ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
199 / 252
第5章 外国編

寄生生物討伐

しおりを挟む
「やっと離れたな! みんな、あの生物を殺せ!」

 寄生生物が離れていったことを確認したローグは、この場にいる皆にそう叫んだ。ローグの【外道魔法】では相性が悪いため、他の者に処分を任せたほうがいい。それに解放されたアゼルのことも気になる。

「あれが元凶か!」
「追え! 逃がすな!」
「ぶっ殺せ!」

 アゼルから離れて逃げていく寄生生物だったが、手の空いた兵士たちが追いかける。だが、寄生生物はウネウネとはいずりながらも、抵抗するために本体から触手を伸ばす。

「キュオオオオオオッ!」

シュルルルル

「うわっ、またこれかよ!」
「くそ、抵抗するな!」
「早くとどめを刺せ!」

 触手は、またしても兵士たちに立ちはだかり苦戦を強いる。ただ、その数はアゼルに寄生していた時よりも少なかった。それが勝敗を決めた。騎士団長のサーファだった。

「この程度の数なら、切り抜ける! 醜い化け物め、成敗してくれる!」

ザンッ! ザンッ! ザンッ! 

「!? キュオ…………?」

パラ…パラ…パラ…

 サーファは触手を切り裂きながら進み、遂に寄生生物の本体を斬った。一瞬で何度も切り刻んだのか、寄生生物は原型が分からないほどバラバラになった。残骸が床に広がる。

「これで終わり……いや、まだこれからか」

 サーファは厳しい目で寄生生物の死を見届けると、今度は複雑な顔になって反対側に目を向ける。そこには倒れているアゼルと寄り添うリオルがいる。これまでの二人のことを思えばあり得ない光景だった。サーファの知る限り二人は憎しい合っていたはずだった。

「兄上、大丈夫か!?」
「……リオル」

 しかし、今はそれだけではない。先ほどの二人とローグの会話はサーファにも、他の兵士たちにも聞こえていたのだ。だから、二人の関係が改善――多少の変化が起こったことも分かってしまっている。

(……お二人の関係が修復された。それは家臣として喜ばしいが、アゼル様の処遇によっては、国民に伝えられるのはおそらく……)

 サーファは帝国のためにも、いざというときは自分がアゼルにとどめを刺す覚悟を持っていた。だが、リオルの様子を見るとそれが不可能なのは明白だった。何しろ、今のリオルはアゼルが生きることを望むと思われるからだ。それに彼女はサーファよりも強い。

(帝国はいまだかつてない危機的状況に陥るかもしれんが……いや、アゼル様の処遇は皇帝陛下に委ねられる。早まったことはしないほうがいいな)

 サーファの脳裏に浮かぶのはキング皇帝の姿だった。皇帝の言葉を信じてクロズクを追い詰めることができたことをサーファは分かっている。皇帝のことbははっきりしていたため、病気はだいぶ快復したのかもしれない。ならば、アゼルの処遇は皇帝の心に任せるしかないし、それが最善だと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

エレンディア王国記

火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、 「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。 導かれるように辿り着いたのは、 魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。 王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り―― だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。 「なんとかなるさ。生きてればな」 手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。 教師として、王子として、そして何者かとして。 これは、“教える者”が世界を変えていく物語。

処理中です...