217 / 252
第6章 一週間編
四日目4
しおりを挟む
「ローグ・ナイトのことは後回しでいいな。では会議を始めようか」
サーラと公爵のやり取りが終わったのを見計らって、皇帝が改めて宣言する。
「まず、余の病の正体について説明しよう」
「それは私の口からお話しさせていただきます」
今度はリオルが口を開いた。今に至るまでの経緯を彼女が説明する。それはリオル地震の希望もあるため、事前に決まっていた。
「皇帝陛下の病のきっかけは、我が兄アゼルによる…………」
リオルの説明は一時間弱ほど続いた。何故、これまでの経緯を説明するだけで一時間もかかるのかというと、リオルの説明だと大雑把だったり細かいところは省いたりするので、聞く側は分かりにくく感じて必ず質問が入るのだ。この会議でも質問の数が多くてそれだけかかった。皇帝もサーラもそれは分かっていたから、自分たちが行うつもりでいたのだが、冤罪を掛けられて逃亡生活までさせられた経験をしたリオルがかたくなに自分がすると譲らなかった。
……質問の答弁はリオルだけでなくサーラも加わったのは当然だった。サーラの説明のほうが分かりやすいのだ。誰もが説明役にリオルを選んだ皇帝を恨んだ。
「……というわけです。皆、ご理解いただけましたか?」
「「「「「……………………」」」」」
聞いていた側は30分前から大体のことは理解していたため、質問を飛ばしていた時のような熱はすでに冷めていた。
ただし、それは皇帝の言葉で一変する。
「では、大罪を犯してアゼルの処遇を決めるとしよう」
「「「「「…………っ!」」」」」
皇帝の重みを込めたその言葉に、二人の娘と多くの重臣たちが気を引き締めた。遂に本題に入ることになったからだ。この会議で一番重要と言ってもいい議題だ。何しろ、第一皇子の罪を裁くのだ。慎重かつ正確にせねばならない。
「皆の中で知る者もいることだろうが、余は直接アゼルに会って話をしてみたのだ」
「陛下! それは……」
「今のあやつをこの目で見極めるためだ。皇帝として、親として当然の義務だ。異論は認めん」
一人の伯爵が驚きと抗議の声を出すが、皇帝に睨まれて口をつぐんだ。皇帝に反論できるものはかなり限られる。伯爵程度の立場ではそれができない。
「皆、アゼルに対して深い怒りと失望を感じざるを得ないだろう。ただ、此度の件でアゼルは皮肉にも精神的に成長した。罪の意識と己のふがいなさを痛感し、望むなら喜んで首を差し出す覚悟ができていたのだ。今の自分にできる最大限の償いをしたいそうだ」
皇帝の言うアゼルの成長。その事実に誰もが衝撃を受けた。てっきり土下座して命乞いをしていたと思っていただけに信じられない思いだった。アゼルの改心を見た皇帝の娘と一人の騎士団長を除いては。
「余は、アゼルに下す罰をすでに決めておる。それは……」
サーラと公爵のやり取りが終わったのを見計らって、皇帝が改めて宣言する。
「まず、余の病の正体について説明しよう」
「それは私の口からお話しさせていただきます」
今度はリオルが口を開いた。今に至るまでの経緯を彼女が説明する。それはリオル地震の希望もあるため、事前に決まっていた。
「皇帝陛下の病のきっかけは、我が兄アゼルによる…………」
リオルの説明は一時間弱ほど続いた。何故、これまでの経緯を説明するだけで一時間もかかるのかというと、リオルの説明だと大雑把だったり細かいところは省いたりするので、聞く側は分かりにくく感じて必ず質問が入るのだ。この会議でも質問の数が多くてそれだけかかった。皇帝もサーラもそれは分かっていたから、自分たちが行うつもりでいたのだが、冤罪を掛けられて逃亡生活までさせられた経験をしたリオルがかたくなに自分がすると譲らなかった。
……質問の答弁はリオルだけでなくサーラも加わったのは当然だった。サーラの説明のほうが分かりやすいのだ。誰もが説明役にリオルを選んだ皇帝を恨んだ。
「……というわけです。皆、ご理解いただけましたか?」
「「「「「……………………」」」」」
聞いていた側は30分前から大体のことは理解していたため、質問を飛ばしていた時のような熱はすでに冷めていた。
ただし、それは皇帝の言葉で一変する。
「では、大罪を犯してアゼルの処遇を決めるとしよう」
「「「「「…………っ!」」」」」
皇帝の重みを込めたその言葉に、二人の娘と多くの重臣たちが気を引き締めた。遂に本題に入ることになったからだ。この会議で一番重要と言ってもいい議題だ。何しろ、第一皇子の罪を裁くのだ。慎重かつ正確にせねばならない。
「皆の中で知る者もいることだろうが、余は直接アゼルに会って話をしてみたのだ」
「陛下! それは……」
「今のあやつをこの目で見極めるためだ。皇帝として、親として当然の義務だ。異論は認めん」
一人の伯爵が驚きと抗議の声を出すが、皇帝に睨まれて口をつぐんだ。皇帝に反論できるものはかなり限られる。伯爵程度の立場ではそれができない。
「皆、アゼルに対して深い怒りと失望を感じざるを得ないだろう。ただ、此度の件でアゼルは皮肉にも精神的に成長した。罪の意識と己のふがいなさを痛感し、望むなら喜んで首を差し出す覚悟ができていたのだ。今の自分にできる最大限の償いをしたいそうだ」
皇帝の言うアゼルの成長。その事実に誰もが衝撃を受けた。てっきり土下座して命乞いをしていたと思っていただけに信じられない思いだった。アゼルの改心を見た皇帝の娘と一人の騎士団長を除いては。
「余は、アゼルに下す罰をすでに決めておる。それは……」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる