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25 愛と友情(3) ~リュウジ~
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俺は祈るような気持ちで階段を駆け上がった。
頼む、アオイ。そこに居てくれ。
息を切らせてアジサイ公園の入り口に入ると、一人の女性の後ろ姿が見えた。
街が見渡せるように設置された東屋とそのベンチ。
その女性は、そこでぼぉっと街を眺めていた。
後ろ姿だけどちゃんと分かる。間違いない。アオイだ。
俺はホッとして、アオイに近づいた。
「はぁ、はぁ。アオイ。探したぞ」
俺が声を掛けると、アオイは、はっとして俺の方を見た。
驚きの顔。
それと同時に、目には涙を浮かべていた。
泣いていたのか?
アオイは、すぐに目に溜めた涙を指で拭った。
そして、俺には目を合わせずに言った。
「……なんで来たんだよ。リュウジ」
久しぶりに聞くアオイの声。
なにか、懐かしい。
そして、そんな一言だけど、俺の胸は嬉しさでいっぱいになった。
よかった。
また会えて。
俺は、アオイの横に座った。
そして、前を向いたままアオイに声を掛けた。
「お姉さんに聞いたよ……」
沈黙。
アオイは俯いた。
足元の小石がポーンと蹴りだされた。
「そっか……全部か?」
「ああ、ごめんな。俺、お前を傷つけた」
アオイの横顔はいつもと変わらない。
前をじっと見据えている。
何を考えているのだろう?
アオイは、答える。
「ううん。リュウジ、お前は悪くないよ……オレがダメだっただけ」
「なっ、だから……」
「オレ、『あたし』にもどるよ」
アオイの言葉に俺の頭の中は真っ白になった。
あたしにもどる?
なんだ?
こいつは何を言っているんだ?
俺はアオイの両肩を掴み体をゆすった。
「どういうことだよ、アオイ!」
「……痛いって」
「ごめん、悪かった。アオイが変な事を言うからさ……」
俺はアオイの言葉を待った。
アオイは口を開いた。
「また女子校にもどるんだ……」
くっ……何て事だ。
しかし、俺は薄々は気付いていた。
もしかしたら、アオイは転校してしまうのではないか、って。
気付いていたが、気付かないようにしていた。
気のせいであってくれればいい。
そんな風に思っていたからだ。
しかし、蓋を開けてみれば、大当たり。
最悪のシナリオじゃないか。
俺は、目を閉じた。
女に戻るアオイ。
きっと、女子の制服を纏い、それは可愛い姿なのだろう。
しかし、それはもう、今のアオイとは別人。
俺のアオイとは……。
二人で、はしゃぎ、笑い、キスをし、愛し合い、そんな、二人で共有した時間にいたアオイはこの世界からいなくなる。
体が震える。
涙が出てくる。
ははは……確かに最後。
お姉さんが言っていた『最後』ってこういう事かよ……。
目に前がゆらゆらと揺れだすのを振り払うように声を出した。
「だ、だめだ。アオイ。いくな!」
「……いいよ。オレさ、リュウジと一緒にいられてすごく楽しかった。ありがとう」
アオイは、満面な笑みを作った。
な、なんだよ。その顔。
ぜんぜん、笑ってねぇぞ。泣いているじゃないか。
お前だって、辛そうじゃねぇか。
胸が締め付けられて痛い。
俺と同じようにアオイも心を痛めているのだ。
それなのに、このまま別れて言い訳ないじゃないか。
俺は拳をギュッと握った。
「アオイ、お前! ふ、ふざけんな!」
俺の突然の言葉にアオイは、体をビクンと震わせた。
「全然、ありがとう、じゃねぇ! お礼なんて言うんじゃねぇよ!」
驚いた顔で俺を見るアオイ。
しばらくして、柔らかい表情になった。
「なんだよ……アオイ」
アオイは、ふふふ、と笑った。
そして、手を振る。
頬に涙がつーっと垂れた。
「バイバイ!」
アオイは、立ち上がった。
あっ……ダメだ。糸が切れる。
切ってはダメだ。
「おい、アオイ。何処にも行くなよ!」
俺は、瞬時にアオイの手首を掴む。
「放せよ、リュウジ。このまま綺麗にお別れしよう……」
「アオイ。聞いてくれ! 頼むから!」
アオイは、俺の顔を見た。
俺の真剣さは伝わったのだろうか。
アオイは、もう一度ベンチに座った。
俺は気持ちの整理をした。
今、何を話すべきか。
俺の気持ちをどう伝えるべきか。
アオイに何を知ってもらうべきか。
そして、頭の中でそれらをまとめると、ああ、簡単なことだな、と思った。
俺は、よし!と口にする。
「なぁ、アオイ。俺の話を聞いてくれ。それでも気にくわなければお前の好きにすればいいさ」
頼む、アオイ。そこに居てくれ。
息を切らせてアジサイ公園の入り口に入ると、一人の女性の後ろ姿が見えた。
街が見渡せるように設置された東屋とそのベンチ。
その女性は、そこでぼぉっと街を眺めていた。
後ろ姿だけどちゃんと分かる。間違いない。アオイだ。
俺はホッとして、アオイに近づいた。
「はぁ、はぁ。アオイ。探したぞ」
俺が声を掛けると、アオイは、はっとして俺の方を見た。
驚きの顔。
それと同時に、目には涙を浮かべていた。
泣いていたのか?
