞いて、アゼルは黙り込んでしまった。彼は今一度リオルを見る。その姿は間違いなく戦っていた。アゼルの体から生えた触手とだ。正確に言えば寄生生物の触手なのだが。
「兄上! 正気に戻ったのか!」
「リ、リオル……」
ローグとアゼルが会話しているように見えていたリオルは、声が届くところまで近づいてアゼルに声を掛けた。アゼルはうっかり返事をしてしまった。
「兄上、気をしっかり持っていてくれ! 今私もそっちへ行く!」
「ええ!?」
アゼルは目を見開いて驚いた。そんな彼をローグは面白そうに小声でささやく。リオルにもアゼルにも怒られそうなことを。
「ほう、随分と兄思いの妹さんだな。喜べ、この妹不幸者の愚兄」
「な、何い!」
「美しい兄妹愛だっていうことさ」
「ば、馬鹿な!」
アゼルは顔を真っ赤にして否定し始める。からかわれたと思ってのことだろうが、ローグは何も面白半分にそんなことを言っているわけではなかった。わざと怒らせているのは他にも理由がある。
(そうだ怒れ。怒って気をしっかり持ち続けてもらうぞ。俺の負担を減らすためにもな)
ローグはアゼルに【昇華魔法】をかけ続けている。ローグの魔力量ならこのままでもいいのだが、どうせなら節約したいとも思っている。アゼルがしっかりしてくれれば最低限の魔力で済むのだ。
(期待はしないが出来るだけのことはしよう。面白いしな)
それと同時に面白がっているのも事実だ。
「兄上! 目が覚め……」
「ふざけるなよ、リオルゥ!」
「「!?」」
「お前が僕を助けるだと!? いったい何の冗談だ! ふざけおって!」
(ちっ、こいつは……)
アゼルはリオルに向かって叫び始めた。どうやら、リオルに――腹違いの妹に助けられるのが嫌なようだ。ローグからしてみれば、くだらないプライドだがアゼルにとっては重要なんだろう。
アゼルだって内心では助かりたいはずだ。この際、ちっぽけなプライドは捨ててもらいたい。万が一リオルに見限られたらどうするのだろうか。
(怒りなら俺に向けてくれた方がよかったのに。面倒くさい奴だ)
「兄上、今はそんなことを言ってる場合じゃないだろ!」
「うるさい! お前に僕の何が分かる! 」
「なっ、何い!?」
(……はあ、仕方ない。フォローするか)
アゼルの言葉がリオルの怒りに触れかけた。もはやこめかみに青筋を浮かべる顔を見ればわかる。このままでは兄妹喧嘩になってしまう。こんな状況でそんなことはだれも望まない。そう思ったローグはフォローすることにした。
「リオさん、悪いがアゼルの言う通りだ」
「なっ、ローグまで!?」
「世界一おぞましい寄生生物が背中に引っ付いてる男の気持ちなんか同じ目に遭ったものにしか分からない。違うか?」
「え?」
アゼルは「僕の何が分かる」とは言ったが、今の状況だけを指していったわけではない。その前の人生観から叫んだだけなのだ。確かに今の状況も楽観視できはしないが、ローグはそれを別の意味で受け取った――ふりをする。話題を強引に変えるために。
「う……兄上が気の毒なのは分かるが……」
「お、おい。僕が言ったのはそういう……え?」
リオルは兄の状況を思い出したのか、反論するのを止めた。妹の珍しい反応を見たアゼルだが、そんなことよりもローグの言ったことが気になった。
「おい、世界一おぞましいってなんだ!? そんなヤバいのが僕の背中に!?」
「そうだ。多分、この中でお前ぐらいしかそんなひどい目に遭った者はいないだろう。気の毒を通り越して最悪だな」
「な、何い~!?」
アゼルの顔が怒りから恐怖と絶望に変わった。
(反応がコロコロ変わるやつだな。こんな状況でなければ見てて面白いんだが)
アゼルはローグの話を聞いて驚くばかりだった。自身の豹変・サーラの洗脳・リオルの冤罪など多くのことを一度に知ったのだ。無理もない。その中で一番驚いたのは、今の状況――リオルたちが自分のために戦っていることだった。
「ど、どうしてだよ? 騎士や兵士が助けてくれるならわかるけど何であいつが!」
「その辺はやっぱり兄妹だからじゃないのか?」
「んなっ!? 何を言ってるんだ! 意味が分からないぞ! 兄妹と言っても腹違いで、髪と目の色が違くて……」
「でも目の前でそれが事実だって証明されてるじゃないか」
「……っ!」
アゼルの驚きようだと、リオルを蔑ろにしたことについて自覚があったことが分かる。リオルからアゼルがそういう人物だということは聞かされていた。そんな男がリオルが助けに来たと聞いて驚かないはずがないし、信じられないだろう。
目の前で戦っている姿を見なければ。
「そんな、僕はあいつやみんなに迷惑ばかりかけてきたのに……」
「それでも彼女は助けに来た。それが事実だ。お前たちは憎しみあっていたかもしれないが兄妹なのも間違いない。どうしても見捨てるなんてことはできなかったのさ、彼女はな」
「…………」
ローグの言葉を聞いて、アゼルは黙り込んでしまった。彼は今一度リオルを見る。その姿は間違いなく戦っていた。アゼルの体から生えた触手とだ。正確に言えば寄生生物の触手なのだが。
「兄上! 正気に戻ったのか!」
「リ、リオル……」
ローグとアゼルが会話しているように見えていたリオルは、声が届くところまで近づいてアゼルに声を掛けた。アゼルはうっかり返事をしてしまった。
「兄上、気をしっかり持っていてくれ! 今私もそっちへ行く!」
「ええ!?」
アゼルは目を見開いて驚いた。そんな彼をローグは面白そうに小声でささやく。リオルにもアゼルにも怒られそうなことを。
「ほう、随分と兄思いの妹さんだな。喜べ、この妹不幸者の愚兄」
「な、何い!」
「美しい兄妹愛だっていうことさ」
「ば、馬鹿な!」
アゼルは顔を真っ赤にして否定し始める。からかわれたと思ってのことだろうが、ローグは何も面白半分にそんなことを言っているわけではなかった。わざと怒らせているのは他にも理由がある。
(そうだ怒れ。怒って気をしっかり持ち続けてもらうぞ。俺の負担を減らすためにもな)
ローグはアゼルに【昇華魔法】をかけ続けている。ローグの魔力量ならこのままでもいいのだが、どうせなら節約したいとも思っている。アゼルがしっかりしてくれれば最低限の魔力で済むのだ。
(期待はしないが出来るだけのことはしよう。面白いしな)
それと同時に面白がっているのも事実だ。
「兄上! 目が覚め……」
「ふざけるなよ、リオルゥ!」
「「!?」」
「お前が僕を助けるだと!? いったい何の冗談だ! ふざけおって!」
(ちっ、こいつは……)
アゼルはリオルに向かって叫び始めた。どうやら、リオルに――腹違いの妹に助けられるのが嫌なようだ。ローグからしてみれば、くだらないプライドだがアゼルにとっては重要なんだろう。
アゼルだって内心では助かりたいはずだ。この際、ちっぽけなプライドは捨ててもらいたい。万が一リオルに見限られたらどうするのだろうか。
(怒りなら俺に向けてくれた方がよかったのに。面倒くさい奴だ)
「兄上、今はそんなことを言ってる場合じゃないだろ!」
「うるさい! お前に僕の何が分かる! 」
「なっ、何い!?」
(……はあ、仕方ない。フォローするか)
アゼルの言葉がリオルの怒りに触れかけた。もはやこめかみに青筋を浮かべる顔を見ればわかる。このままでは兄妹喧嘩になってしまう。こんな状況でそんなことはだれも望まない。そう思ったローグはフォローすることにした。
「リオさん、悪いがアゼルの言う通りだ」
「なっ、ローグまで!?」
「世界一おぞましい寄生生物が背中に引っ付いてる男の気持ちなんか同じ目に遭ったものにしか分からない。違うか?」
「え?」
アゼルは「僕の何が分かる」とは言ったが、今の状況だけを指していったわけではない。その前の人生観から叫んだだけなのだ。確かに今の状況も楽観視できはしないが、ローグはそれを別の意味で受け取った――ふりをする。話題を強引に変えるために。
「う……兄上が気の毒なのは分かるが……」
「お、おい。僕が言ったのはそういう……え?」
リオルは兄の状況を思い出したのか、反論するのを止めた。妹の珍しい反応を見たアゼルだが、そんなことよりもローグの言ったことが気になった。
「おい、世界一おぞましいってなんだ!? そんなヤバいのが僕の背中に!?」
「そうだ。多分、この中でお前ぐらいしかそんなひどい目に遭った者はいないだろう。気の毒を通り越して最悪だな」
「な、何い~!?」
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