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最終章
帝国の会議
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ここは帝城。皇帝の宣言後、皇帝とその娘をはじめとした帝国の重要人物が会議室に集まっていた。
「全員集まったか?」
「はい。リオル皇女殿下」
会議に参加する人数を確認するのは帝国の第一皇女リオル・ヒルディアだ。彼女の確認に答えたのは、騎士団長にして皇帝にもリオルにも信頼される帝国騎士サーファだ。
「意外にも、彼も割と早く来て座っております」
「そうか。……だいぶ慣れてくれたものだな」
リオルは彼、ローグ・ナイトを見る。黒初黒目の少年のことだ。帝国の命運を握る会議に出席するにしてはふさわしいとは思えない人物に見えるが、彼の素性がそれを否定する。ローグ・ナイトはリオルよりも若いにもかかわらず、王国の一大組織を潰して反逆し、逃げ込んだ帝国の内乱を治めた男なのだ。それはたとえ帝国の皇族でも無下にできない。ましてや一番世話になったリオルならなおさらだった。
(まあ、あいつの口調は問題だったがな。こういう会議に出席しても問題のないようにしゃべるように頼んでも心配だったが、思ったよりもすぐに合わせてくれたからよかったものだ)
「いい演説でしたよ。皇帝陛下」
「そうか。ありがとう。我が国の救世主よ」
今のローグはリオルやサーラを除く貴族相手なら敬語で受け答えするようになった。そのことにリオルは安心した。……もっとも、リオルとサーラに対して普通に接することに反感を感じる貴族は多いが、そこは目を瞑ってもらった。
「皆、揃ったな。では、会議を始めようか」
主要人物がそろったことで、帝国による王国の対策会議が始まった。
◇
会議では貴族・軍人・文官たちによって様々な意見が交わされた。
今度の戦争は必ず勝たなければ帝国に未来はない。
奇襲を掛けたり、王国側の犯行勢力と連携すべき。
もう少し先に延ばすべきだ。
そもそも戦争すべきではない。
勝つ見込みもないから和平をするべきだ。
最初、ローグは黙って聞いていた。新参者が序盤から口を開いても煙たがられるというのが大人の世界(前世の常識)だと理解しているからだ。だからこそ、後からリオルか皇帝の声を借りて自身の計画を話すつもりでいた。
(今は会議の内容がどこに向かっているか見定める時だな)
会議の意見を聞いていると、帝国がいかに生き残れるかと言う内容になっているようだった。
(無理もないか。帝国は魔法使いなどいない。それだけで王国に勝ったことが一度もないんだ。よくて引き分けが数回あった程度か。どうすれば『生き残る』という内容になるよな)
「皇帝陛下、どうか陛下のご意見をお聞かせください」
一人の貴族が皇帝の意見を求めた。すると、他の者たちも一斉に皇帝に視線を向ける。
「此度の戦いは必ず勝たねばならぬ。それが余の思いだ。今まで我が国は王国と戦い続けた。その過去で一度も勝てた試しは無く、良くて引き分け。だが、今回は違う。今度の戦いで負ければ我が国は確実に滅ぼされることだろう。何しろ、王国は我が国の暗部組織クロズクをうまく利用して内乱を起こしたのだ。王国に対抗するための組織を利用され帝国を混乱させたのだ。今度という今度は我が国を滅ぼすつもりでいるに違いあるまい。和平も望めるとも思えん。それゆえ戦いに打ち勝ち、逆に王国を滅ぼさねばならん」
「「「「「…………っ!」」」」」
会議にいる多くの者は驚きを隠せなかった。皇帝は今度の戦いに必ず勝利しようというのだ。それも憎むべき王国を滅ぼす形で。会議にいる大多数が混乱に陥る。
「全員集まったか?」
「はい。リオル皇女殿下」
会議に参加する人数を確認するのは帝国の第一皇女リオル・ヒルディアだ。彼女の確認に答えたのは、騎士団長にして皇帝にもリオルにも信頼される帝国騎士サーファだ。
「意外にも、彼も割と早く来て座っております」
「そうか。……だいぶ慣れてくれたものだな」
リオルは彼、ローグ・ナイトを見る。黒初黒目の少年のことだ。帝国の命運を握る会議に出席するにしてはふさわしいとは思えない人物に見えるが、彼の素性がそれを否定する。ローグ・ナイトはリオルよりも若いにもかかわらず、王国の一大組織を潰して反逆し、逃げ込んだ帝国の内乱を治めた男なのだ。それはたとえ帝国の皇族でも無下にできない。ましてや一番世話になったリオルならなおさらだった。
(まあ、あいつの口調は問題だったがな。こういう会議に出席しても問題のないようにしゃべるように頼んでも心配だったが、思ったよりもすぐに合わせてくれたからよかったものだ)
「いい演説でしたよ。皇帝陛下」
「そうか。ありがとう。我が国の救世主よ」
今のローグはリオルやサーラを除く貴族相手なら敬語で受け答えするようになった。そのことにリオルは安心した。……もっとも、リオルとサーラに対して普通に接することに反感を感じる貴族は多いが、そこは目を瞑ってもらった。
「皆、揃ったな。では、会議を始めようか」
主要人物がそろったことで、帝国による王国の対策会議が始まった。
◇
会議では貴族・軍人・文官たちによって様々な意見が交わされた。
今度の戦争は必ず勝たなければ帝国に未来はない。
奇襲を掛けたり、王国側の犯行勢力と連携すべき。
もう少し先に延ばすべきだ。
そもそも戦争すべきではない。
勝つ見込みもないから和平をするべきだ。
最初、ローグは黙って聞いていた。新参者が序盤から口を開いても煙たがられるというのが大人の世界(前世の常識)だと理解しているからだ。だからこそ、後からリオルか皇帝の声を借りて自身の計画を話すつもりでいた。
(今は会議の内容がどこに向かっているか見定める時だな)
会議の意見を聞いていると、帝国がいかに生き残れるかと言う内容になっているようだった。
(無理もないか。帝国は魔法使いなどいない。それだけで王国に勝ったことが一度もないんだ。よくて引き分けが数回あった程度か。どうすれば『生き残る』という内容になるよな)
「皇帝陛下、どうか陛下のご意見をお聞かせください」
一人の貴族が皇帝の意見を求めた。すると、他の者たちも一斉に皇帝に視線を向ける。
「此度の戦いは必ず勝たねばならぬ。それが余の思いだ。今まで我が国は王国と戦い続けた。その過去で一度も勝てた試しは無く、良くて引き分け。だが、今回は違う。今度の戦いで負ければ我が国は確実に滅ぼされることだろう。何しろ、王国は我が国の暗部組織クロズクをうまく利用して内乱を起こしたのだ。王国に対抗するための組織を利用され帝国を混乱させたのだ。今度という今度は我が国を滅ぼすつもりでいるに違いあるまい。和平も望めるとも思えん。それゆえ戦いに打ち勝ち、逆に王国を滅ぼさねばならん」
「「「「「…………っ!」」」」」
会議にいる多くの者は驚きを隠せなかった。皇帝は今度の戦いに必ず勝利しようというのだ。それも憎むべき王国を滅ぼす形で。会議にいる大多数が混乱に陥る。
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