アオイは、すぐに目に溜めた涙を指で拭った。
そして、俺には目を合わせずに言った。
「……なんで来たんだよ。リュウジ」
久しぶりに聞くアオイの声。
なにか、懐かしい。
そして、そんな一言だけど、俺の胸は嬉しさでいっぱいになった。
よかった。
また会えて。
俺は、アオイの横に座った。
そして、前を向いたままアオイに声を掛けた。
「お姉さんに聞いたよ……」
沈黙。
アオイは俯いた。
足元の小石がポーンと蹴りだされた。
「そっか……全部か?」
「ああ、ごめんな。俺、お前を傷つけた」
アオイの横顔はいつもと変わらない。
前をじっと見据えている。
何を考えているのだろう?
アオイは、答える。
「ううん。リュウジ、お前は悪くないよ……オレがダメだっただけ」
「なっ、だから……」
「オレ、『あたし』にもどるよ」
アオイの言葉に俺の頭の中は真っ白になった。
あたしにもどる?
なんだ?
こいつは何を言っているんだ?
俺はアオイの両肩を掴み体をゆすった。
「どういうことだよ、アオイ!」
「……痛いって」
「ごめん、悪かった。アオイが変な事を言うからさ……」
俺はアオイの言葉を待った。
アオイは口を開いた。
「また女子校にもどるんだ……」
くっ……何て事だ。
しかし、俺は薄々は気付いていた。
もしかしたら、アオイは転校してしまうのではないか、って。
気付いていたが、気付かないようにしていた。
気のせいであってくれればいい。
そんな風に思っていたからだ。
しかし、蓋を開けてみれば、大当たり。
最悪のシナリオじゃないか。
俺は、目を閉じた。
女に戻るアオイ。
きっと、女子の制服を纏い、それは可愛い姿なのだろう。
しかし、それはもう、今のアオイとは別人。
俺のアオイとは……。
二人で、はしゃぎ、笑い、キスをし、愛し合い、そんな、二人で共有した時間にいたアオイはこの世界からいなくなる。
体が震える。
涙が出てくる。
ははは……確かに最後。
お姉さんが言っていた『最後』ってこういう事かよ……。
目に前がゆらゆらと揺れだすのを振り払うように声を出した。
「だ、だめだ。アオイ。いくな!」
「……いいよ。オレさ、リュウジと一緒にいられてすごく楽しかった。ありがとう」
アオイは、満面な笑みを作った。
な、なんだよ。その顔。
ぜんぜん、笑ってねぇぞ。泣いているじゃないか。
お前だって、辛そうじゃねぇか。
胸が締め付けられて痛い。
俺と同じようにアオイも心を痛めているのだ。
それなのに、このまま別れて言い訳ないじゃないか。
俺は拳をギュッと握った。
「アオイ、お前! ふ、ふざけんな!」
俺の突然の言葉にアオイは、体をビクンと震わせた。
「全然、ありがとう、じゃねぇ! お礼なんて言うんじゃねぇよ!」
驚いた顔で俺を見るアオイ。
しばらくして、柔らかい表情になった。
「なんだよ……アオイ」
アオイは、ふふふ、と笑った。
そして、手を振る。
頬に涙がつーっと垂れた。
「バイバイ!」
アオイは、立ち上がった。
あっ……ダメだ。糸が切れる。
切ってはダメだ。
「おい、アオイ。何処にも行くなよ!」
俺は、瞬時にアオイの手首を掴む。
「放せよ、リュウジ。このまま綺麗にお別れしよう……」
「アオイ。聞いてくれ! 頼むから!」
アオイは、俺の顔を見た。
俺の真剣さは伝わったのだろうか。
アオイは、もう一度ベンチに座った。
俺は気持ちの整理をした。
今、何を話すべきか。
俺の気持ちをどう伝えるべきか。
アオイに何を知ってもらうべきか。
そして、頭の中でそれらをまとめると、ああ、簡単なことだな、と思った。
俺は、よし!と口にする。
「なぁ、アオイ。俺の話を聞いてくれ。それでも気にくわなければお前の好きにすればいいさ」
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