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第5章 外国編
心の叫び4
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(ぼ、僕は……どうすればいいんだ?)
ローグに言われて、リオルにあんな顔をされて、アゼルは何も言えなくなってしまった。今度はアゼルが思い悩む状況になってしまった……はずだった。
「そんなわけでアゼル馬鹿皇子。さっさと助けられてもらうぜ?」
「「え?」」
「【昇華魔法】『精神強化・強』!」
ローグは合えるにかけ続けている魔法を一気に強くした。有言実行するためだ。寄生生物の苦しみも一気に増した。
(これ以上、兄妹喧嘩にも寄生騒ぎにも付き合うのはうんざりだ)
「ギイイイイイイイッ!?」
「う、くう!? な、何だ!?」
「ローグ、何を!?」
「二人は、もう迷う必要がないと分かったと思うんだ。リオルは何を言われても家族を助けたいし、アゼルは助けられたいし助けられなければならない。だからこそ、このタイミングで蹴りをつけようと判断した。それまでのことさ」
「「!」」
二人はまたもや驚愕した顔になったが、ローグはそんなことには気にもしないで続けている。魔法と語る言葉が続けられる。
「アゼル、意地になるのはもうやめようよ。お前はリオルたちに、リオルに助けられるべきだ。そうすれば素直に認めてもいいだろ?」
「な、何を……」
「分かってるだろ。家族の情なり、実力なり、リオルを素直に認めることをだよ。この状況で助けられれば、お前がリオルを認めても仕方がない。いや、この場合はこう言ったほうがいい。お前はやっと素直にリオルを認めることができるんだ」
「なっ!? あ、あ……!」
「ローグ! そ、それは……!」
もう何度目か分からないぐらいに驚いてきた二人だが、今のは最大の驚きようだったようだ。しかも、今度は全く同じ驚き方をしたのだ。ローグは思わず苦笑する。
「そして、それはお前の救いになる。特に心のほうでな」
「心のほうだと?」
「いくら何でも分かるだろ? 俺の言っている意味が」
ローグの言葉に息を飲むアゼル。確かに理解してしまっていた。アゼルがローグの主負うようなシナリオ通りに『助かった』ならば、単純に助かっただけではない。精神面で救われることを意味することを。後はアゼル次第だ。
「……僕は」
アゼルはこれまでの自身の人生を振り返る。母に溺愛され甘やかされた、愛溢れて愚かな人生。母親違いの妹ができて優越感と劣等感を抱えるようになった人生。尊敬する父親がいて、誇りと緊張あふれる人生。多くの家臣がいて、世辞と陰口を聞く人生。
――正直、アゼル自身は本当に大したことが無かった。それは昔から思っていたことだった。自分が嫌になったのはずっと前からだ。
「助かって、救われていいのか?」
「ああ、それは……」
「いいに決まっている!」
「リオル!」
「助かって、救われていい! 他でもない、妹の私が望んでいるんだ! 私のことは、無理に認めなくてもいい! だけど、今は助けられてほしいんだ!」
「!」
リオルは心の内を思いっきり叫んだ。その叫びを聞いたアゼルは、もう一度リオルの顔を見る。その顔は真剣にアゼルを見ていた。――アゼルは遂に覚悟を決めた。
「……そうか。リオルに、妹にまでこんなことを言われては仕方がないな。僕もいい加減前を向いて歩きたいしな」
「助かってくれるか」
「ああ、僕も結局は助かりたいし、リオルのことも自分のことも素直に認めたい。頼む。今更だが、僕を、僕たち兄妹を救ってくれないだろうか、王国の魔法使いよ」
「その言葉を待っていたよ」
ローグはニヤリと笑うと、更に魔力を注ぎ込む――その前に、アゼルの体と寄生生物のほうに大きな変化が起きた。
シュウウウ……
「ギュアアアアアアアアッ!?」
「「「「「消えたっ!?」」」」」
