ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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最終章

生きる理由

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 ローグはその場で倒れ込んだ。ローグも魔力を全て使い果たしてしまったのだ。そのうえ大怪我すらしているため、上手く体を動かせないでいる。

「う…………」

 更に激戦ゆえの体力の消耗もある。あまりにも負荷がかかり過ぎたのだ。そのまま意識がぼやけてくるほどにローグの体は危険な状態であった。このままではローグがいかに強くとも死んでしまうだろう。

(まだだ、まだ、俺は、生きなければ……この世界の真相を、解き明かして……)

 残った力で必死に意識を保とうとするが、けがのせいもあ手か視界まで暗くなっていく。しまいには走馬灯が見えた。

(あ……本当に……ヤバいな……もう一度死ぬのか……)

 二人分の記憶を持って生きてきたにもかかわらず、この世界に生まれた後のことばかりが頭に浮かぶ。

 両親の死、叔父である村長の裏切り、無能と勘違いされたために多くの者に蔑まされた人生。

 その後で、魔法に覚醒し、多くの者に復讐し、帝国に亡命した数か月。

(思えば……数奇な運命、だったかな……?)

 そして、帝国に残してきた一人の少女のことも……。

 それは、この世界における幼馴染で……。




『ローグ、私ね……』




「! まだだ!」

 ある少女のことを思い出した時、ローグの意識が一瞬ではっきりした。そして、最後の力を振りしぼって懐に手を伸ばす。生きるために。

「まだ、死ねん!」

 手を伸ばした懐には回復薬があった。それを何とか取りだして口元に持っていって一気に飲み干した。すると、幾らかの体力と魔力が戻っていく。

(うまくいったな。本当にヤバかった。後は傷を塞がないとな)

 今度は傷を治さなければならない。そのためにローグはある程度だけ戻った魔力を傷口に集中して【昇華魔法】を使った。肉体の自然治癒力を向上させようというのだ。

「…………これくらいでいいか」

 回復治癒はうまくいった。体力の戻ったローグは何とか立ち上がり、その足でリオル達の元へと向かう。ふらふらとした歩みだが、それでも足を止めるわけにはいかない。彼女たちと合流した後でやるべきことが残っているからだ。だからこそ、息絶えたレオンのことも振り返ることもなく、その場を後にした。

「……じゃあな、レオン」

 それだけ口にしてローグは進む。レオンを倒して、ローグの復讐は叶った。目的の一つは果たされたわけだ。後はこの世界の謎を解くだけ。

 ただ、今のローグには他にも生き残りたい理由がある。

「生き残ってやらないと、帝都に置いてきた『あいつ』が悲しむからな」

 それは死の淵から意識を一瞬でも取り戻せるほどの理由であった。
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