アゼルの体から生えた触手が消え去ったのだ。正確には黒ずんでちり芥となって消えていった。そして、寄生生物の本体はアゼルの背中から離れていったのだ。
ローグに言われて、リオルにあんな顔をされて、アゼルは何も言えなくなってしまった。今度はアゼルが思い悩む状況になってしまった……はずだった。
「そんなわけでアゼル馬鹿皇子。さっさと助けられてもらうぜ?」
「「え?」」
「【昇華魔法】『精神強化・強』!」
ローグは合えるにかけ続けている魔法を一気に強くした。有言実行するためだ。寄生生物の苦しみも一気に増した。
(これ以上、兄妹喧嘩にも寄生騒ぎにも付き合うのはうんざりだ)
「ギイイイイイイイッ!?」
「う、くう!? な、何だ!?」
「ローグ、何を!?」
「二人は、もう迷う必要がないと分かったと思うんだ。リオルは何を言われても家族を助けたいし、アゼルは助けられたいし助けられなければならない。だからこそ、このタイミングで蹴りをつけようと判断した。それまでのことさ」
「「!」」
二人はまたもや驚愕した顔になったが、ローグはそんなことには気にもしないで続けている。魔法と語る言葉が続けられる。
「アゼル、意地になるのはもうやめようよ。お前はリオルたちに、リオルに助けられるべきだ。そうすれば素直に認めてもいいだろ?」
「な、何を……」
「分かってるだろ。家族の情なり、実力なり、リオルを素直に認めることをだよ。この状況で助けられれば、お前がリオルを認めても仕方がない。いや、この場合はこう言ったほうがいい。お前はやっと素直にリオルを認めることができるんだ」
「なっ!? あ、あ……!」
「ローグ! そ、それは……!」
もう何度目か分からないぐらいに驚いてきた二人だが、今のは最大の驚きようだったようだ。しかも、今度は全く同じ驚き方をしたのだ。ローグは思わず苦笑する。
「そして、それはお前の救いになる。特に心のほうでな」
「心のほうだと?」
「いくら何でも分かるだろ? 俺の言っている意味が」
ローグの言葉に息を飲むアゼル。確かに理解してしまっていた。アゼルがローグの主負うようなシナリオ通りに『助かった』ならば、単純に助かっただけではない。精神面で救われることを意味することを。後はアゼル次第だ。
「……僕は」
アゼルはこれまでの自身の人生を振り返る。母に溺愛され甘やかされた、愛溢れて愚かな人生。母親違いの妹ができて優越感と劣等感を抱えるようになった人生。尊敬する父親がいて、誇りと緊張あふれる人生。多くの家臣がいて、世辞と陰口を聞く人生。
――正直、アゼル自身は本当に大したことが無かった。それは昔から思っていたことだった。自分が嫌になったのはずっと前からだ。
「助かって、救われていいのか?」
「ああ、それは……」
「いいに決まっている!」
「リオル!」
「助かって、救われていい! 他でもない、妹の私が望んでいるんだ! 私のことは、無理に認めなくてもいい! だけど、今は助けられてほしいんだ!」
「!」
リオルは心の内を思いっきり叫んだ。その叫びを聞いたアゼルは、もう一度リオルの顔を見る。その顔は真剣にアゼルを見ていた。――アゼルは遂に覚悟を決めた。
「……そうか。リオルに、妹にまでこんなことを言われては仕方がないな。僕もいい加減前を向いて歩きたいしな」
「助かってくれるか」
「ああ、僕も結局は助かりたいし、リオルのことも自分のことも素直に認めたい。頼む。今更だが、僕を、僕たち兄妹を救ってくれないだろうか、王国の魔法使いよ」
「その言葉を待っていたよ」
ローグはニヤリと笑うと、更に魔力を注ぎ込む――その前に、アゼルの体と寄生生物のほうに大きな変化が起きた。
シュウウウ……
「ギュアアアアアアアアッ!?」
「「「「「消えたっ!?」」」」」
アゼルの体から生えた触手が消え去ったのだ。正確には黒ずんでちり芥となって消えていった。そして、寄生生物の本体はアゼルの背中から離れていったのだ。
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